五十七話からの三連投です

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自分以外はいないはずの
部屋の中でガタリと音がした
見回しても誰もいない

だが気配は確かにする


「王様に 早く会いたい
いつ お越しになるかしら」

「王様に お会いしたい」


悲しげな声が聞こえた
青白い顔色の儚げな女人が
部屋の片隅にはっきり見えた


あ あ あなた誰?


ポムは身体の自由を
奪われていた

自分と同じくらいの年
地位の高い尚宮の衣
衣擦れの音がする
長い黒髪
透き通る肌

でも 震えるくらい
寂しい目をしていた

怖い チュンソク様

女人はポムにゆっくりと
近づいて来る

冷や汗が止まらない

布団の上までつうっと
近づいてくると
女人が震える声で言った


「さみしい」


チュンソク様   
助けて
逝きたくない


声を絞り出した時
力強い腕に
抱きしめられた


ポム もう大丈夫だ


こくこく頷く


知らない女の人が


ポムがわなわなと
チュンソクの腕の中で言った


もうよい   言わずとも
大丈夫だから
このように
物寂しい雨の日は
普段見えぬものを
感じることもある
ちゃんと俺を呼ぶ声が
聞こえたぞ
だから大丈夫だ


チュンソクがポムを
ぎゅーっと
抱きしめ


連れて行かれてたまるか!
俺の大切なポムを


ポムの耳元で呟いた


旦那様が守ってくれる
もう何も心配はいらない
ポムはほっと力が抜けた


チェヨンとともに
ポムのもとに駆けつけた時
仄暗い部屋の中
朱色の柱の隅に寂しげな娘が
ウンスには見えた

隣にオンニがいて
こちらを見ていた

オンニがチェヨンに
ウンスをお願いしますと
口を動かしたのが見えた

チェヨンを見上げると
ゆっくり頷いている


見えるの?


イムジャも見えるのか?


うん
綺麗なオンニでしょう


ああ
イムジャによく似た
美しい女人だ


オンニはウンスに
ケンチャナ
と   口を動かして
隣にいる尚宮の手を取ると
スーッと   いなくなった


行ったわ


そのようだな


チェヨンが静かに言って
ウンスの肩を抱きしめた
ウンスは
チュンソクの腕の中にいる
ポムに言った


ポム
怖い思いをさせて
ごめんね


いえ
大丈夫です
ほら   見て   医仙様
旦那様が
抱きしめてくれてるわ


ポムが笑った
可愛らしい笑顔だった


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『今日よりも明日もっと』
どこより安心な
愛する人の腕の中



57話からの三連投に
おつきあい頂き
ありがとうございます
後ほど
もう一話続きますが

ここまで
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ちょっぴり怖い?お話でした
大丈夫だったかなあ?(;^ω^A




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