朝陽が閨に降り注ぎ
ウンスは目覚めた

隣では穏やかな顔をした
チェヨンが規則正しい
寝息を立てている
起こさないように
息を潜めて
じっと見つめた

ウンスのからだは
愛された感覚が
まだじんわりと残っている

口づけると
起こしてしまいそうで
もう少し寝かせてあげたくて
ウンスは反対側の
タンの寝台に向きを変えた
似たような顔で
すやすやと寝ているタン
なんだかとても幸せだった

ふいに後から抱きつかれた
後を振り向くと
チェヨンがウンスの髪の間から
うなじに顔を埋めていた


おはよう
起こした?


ウンスが尋ねた
チェヨンはなんにも言わずに
衣の袷から手を入れて
ウンスの胸に手を伸ばした


こら
もう起きなきゃ
お墓参りに遅れちゃうわ


耳たぶをかじりながら
チェヨンが言う


目覚めた時に 一番最初に
見るのはイムジャの
顔がいい


ふふっ
タンの方を向いてたから
拗ねてるの?
困った父上ね


ウンスはくるりと向き直ると
チェヨンの口元に
唇を合わせる


こうしたかったけど
よく寝てたから
起こしちゃいけないと
思って・・・


起こしてくれて構わぬのに


むぅとふくれた言いように
ウンスは思わず微笑んで


可愛い人


そう言うとチェヨンの唇に
もう一度唇を合わせた


━─━─━─━─━─


慶昌君様は追尊され
忠定王となり
お墓もキ・チョルの屋敷の
裏山から 都が見渡せる
小高い山の中腹に埋葬された

王妃様と一晩語り合った
ナラン姫はいささか眠そうな
目をしていたが
回診もかねて坤成殿へ赴いた
ウンスを見つけると
駆け寄って抱きついた

隣でタンを抱きながら
控えるポムはぷうっと
ふくれた


これ ナラン
医仙が困っておるぞ


王妃様が微笑みながら
そう告げた


だってこれが妾の
ご挨拶なのですから


ナランが楽し気に言う


すまぬのぅ
医仙


いえいえ
ナラン姫のこういう
屈託のないところ好きですよ


ウンスが言うものだから
ポムはますます面白くなかったが
ウンスが言った姫と言う言葉
チュンソクから聞いた
大事な客人という話しとあわせて
王妃様のご親戚筋なのだろうと
ポムはなんとかその溜飲を下げ
大切なタンをきゅっと抱きしめた


ウンスは王妃様の診察を終え
お健やかな様子を確認した
悪阻が少し始まったようで
召し上がれる物を
無理せずに召し上がるようにと
それから夜通し
おしゃべりをしたお体の疲れが
取れるようにと
典医寺から生薬を届けさせるよう
手配をした

ことの成り行きを見守っていた
ナラン姫は王妃様に
抱きつくと


姉様 体を労うてくだされ
元気な稚児(やや)を
お生み下され
もうお会い出来ぬかも
知れませぬが
妾はいつも姉様を
思うております
身分の卑しい母様にも
妾にも
優しく接してくださったのは
姉様だけじゃ
妾はいつ如何なるときも
姉様の味方です


ナラン姫が王妃様に言う


ナラン 其方も
達者に暮らすのですよ
幸せになっておくれ


二人は手を取り合い
別れを惜しんだ
ナラン姫はウンスに向かい


姉様をお頼みします


丁寧に頭を下げた
心優しいポムは
さっきまでの悋気も
すっかり忘れ 
別れの様子を
涙をためて見守った

ウンスはきりりとした
医者の顔つきになると


大丈夫
お任せを


そう微笑んだ


いくらあっても足りない時が
無情にも過ぎ去り
ナラン姫が王宮を去るときが
やって来た

王妃様はお体のことも留意して
坤成殿に残り
代わりに武閣氏とチェ尚宮が
裏門まで見送った

裏門にはチェヨンはじめ
数名のウダルチが控えて
墓参りへ向かう
ナラン姫とウンスの到着を
待ち構えていた

立派な二頭立ての輿と
チェ家の輿が裏門に並ぶ
ウンスとタンはナラン姫と
同じ輿に乗り込み
ポムとヘジャと
ナラン姫にお付きの女官は
チェ家の輿に乗り込んだ


輿が静かに王宮を離れる


姉様 お元気で


去り行く王宮を見つめる
ナラン姫の頬を涙が
伝っていった


*******


『今日よりも明日もっと』
会うは別れの始めなら
せめて共にいるときは
愛おしむように過ごしたい



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

お墓参りの場面へと
お話は続きます

おつき合いくださいませ



今日で11月も終わり・・・
早すぎる時の流れ
師走と聞くだけで
慌ただしい気がしますσ(^_^;)

今週も
安寧にお過ごし下さいね


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