まこと・・・か?


静かに尋ねる王妃様の声が
震えていた


ええ


ウンスが優しく微笑んだ


王様は無言のまま
急にすくっと立ち上がり
勢い余ってガタンと
椅子が倒れた
大きな音が部屋に響く


そうか
そうであったか
いや   めでたい
なんとめでたいのじゃ!


チェ尚宮が嬉しさを
隠しきれない様に
手を叩いて
喜んでいる

にわかには信じられない
面持ちの王妃様は
不安げに言った


なれど
妾は先だって月のものが


うふふ
さっき確認した時に
サラも王妃様も
そうおっしゃられてたから
あれ?って思ったんだけど
でもそれはきっと
着床出血
妊娠したての頃に
ある出血なの
いつもと
違っていたでしょう?
日数も短かったでしょうし


確かにそうであった


チェ尚宮が頷く
王妃様は
熱に浮かされたように
ぼうっとしていた


間違いないけど
一応チェ先生にも
診て頂くわ
脈診は彼が一番だもの


おお
そうじゃな
典医寺へ行き
侍医を呼んで参れ


はい
武閣氏が走り出した


王様は固まったまま
息をするのも忘れて
ただ   ベールの中の王妃様を
見つめている

王妃様はベールの外にいる
王様を見つめた
二人の視線が合った
王様は
ふらふらと足取りが
おぼつかない様子で
チェヨンに横を支えられながら
王妃様の元へ歩いた

ウンスとサラが
覆われているベールを
はらりと除け外側に出た

王妃様は王様しか
目に入らず
その大きな美しい瞳から
はらはらと涙が溢れ落ちた


王様
王様のお子が


寝台の上で泣く王妃様を
王様はがばっと抱きしめた


ようやっと
ようやっとじゃ


はい   王様


苦労をかけたな


いいえ
妾は
妾は


よい
何も言うな
からだを厭うのじゃ


はい


王妃様は溢れる涙を
拭うのも忘れて
小さく頷いた
王様はもう一度
ぎゅっと抱きしめてから
指の腹でその綺麗な涙を
拭われた


長かった
ご懐妊まで
長い月日だった
ウンスは少しだけ
胸のつかえが取れた気がして
隣にいるチェヨンを見た
チェヨンの目にも
うっすら涙が滲んでいる


良かったね


ウンスはチェヨンと
そっと手を繋いだ
ふたりにしかわからぬ
贖罪の気持ち
あの時
都を離れてさえいなければ
王妃様のお子を失うことは
なかったと
何度そう思ったことだろう

ウンスはチェヨンを思った
やっとこの人も少し
楽になる


ああ   良かった


チェヨンがぎゅっと
手を握り返して
一言言った

その一言に
チェヨンの思いがすべて
込められていると
ウンスは思った


*******


『今日よりも明日もっと』
苦難の先に喜びがある
苦しみの先に幸せがある






☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


「誕生   其の二十七」の
王妃様のご懐妊に
たくさんのお祝いコメを
ありがとうございました

まだお返事出来ておりませんが
お一人お一人から頂いた
お気持ちを
大切に読ませて頂きました

後ほど   ゆっくりお返事させて
頂きますので
もう少しお待ちくださいませ

ご懐妊のお祭り騒ぎは
もう少し続きます
また
おつきあいくださいませ


三連休ですね
よい連休になりますように