おはようございまーす
医仙さ~ま~
い   せ    ん    さま~~


元気なポムの声が聞こえた


あれは本当にチュンソクの
嫁か?
どこぞの餓鬼か?


もう   ヨン
失礼よ
仮にもウダルチテジャンの
奥方様なんだから


チュンソクも大変なのを
嫁にしたもんだ


その分   チュンソクさんが
大人だからいいじゃない


それではまるで
俺が餓鬼のように聞こえる


あら   餓鬼みたいな時
あるじゃない


イムジャこそ
幼子のような時が
あるであろうが


そうよ
悪い?


ふたりはくだらない
言い合いをして
互いに見合って笑った


部屋に響く笑い声


ヘジャに連れられて
赤いチマに緑のチョゴリ
新妻の装いのポムが
やって来た
頬が桃色に上気して
なんだか少し
つやっぽい気がした


相変わらず仲良しの
ご夫婦なんだからぁ


可愛らしさはそのままの
人懐こいポムが笑っている
ウンスは心配そうに聞いた


ポム
どうしたのよ
こんなに朝早くから
あなた新妻でしょう?
チュンソクさんは?
放っておいて大丈夫なの?


以前
口づけをされたと
温泉宿屋のウンスの部屋に
逃げ込んで来たことを
思い出して聞いた


まさか  新房から
逃げてきたとか?
じゃないわよね


朝から何いってるんです
医仙様ったら   やだー
ちゃんと子作りして来ました


やだ   ポム
そこまで聞いてないわよ


ウンスの頬はみるみる
赤らみ   手のひらで
熱を冷ました


だって夫婦だもん  うふふ


屈託なくポムが笑った


チェヨンは  
面白げにことの
成り行きを見守った


医仙様
チュンソク様なら
とっくに
兵舎で働いていますよ
上役が来る前に
やっておくことがあるって
いってたもの


ポムはチェヨンを
ちろりと見て言った


そうか
それはすまないな
新婚の朝に
そのように慌てて
出仕せずともよいものを
相変わらず律儀と言うか
生真面目と言うか


だって   
上役様の為ですもの


ポムはちょっとだけ
口を尖らせて言った


なあに
ポム
朝からこの人に文句
いいに来たのかしら?
もっと旦那様を
休ませろーって


ウンスは笑った


それともまさか
もう家出?


まさかぁ~
喧嘩なんてしませんよ
ポムだって
昨日はチュンソク様と
きゅんきゅんに
幸せな夜でした


思い出して
急に恥ずかしく
なったのか
ポムは少し顔を赤らめた


じゃあ   どうして?


あれ?
大護軍様ったら
まだ言ってないんですか?


ああ
まさか婚礼の次の日に
来るとは思わぬゆえ
今宵話そうかと


なに?
なによ
ヨンも知ってるの?


ああ


知ってるも何も
大護軍様じきじきに
うちの旦那様に
お話があって


一呼吸置いて
ポムがくりくりと
目を動かして
それから
ウンスを見つめて言った


パク・ポム
本日よりこちらで
お世話になります


は?
やっぱり   家出?


違いますよぉ
チェ家に仕える私兵として
大護軍様に雇われました
て言うか
医仙様の
警護担当兼付き人ですから
よろしくお願いします


頭を下げた


は?
ヨンどういうこと?
だって
お嫁に行ったのよ   ポムは
武閣氏は辞めたでしょう?


チェヨンが口を挟む
暇もなくポムが答えた


ほら   医仙様が言ってた
ともばたらき?とかって
やつですから

屋敷にいたら
お母様があれやこれや
うるさくって

ここならチュンソク様と
朝   一緒に来て
夜   一緒に帰れるし
チュンソク様が王宮に
お泊りになる時は
この邸の離れを貸して
くださいね
ポムも
一緒に泊まりますから


は?え?
あの?


結婚するから
武閣氏は辞めました
けど   結婚してから
チェ家で働くなと言う
掟はないもの

でもチェ尚宮様には
ここで働くこと  まだ
お知らせしてないんです
ちゃんと武閣氏を辞めて
結婚するまでは
秘密だったから
うっかり
おしゃべりしそうで
苦しかったあ
だって医仙様  ポムが辞めるの
寂しそうだったもの

あー   やっと言えて
すっきりしたあ~~
ああ   でも大問題は
チェ尚宮様だわぁ
きっとじろりと睨まれるし
たわけ者~~って
叱られちゃうかも

でも    まあ
とにかく
そう言う訳ですから

医仙様のおそばにいられて
チュンソク様のお嫁にも
なれるなんて
ポムにとっては最高のお話


ポムがニコニコと笑った
何事か
よくわかっていない
ヘジャは
目が点になりながらも
横から口を挟んで言った


旦那様
そろそろお時間では?


あら   ほんとだわ
ヨン   兵舎に行かなくちゃ


ああ   そうだな
では後は頼むな
ポム殿


はーい


元気なポムの声がする


表まで見送りに出た
ウンスは
まだ狐につままれた
顔をしていたが
次第に状況が飲み込めて
来たようで
チェヨンに尋ねた


これは   ヨンの策?
だから挨拶もなしに
ポムは急に辞めたの?


さあて
どうであったかな?


チェヨンはとぼけた


チェヨンの優しい気遣い
妊婦の妻に良かれと
仕組んでくれたことが
うれしかった

ウンスはチェヨンの腕を
引いて顔を近づけると
その頬に口づけをし


ありがとう


チェヨンの耳元で呟く

チェヨンは
うれしげに頷くと


では   行ってくる


と   歩き出した


いってらっしゃい
旦那様


ウンスが後ろから
声をかけると
背を向けたまま
手だけ   振り
兵舎の方に歩いて行った
なんだかチェヨンの背中が
ちょっぴり 
軽そうにウンスには見えた

ポムがチェヨンを
見送りながらウンスに言う


あのね   医仙様
産み月が近くなって
医仙様が何かと
気弱で不安になって
いるみたいだから
無事に
ご出産されるまで
ポムをそばに仕えさせて
くれないかって
大護軍様がチュンソク様に
お頼みになったの

それって
ポムには願ってもない話だし
チュンソク様も
それがいいって
言ってくれたから

だからまた  ポムは
医仙様のおそばに
いられるんです


ポムは
うれしそうに笑って
ウンスを見た


軽やかな風が
邸の前庭を
吹き抜けて行った


*******


『今日よりも明日もっと』
優しい嘘に心が温まり
いっぱいの愛に心が癒される








あらら   (^▽^;)
嫁に行ったポムが
帰って来ちゃいました

新妻ポムの活躍に
ご期待くださいませ  (´∀`)