東の空が
東雲色(しののめいろ)に
染まり始めた頃

ファンは
待ち切れないように
閨の扉をガリガリと引っ掻き
外へ飛び出ていこうとする


お外へ行きたいのね
待ってて 今 出してあげる


ウンスがファンにいうと
扉の前で賢くおすわりをして
尻尾を振るファン


そいつが外に出て行ったら
イムジャ~


ねだるような 甘えるような
チェヨンの声にぴしゃりと


駄目よ
ファンを一人にしておけないわ


床から出ると 着ていた寝衣を
ばさりと脱ぎ捨てて
素早く 藍色の衣を身にまとった

朝の光に照らされた
ウンスの抜けるような白い肌が
チェヨンの目に焼き付く


イムジャ
出仕まで まだ時間があろう
なっ


だめよ~


べーっと愛らしく舌を出して
ウンスはウィンクをすると


ファン行くわよ


と ファンとともに中庭へ
駆け出した
その姿を目で追うチェヨン


かわいい
愛らしい
今すぐにでも 
食らってしまいたい


チェヨンの気持ちなど
お構いなしにウンスはファンと
中庭でじゃれていた


く~~ん と甘えるファンに
ウンスの目尻は下がっている

名前がファン(黄)だからか
ことのほか 庭に咲く黄菊が
気に入ったようで
株の中に分け入っては
顔を出す
その仕草が可愛くて
ウンスは笑いながら
ファンを見ていた

いつのまにか隣に並んだ
チェヨンに


飼えないよね


ウンスが聞いた


ああ 無理であろう


うん そうよね


ちょっと落胆したように
ウンスが言った


じゃあ 今日はどうするの?


このままと言う訳にはいかん
とりあえず兵舎へ
連れて行くとする


そっか
そうよね


慶昌君様のお犬も兵舎で
飼っておったゆえ
引き取り手がなければ
そこで飼うとするか?


落胆したウンスを見兼ねて
チェヨンが言った


ほんと?
だとしたら うれしいわ
だって兵舎に行けば
会えるもの


ウンスの口元がほころんだ
チェヨンは
ウンスの肩を引き寄せて
そのかわいらしく
ぷるんとした唇に口づけた


昨日の夜
ごめんね


ウンスが俯いて言った


ああ 仕方ない


力なく言ったチェヨンに
ウンスは笑いかけた


うふふ なんだかね
おかしな想像しちゃったわ





もしも もしもよ
赤ちゃんがいたら
こんな夜なのかな~って


ん?


赤ちゃんて
よく泣くでしょう?
おしめをかえたり
おっぱいを飲んだり
忙しいじゃない
その間 ヨンは我慢だもの
うふふ


そうかも知れんな
だが それも悪くない


チェヨンは自分とウンスの間に
赤子がいて
床の中で三人で眠る姿を
想い描いた


うふふ そうね
悪くないわね
いつか私達にも子どもが
出来るかしら?


その為の協力は
いくらでも出来るが


もう ヨンたら
朝からなに言ってるのよ


ウンスは頬を紅色に染めて
下を向いた
それから小さな声で


でも 夜になったら
ね・・・


と 呟いた


相変わらずファンは黄菊に
じゃれつき 楽しそうに
中庭を駆け回っている

秋風に黄菊が揺れて
そこはかとない
よい香りがした


*******


『今日よりも明日もっと』
黄菊の香りに包まれて
幸せな夢を見る





☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


んんん?
なにやら長編になって来た
∑ヾ( ̄0 ̄;ノ? ありゃ?

このお話まだ続きそうです
「歩みが遅くて」
すみませぬ m(_ _ )m

もう少し ファンに
おつき合いくださいませ




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