邸に戻ると
前庭にチェヨンがいた


どうしたの?
まさか    待っててくれた?


ウンスが言うと


今来たところだ


チェヨンは言った


タンは変わりないか?


うん   


チェヨンはタンの顔を
覗き込み
柔らかな表情で笑った


よく寝ておるな


うん
疲れたのかな?


ポムにタンを預け
先に中に入るように
告げてから
ウンスはチェヨンの頬を
手で触れた


冷たいわ


両手を伸ばして頬を挟む
冷たいウンスの指先より
冷えていた


風邪ひいちゃう


大丈夫だ
鍛え方が違うゆえ


チェヨンは笑った
ウンスはすっとチェヨンの
腕の中に滑り込み
心臓の音を聞きながら
静かに言った


待つのは私の役目なのに


別に
待っていたわけではないぞ
少し早く戻れただけだ
イムジャの姿がなかったゆえ
庭にいたまで


そお?
でもうれしかった


腕の中から
チェヨンを見上げた
待っていたいのに
昔から大事な場面では
いつも待たせてしまう
辛抱強く待てる人だから
ついつい甘えているのかも
しれない
そんなことをふと思った


中に入ろう
何か温かい物を用意するわ


イムジャが
腕の中にいるから
暖かい


チェヨンが
濡れた瞳のウンスを
見つめて
ぽつりと言った

冷えた唇を重ね合わせる
どれだけ一緒にいても
恋しくて愛しくて
なかなか
離すことが出来なかった

からだの中心が段々と
疼くように熱くなり
頬が上気し息が乱れる

チェヨンの口づけは
母から女への
切り替えスイッチ
からだが無意識に
チェヨンを求めてしまう


その気になったか?


意地の悪い質問に


うん   なった


珍しく素直に答えたら
きつく抱きしめて
チェヨンが言った


俺もだ
だがすぐに行かねばならん
客人が来るのだ


残念そうな顔をして


夜まで待ってろ


唇の上で囁いた


うん   待ってる


もう一度
唇を重ね合わせてから
ウンスが聞いた


お客様って?


急な知らせがあってな
都のはずれまで
出迎えに出向く
後で邸に連れて参る


うちに?


ああ   
イムジャに会いたいそうだ
かわいい方らしいぞ


かわいい?誰?かしら


少し拗ねたような
声が混ざると
チェヨンはくっと笑い


イムジャに悋気されるのは
いい気分だ


と言った


あら   ウネさんが
チェヨンならうさぎにも
悋気するって言ってたわ


ウネが来てたのか?


うん   典医寺で会ったの
今日診察日だったから


典医寺に行って来たのか


チェ侍医の顔がちらつき
今度はチェヨンが
ふてくされたような顔をした


それで何故うさぎ?


うふふ
あそこは男の患者さんも
多いから仕事に戻ったら
あなたが
心配するだろうって
男の人がみんな野獣な
わけないのにね
だって一番狩りが上手い人
知ってるもの


ウンスが笑った


そういうことか
ウネの奴   なかなか
うまいこと言うな
では今宵はご所望通りに


熱いまなざしのチェヨンに
照れてしまったウンスは


うさぎでいい
ヨンが本気になったら
私    寝込んじゃうから


甘えるように腕を絡めて
二人は奥の間へと
入っていった


*******


『今日よりも明日もっと』
あなたは私を
いつも女に引き戻す




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