具合はどうじゃ


王様は王妃様の寝台の前に
置かれた椅子の腰掛けると
静かに尋ねられた

天蓋のベールの外
部屋の隅でチェ尚宮が控える

王妃様は王様にゆっくりと
お話をされた


申し訳ございませぬ
このような時に
妾のことまで
お心を砕いて頂き・・・


心配するのは
当たり前ではないか
王妃は余にとり
かけがえのない女人じゃ


王妃様は王様の目を見た
優しい顔立ち
優しい瞳
少年の頃の面影そのままだ

初めて出会った子どもの時
二度目に出会った少年の時
王様はいつも優しかった

嫁いでからの2年は
気持ちを素直に表せなくて
互いに傷つけてばかりの日々

高麗に来てから医仙と出会い
だんだんと心通わせ
いつしか愛し合い
子を授かり そして
なくした・・・

いろいろな想いが蘇る
だが 夫婦として
確かに寄り添い生きてきた
その事実はたとえ側室を
迎えようと変わらない


王妃 すまぬ
このような辛い想いをさせて
余は夫として
王妃を守ってやれぬばかりか
苦しめてしまった


いえ 妾も
何があろうと
王様のお気持ちを信じて
穏やかに暮らせばよいものを
王様が側室の元へ行って
しまわれるのではないかと
そればかり考えてしまい・・・


そのようなことあるか


王様は布団の上に置かれた
王妃様の白く小さな握り拳を
そっと包んだ


王妃・・・
こういう時は何をすると
よく効くと
医仙は申しておった?


え?
聞いていらしたのですか?


あの女人の声は
澄んでいるゆえよく通る
筒抜けであるぞ


口の端をあげてにやりと
笑った

王妃様が頬を赤く染めて
俯き 小さな声で言った


ぎゅーっと


こうか?


王様が引き寄せて
腕の中に王妃様を収めた


はい でも
もっと ぎゅーっと


こうか?


王様が王妃様を
ぎゅっと抱きしめる


王様・・・


王妃様は王様のに
胸に頬を寄せると
安心したように目を閉じた


心配いらぬ
余にとり
妻は王妃ただ一人
そなただけだ
たとえ誰を側室に迎えようと
女人として
接することはない
もっと早く 伝えるべきで
あった
今宵 また来る
酒を用意して待っていて
くれぬか?


頬を染めた王妃様が
こくんと頷いた


妾もあなた様だけ
ずっとお慕いして参りました
この気持ちに嘘偽りは
ございませぬ


王様は王妃様の額に
そっと唇を寄せた


二人の様子をちらちらと
見ていたチェ尚宮の顔に
安堵の色が広がった


━─━─━─━─━─


坤成殿の扉の外で
控えて待つ
チェヨンとウンス


夫婦の形って色々ね
王妃様と王様も
深いところで心がちゃんと
繋がっているのよね


そうだな


うふふ
私 恵まれているって
叔母様に言われたわ
本当にそう思う
あなたにこんなに愛されて
あなたをこんなに愛せて
すごく幸せよ


そうか?


うん
あとは ここにいる
幸せに無事に会いたい


ウンスはお腹をさすった
その手の上に
チェヨンが手を重ねる

みぃがどんと
力強く手のひらを叩いた


まあ
みぃも会いたいって


そのようだな


微笑み合うふたりを
サラが優しく見守っている


激しい風が吹き止み
辺りは静けさを取り戻した


中から出て来たチェ尚宮が
ウンスを呼んだ


王妃様の診察を


はい 叔母様


王妃様が
晴れやかな顔をされて
ウンスを迎えた


お薬が効いたみたい
もう大丈夫ね


王妃様にそう言うと
わずかに顎を引いて頷く


くるくる変わる秋の空
よい天気になりそうだと
ウンスは思った


*******


『今日よりも明日もっと』
ほかに代わりはいない
そなただけ
あなただけ
一番聞きたい言葉かもしれない




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