高麗の秋
空は高く澄み渡り
朝晩の空気がぴんと張って
少しずつ 木々の葉先が
紅く色づき始めた


閨で目覚めたら
チェヨンがウンスの大きな
お腹をなでて
みぃに語りかけていた


みぃ おはよう
まだ出て来ぬのか?


ヨンは 私より先に
みぃに「おはよう」なのね


ウンスの頬がちょっと
ぷんとふくれたように
見えた


なんだ 母上は
みぃに悋気か?


だって~


ウンスがチェヨンの
胸に頬を寄せて言う


まだ ヨンを
独り占めしていたいもの


それはこっちの言い分だ


そう言うとチェヨンは
ウンスに優しく口づけた


みぃが生まれても
毎朝 こうして
口づけしてくれる?


ああ 無論


ほんとに?


イムジャこそ
今忙しいと言って
俺のこと
構わなくなるのでは
ないか?


そうかも


そうなのか?


そうしたら
浮気しちゃう?


戯れ言のつもりで
聞いたのに


さあどうするかな?


と チェヨンが言った


急に心配になって
顔を覗き込みチェヨンに
聞いた


うわき するの?


あほう
イムジャ以外の女に
興味はないぞ


チェヨンの言葉が聞こえる
ふふっと笑って
ウンスはほっとしたように
チェヨンの胸にしがみついた


よかった


小さく呟いた


チェヨンは腕の中のウンスを
抱えるように
抱きしめながら指で髪を梳く
それから 昨夜のことを
思い出してくくっと笑った


それにしても
チュンソクも大変だな


うふふ
本当ね
でも 昨日は楽しかったわ


疲れてはおらぬか?
思いのほか 
長く話し込んでいたようゆえ
腹が張ってはいないかと
心配したぞ


それで!さっき
みぃに話しかけていたのね


ウンスはチェヨンの
喉元に きゅっと紅い印を
つけた


感謝の印
いつもありがと


他の表し方でも
構わぬのだが


チェヨンが
求めるような甘い顔を
して笑った


うふふ
ポムたちとは違うのよ
今は 無理よ


なんだ 残念


それにしても昨日の
旦那様たち
相当焦っていたわね
うふふ


ウンスが
思い出し笑いをして
チェヨンに言った


ああ まったくだ
チュンソクの嫁御には
いつもやり込められるな


朝から閨にふたりの
楽しそうな
笑い声が響いていた


━─━─━─━─━─


夜空の月が美しい夜に
チェヨン邸で
ウンスとポムとヨンファの
話に花が咲いていた


あのね チュンソク様ったら
毎晩
朝までポムのこと
離してくれないの
子作りって大変


ポムのため息が部屋に
反響し
そこにいた全員が
のけぞる中

急に扉の外から
ごとりと音がした


え?
ん?
何?
はて?


ヘジャが音がした扉を
急いでがたりと開けると
チュンソクが刀を
手から落としていた


あ え~と


察するに
今のポムの話しを
聞いていた
チュンソクを見て

ウンスが困ったように
チェヨンに目配せをする

チェヨンもチュンソクに
何と声をかけるべきか
迷っている様子で
ポムだけがきょとんとした
顔をしている


旦那様
お迎え 早かったのですね
もう屋敷に帰るんですか?
もう少し医仙様たちと
過ごしていたいのに


呑気に
口を尖らせている


ポム あの
チュンソクさん
困ってるわよ
ほら ポムが閨の話なんか
するから


ウンスがポムに
ごにょごにょと耳打ちをする


え~ どうして?
だって 夫婦仲がいいのは
いいことでしょう?
チュンソク様だって
いっつもそう言うわ
ねえ


同意を求められて
チュンソクが頭を掻いた


いや えっと
ポムや
そう言うことは
内々の話
人に話すことではなかろう


そう?


そうだよ ポム


チュンソクが優しく
ポムに諭すと
ポムが反駁した


だって すごいのは
うちだけなのか?
他の旦那様はどうなのか
聞いてみたくて


ポムは
目の前のチェヨンを
ちろりと見て
尋ねる


お 
俺達のことは良いのだ


さすがのチェヨンも
しどろもどろ


なんだか おかしくなって
その場にいた 皆で笑った

ひとしきり笑うと
ウンスが言った


ああ 楽しかったわ
ねえ
今度はキム様や
アンジェ将軍やウネさんも
いっしょに
宴ができるといいわね


そうだな


チェヨンが頷く


楽しみね


ああ


先ほどの
ポムの問の投げかけなど
すっかり忘れて
愛しい妻の優しい笑顔に
ついつい
見惚れるチェヨンであった


━─━─━─━─━─


閨の床のなかで
何度も口づけを交わしながら


ねえ みぃが生まれたら
ほんとに皆で集まりたいわ
王様や王妃様も
いっしょにね


ウンスが楽しそうに囁く


そうだな
みぃが生まれたら
考えるとするか


ほんと?
やった! うれしい
早く
そんな日が来ないかしら?
でも その前に
無事に
出産出来ますようにだわ


ウンスがお腹をさすると
みぃがぽんと
ウンスの手のひらを叩いた


ふふっ
心配ないって 
みぃが言ってるみたい


それに
俺もそばにおる


うん


ウンスはチェヨンの
唇に また
そっと唇を重ねてから


よろしくね
旦那様


そう微笑んだ


*******


『今日よりも明日もっと』
小さな想いや
気持ちが重なって
いつか 大きな愛になる



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