高麗の冬も寒さが一段と増し
王宮の中にある
チェヨンの邸も
オンドル（床暖房）が
活躍する頃となっていた
このところ北方に芽生えた
新しい勢力に対抗するため
チェヨンは遅くまで
役目に励み
昨夜も帰って来た時には
ウンスはぐっすり夢の中
物足りない気持ちで
ウンスを抱きしめながら
眠りについた
そして朝
チェヨンが目覚めると
ウンスはすでに起き上がり
タンに乳を含ませていた
まっすぐ降り注ぐ
光の中でウンスとタンは
チェヨンの目には
美しい絵のように見え
目を開けたチェヨンに
気がつくとウンスは微笑んだ
血色の良い胸元が
ちらちらと目に焼き付く
俺の腕の中で目覚めるのが
幸せだと言っていたくせに
ヨンの独り言は
ウンスにも丸聞こえで
うふふ
タン また始まったわよ
父上の駄々
ウンスはぐんぐんと乳を飲む
タンのまるっとした頬を
なでながらくすりと笑った
だってタンがお腹が空いた
ってぐずるんだもの
あなたはぐっすり寝ていたし
生後2ヶ月を迎えたタンは
日に日にまるまると太り
あ～う～とさらに
よく声を出すようになっていた
足の力が強いようで
ずりずりと蹴りあがり
寝台の上の方まで移動して
ウンスやチェヨンを
驚かせることもあった
ウンスは愛らしい息子が
可愛くて仕方ない様子で
乳を離したタンを
しばらく見つめ微笑んでいる
その様子がチェヨンは
愛しくてならないようで
ウンスから目が離せずにいた
ウンスは上手にタンがげっぷ
するのを見届けると
白木の寝台に寝かしつけた
タンの耳元で囁く
拗ねてる父上の様子を
見てくるわね
うふふ
乳臭いタンの匂いが
ウンスの母性をくすぐる
それから寝台でごろんと
横になるチェヨンの腕の中に
飛び込んだ
いまさら 遅い
拗ねても駄目よ
今 この乳は
タンの食料なんだから
お腹の空いてる我が子に
妬いてどうするの？
チェヨンの胸に
顔を擦り付けた
拗ねてなどおらん
妬いてもおらん
じゃあ 抱きしめて
ウンスはチェヨンの
喉元を吸いながらねだった
チェヨンは面白くないと
ふくれたふりで
そのくせしっかり
ウンスを抱きしめた
ウンスはそんなチェヨンに
クスッと笑った
最近 起きてるヨンに
会えないわ
そうだな
忙しい？
ああ ちと
立て込んでおるかな
そうよね
噂は色々聞こえてくるわ
まさか また戦に？
それは今のところ
大丈夫であろうが
世が世ゆえ いつどうなるか？
うんうん
ウンスの記憶にある
紅巾の乱は
まだもう少し先のこと
だが 今となっては
自分が知っている史実は
随分と変わっているに
違いないと
ウンスは思っていた
この時代は私の知ってる
高麗時代ではないわ
だって
私がここに存在してる
タンを生んでから
ウンスはますます
そう思うようになった
そしてそのほうが気が楽だった
でも 大丈夫よ
高麗にはあなたがいるもの
ウンスの言葉は
チェヨンを奮い立たせ
チェヨンはふっと
口元をゆるめて言った
おだてても
なにもやらんぞ
え～～～
欲しいものが
あったのに
ウンスはおどけていった
ん？
ウンスはチェヨンの襟を
ぐいと引くと
唇を重ねた
朝のご挨拶
まだだった
ウンスが囁くように言うと
挨拶だけだと
ちと足らん
チェヨンはウンスに
覆いかぶさった
こら！
朝からしょうがない人ね
ウンスは言ってる言葉とは
裏腹にチェヨンの背中に
手を回しぎゅっと
しがみつき
チェヨンの耳たぶを食む
チェヨンは愛しい妻の
口元に何度も口づけを落とし
いつしか寝台の中は
二人の熱気で
満たされていった
タンはお腹いっぱいで
朝から仲の良い両親の様子には
我関せずと
あ～う～う～と機嫌良く
声を出して
じたばたと動いて遊んでいる
チェ家は今日も
平和な朝
＊＊＊＊＊＊＊
『今日よりも明日もっと』
美しく儚い冬の虹
虹の向こうには
何があるだろう？
☆*ﾟ ゜ﾟ*☆*ﾟ ゜ﾟ*
新しいサブテーマは
「冬の虹」を
選びました
冬にはあまり
見ることの出来ない虹
天にきらめく宝石のように
輝いて
見るものの心を
ときめかせる・・・
じれヨンを描いているうちに
すっかり 心を持って行かれ
気がつけば 本編の
タンは生後2ヶ月となりヽ(*'0'*)ﾂ
ウネの出産はもう秒読み？
もういい加減生まれる(￣_￣ i)
そして ウンスの職場復帰も
未だ書けていないよ～～～と
師走らしく気ぜわしい？
あらら 大変 (;^_^A
どんなお話になりますやら
ゆるゆる参りますので
また
おつき合いくださいね
そして
じれヨン意地悪ヨンに
ご好評いただき
うれしく思っております
「チェヨンが恋をして」を
恋慕みたいに
シリーズ化しようかなあ？
などと
ちらりと思ったりして
どうかしら？
☆*ﾟ ゜ﾟ*☆*ﾟ ゜ﾟ*
今日は月曜日
12月も半ば
ああ！
今年も一年が過ぎて行く・・・
皆様 安寧に
お過ごし下さいませ
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