凛とした空気の中
朝から兵舎は熱気に
包まれていた

今日はウダルチの選抜試験が
執り行われる

ウダルチは
チェヨンの指揮の下
実力主義を貫き
固い結束力が自慢の
エリート集団だ

よって 
実力と熱意をもった
若者達がウダルチ目指して
毎回大勢
試験を受けに来る

試験は武術の実技に
口頭試問
それから筆記試験もあった
家柄や縁故は重視しない

それゆえ ほかの部署から
ウダルチを目指すものも
いれば
ウダルチを夢見る
市井の若者の中から
優秀な逸材が見つかることもある


最初の実技試験の監督は
チェヨンが担当する
ウダルチと手合わせさせて
一瞬でその才能を見抜く
いくら学があっても
武人としての才能がない場合は
採用にはならない

それから筆記試験の後

最後の口頭試問は
チュンソクが担当する
本当はチェヨンの方が
適任だとチュンソクは
思っているのだが
本人が 面倒だといって
チュンソクに丸投げした

ウダルチに対する熱意を
汲み取り
人物評価をして選抜する

最終的な判断はチェヨンが
するが
チュンソクが選抜した者に
口出ししたことはない

チュンソクの人を見る目を
チェヨンは信頼していた


朝から続いている
選抜試験

トクマンも落ち着かない様子で
筆記試験の監督をしたり
テマンとともに会場の整理を
行っていた


なんだか思い出すな


テマンが言った


何をだ?


ほら トルベの兄貴も
選抜の日は
忙しそうだっただろ


ああ そう言えばそうだな


実技試験の時にさ
槍の手合わせにかり出されて
うっかり負けそうになった
ことがあったじゃないか?


テマンが言った


そうだったな
そういや トルベに勝った
あいつ
どうしているんだろう?
トルベが死んでから
急に 姿を消したよな
男のくせに可愛い顔の
奴だった


と トクマンが言った


お前はそう言うとこしか
覚えてないのかよ


お前 お前
言うなよ
下の者に示しがつかんだろ
これでも俺は
プジャン(副隊長)だぜ


だからこの先のウダルチが
心配なんだろ


テマンがしゃあしゃあと
言ってのけ
二人はまた試験の準備に忙しく
取りかかった



午前中の実技試験に
顔を出したチェヨンは
それが終わると
「後は任せる」と
早々に
ウンスの待つ邸に引き上げた


チュンソク 邸に居るから
何かあればテマンをよこせ


はっ


兵舎の近くの邸に
住むようになって
チェヨンは昼時になると
たいてい邸に戻るように
なった

昔ならばいささか呆れて
その様子を見ていたものだが
一時も妻と離れていたくない
というチェヨンの気持ちが
ポムを娶ってからは
よくわかる


お腹の大きな医仙様を
ご案じなのであろう


そしてチュンソクは
チェヨンと入れ違いに
時折 昼に兵舎にやって来る
ポムを心待ちにしていた

だが今日は
昼休憩になっても
ポムの姿は見当たらなかった

チュンソクはチュンソクで
選抜試験が忙しく
ポムのことを
気にかけている暇がなかった


午後からの筆記試験で
人数をまずふるいにかけて
いよいよ口頭試問が始まる

新規の採用は15名ほどを
予定していた
今 残っているのは
30名余


二人に一人か


チュンソクは呟く


甲乙丙丁の組頭も
チュンソクとともに
前にずらりと並び
異様な緊張感が漂う中でも
新入隊員が
自分を保っていられるかを
チュンソクは密かに見ていた

戦では武術が長けている他に
冷静な判断力がなければ
やられてしまうことを
チュンソクは知っていた

口頭試験も淡々と進み
磨けば光る
有能な人材が集まりそうだと
チュンソクが安堵していると
最後の一人になって
どことなく懐かしい面影の
少年が目の前に立った


誰かに似ておる


チュンソクはぼんやり
考えながら
口頭試験を無事に終えた


その日の夕刻には
もう結果が 兵舎の門の前に
張り出される手筈となっていた

邸から戻って来たチェヨンに
チュンソクが合格者の名前を
見せると 何も言わずに頷いた 
そうして
新入隊員十五名が決定した


門の前には結果を待つ
親子であふれ返る


その中に一人の女人を見つけ
チュンソクははっと
目を凝らした

まだ15、6才の少年の頃
恋い焦がれた高嶺の花
初恋の相手が そこにいた


*******


『今日よりも明日もっと』
懐かしい面影に
遠い日の想い出が蘇る





☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


御礼リクエストに
お寄せいただいたお話を
再構成して haru色に
お届けしております

少し説明文が長くなりました
ご容赦を・・・(。-人-。)


☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


今日はハロウィーン
皆様は 仮装されるのかしら?

すっかり 日本文化に
根付きましたね~

よい週末をお過ごし下さい


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