秋晴れの空高く
うろこ雲が浮かんでいた
ウネの騒動も落ち着き
日常がまた始まる
坤成殿の回診を終えて
典医寺へと向かう
ウンスとポム
女官のヨリ そしてサラが
楽しそうに
笑いながら歩いている
王宮の庭園では
赤や白や桃色のコスモスが
今を盛りに揺れている
遠くにウンスを
見つけたチェヨンは
柔らかく微笑むウンスの顔を
愛しそうに見つめた
大護軍
医仙様に 声かけなくて
いいんですか？
テマンが言った
いいんだ
楽しそうな顔をしている
それで十分だ
さ 先を急ぐぞ
チェヨンは顔を引き締め
宣仁殿へと向かった
庭園の中を歩きながら
ポムが声を弾ませて
ウンスに話しかけている
チェ尚宮様
乳母の件 大護軍様に
任せてくれるって
言ってましたね～
よかったですね
嫌ですよ～いくら頭では
わかっていても
乳母はね～
ねえ 医仙様～
うふふ
ポムだって
乳母に
育てられたんでしょう？
まあ そりゃあ
そうですけどぉ
たとえ乳母でも
チュンソク様のそばに
若い女人は置きません
あら ポムも意外と
嫉妬深いのね
当たり前です
ポムはくんと鼻を鳴らして
だって嫌だもの
浮気でもされたらって
考えただけで・・・
ああ
絶対駄目
やっぱり
目を光らせていなくちゃ
うふふ
結婚しないって言ってた
頃もあったのにね
変われば変わるもんね
ほんとに
人って不思議ですね
チュンソク様の
いない人生なんて
今となっては
思いつかないんです
そう それだけ幸せなのね
はい 医仙様
ポムは幸せそうに笑った
典医寺に 着くと
ヨンファが来ていた
あら ヨンファ
ヨンファさん～いえ姉上様～
坤成殿の帰りですか？
ヨンファがふわっと
微笑みながらウンスに
尋ねた
いい表情をするように
なったな
この子も幸せなんだわ
ウンスはそう思う
ええ そうよ
ヨンファこそどうしたの？
旦那様が都にお戻りになって
いま 宣仁殿に呼ばれて
いるんです
あら そうなの？
はい
で 一緒に
ついて来ちゃいました
旦那様
少しお疲れのご様子で
咳き込まれていたので
なにかお薬をと思って
ヨンファとチェ侍医が
目配せをした
あら そうなの？
でも診察しなくちゃ
症状に合った生薬は調合
できないわよ
はい 今 侍医様にも
同じことを言われてました
ヨンファが肩をすくめた
うふふ
帰りに迎えにくるんでしょう
その時診察したらいいわ
ねえ チェ先生
はい 私もそう
申しておりました
慈しむような目で
ウンスを見るチェ侍医
ヨンファは
報われぬチェ侍医の想いに
心が少しきりりとした
侍医様が
それでいいんだから
仕方ないけど・・・
ヨンファはひっそりと
思った
昨日はウネさんがいて
皆でおしゃべりしたんですよ
ヨンファさんもいたら
よかったのになぁ
ポムが残念そうに言う
そうだったの？
それは残念だわ
でも昨日は旦那様が
お戻りになったから
どちらにしても
伺えなかったし
そうなんだ～
もう
国もとの用事とやらは
落ち着いたんですか
え？ええ たぶん
それよりも
医仙様 まずは診察を
チェ侍医に促され
診察台へとあがった
着ていた衣の前を緩め
横になる
チェ侍医とサラが
診察台の前にたち
他の者は 後の方に控えた
脈診をするサラ
チェ侍医が
聴診器で赤子の心臓の音を
確かめた
浮腫みもそれほど
ひどくありませんし
顔色もよろしくて
脈も問題ありません
サラの報告にほっとする
チェ侍医が言う
お部屋でお休みください
あとで浮腫みを取る
灸をサラにさせましょう
うん わかったわ
こくんと頷くウンスを
変わらず 美しいと
見つめてしまう
首筋や喉の辺りの紅い印
昨夜の夫婦の証に
目が留まる
産み月になっても
変わらず仲の良いふたりに
チェ侍医の
複雑な思いがよぎった
医仙様 くれぐれも
ご無理はなさいませぬように
そう伝えるのが
精一杯のチェ侍医であった
ウンスが典医寺の部屋に
ポムとヨリと
一緒に行ってしまうのを
見届けてから
ヨンファが チェ侍医に
それとなく聞いた
侍医様は大丈夫ですか？
いまでも変わらず
医仙様を
ヨンファ殿
私の心配はよい
子が出来たのを確認し
日々腹が大きくなるのを
ずっと診察して
見守ってきたのだ
いよいよ産み月
医仙様とお子に万一のことが
ないように
医員として出来る限りの
手を尽くす所存
だから心配はいらぬ
でも
医仙様に
お子が出来ても
お腹が大きくなっても
他の男の妻でも
愛しいものは
愛しい・・・
守ってやりたいと
そう思っている
出過ぎたことを・・・
申し訳ありません
いや
人の心配ができるほど
今のヨンファ殿は
幸せと言うこと
心の底からうれしく
思っているのだよ
チェ侍医の優しい目
ヨンファは小さく頷いた
＊＊＊＊＊＊＊
『今日よりも明日もっと』
大切な物
大切な人
想いは深まるばかり
☆*ﾟ ゜ﾟ*☆*ﾟ ゜ﾟ*
月曜日です
今週も 皆様
安寧にお過ごしくださいませ
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