眩しい太陽の光に
ポムの頭に飾られた
チョクドリ(冠)が
きらきらと光っていた

庭の片隅でチュンソクの
到着を待っている時
ポム付きの侍女ゲファが
ウンスに小声で尋ねた


あのう
このようなチョクドリは
今まで
見たことがございませんが


うふふ そうでしょう?
これはね 天界でいう
ティアラっていう王冠を
イメージして作ってもらったの


ててて??
い い ?
よくわかりませぬが
天界の様式なのでございますね


うふふ そうよ
ゆらゆらと綺麗でしょう?


はい たいそう


ゲファはさも有り難そうに
ウンスに言った
横で聞いていたポムは


そうなのでございますね!
どおりで
いままでどこの婚礼でも
見たことがないと
思うておりました
高麗でただ一人で
ポムだけございますね
このチョクドリを
持っているのは


そうね
そう言うことになるわね


天界に憧れ
ウンスに憧れる
ポムが
うっとりとした顔をした


ほらポム
そろそろ 
新郎のチュンソクさんが
到着するわ


ウンスの声にポムが
我に返った


チュンソクは緊張した面持ちで
パク家の門をくぐった

青色の官服に身を包んだ
チュンソクが
手にした雁を新婦の母に捧げ
両親に二人の永久の愛を誓う

雁は一生つがいの鳥
これから決して離れないと言う
永遠の夫婦の証であった


チュンソクの隣には
チェヨンが付き添いを務め
ウンスがポムの手を引いて
チュンソクの元へと
連れて行く

美しく可愛らしい花嫁ポム


婚礼卓上を挟んで
チュンソクが東に
ポムが西へと向かい
互いに向かい合う

チュンソクはポムが
美しい天女となって
自分のもとに舞い降りたと
心の底から喜びを感じ
息を止めて見惚れた

やっとふうと息を吐き出すと
また もう一度
目を細めてポムと見つめた

恥ずかしそうにポムが下を向く
その姿も愛らしい


隣にいるチェヨンとウンスも
当然向かい合っていた
チェヨンはウンスの上気した
桃色の頬に手を伸ばして
触れたい衝動を抑え
ただじっと妻を見つめた
時折ふたりは互いに見つめあい
微笑みあう

ウンスが身重なので
後にヘジャが付き添っていた
ヘジャは思う

いやはや よもや
旦那様はご自分が奥様と
婚礼を挙げていらっしゃると
錯覚してはいないだろうか?



爽やかな風が
吹き抜ける中二人の
婚礼が多くの人が見守る中で
粛々と行われていく


新郎と新婦は
これから行われる婚礼に
身を清め のぞむため
水瓶で 手を洗う

そして交拝礼(キョベレ)
新婦ポムがウンスやヘジャの
助けを借りてチュンソクに
深々と2回敬礼をする

隣でポムを支えるウンスが
転びやしないかと
チェヨンは気が気ではない

なんとか無事にお辞儀が
終わると
次はチェヨンに助けられながら
チュンソクが1度敬礼をする

そしてまたポムが
深々と2度

起き上がる時に
うっかりと
ポムがチマの先を踏みつけ
ふらりとなった
ウンスが助けようとさらに
ふらつく
ヘジャが慌てて駆け寄るが
チェヨンは我慢出来ずに
ウンスを抱え起こした

どよめきがおこり

周りの者から
ふ~と安堵のため息が
漏れた


大丈夫か イムジャ


うんうん 大丈夫
それより ヨン 
早く戻って
お式の最中よ


ああ そうであった


ウンスを
しっかり立たせると
チェヨンはチュンソクの
横に立つ

チュンソクがほっと
胸をなで下ろし 
ポムを見つめてから
もう一度深くお辞儀をした

最後にふたりは膝を付き
向かい合う
互いにお辞儀を繰り返すことで 
新郎新婦は 互いを認めあい
理解する夫婦の第一歩を
踏み出したことになる


夫婦になる二人が同じ盃で
酒を飲む
合排礼(ハッグンレ)
ウンスが小さな盃に酒をつぐ

夫婦の調和を象徴するように
同じ盃を二人は回し飲む
飲み残さずに最後は
新郎チュンソクが盃をあけた

それから
新しく夫婦になった二人は
同時に三回お辞儀をする
一度目は今まで育ててくれた
両親への感謝を込めて
二度目は先祖に
三度目は今日集いし
二人を見守る客人に

幸せになりますと
誓うように・・・

心を込めてお辞儀をした

心温かい皆に見守られ
無事に夫婦になった幸せから
ポムの目にきらりと光る
雫がひとつ 浮かんでいた


こうして 婚礼は無事終わった


重たい花嫁衣装に身を包んだ
ポムは身動きが取れず
引き続き庭で行われた宴も
壇上から動けずにいた

チュンソクは次々に
祝福に訪れる客人の
酒の盃を受取っている


お前 大丈夫か?
このあともまだ
その 嫁御と大切な
あれがあるだろう
酔いつぶれるなよ


チェヨンが
そっと耳打ちをした
一方ポムは


医仙様~おもたい
くるしいです~


衣装の重さに泣きが入り
隣に座るウンスに
ポムは助けを求めている


もう少しの辛抱よ
宴ももうすぐ終わるから
ポム 綺麗だったわ
チュンソクさんも
見とれていたわね


ウンスがふふっと笑って言った


婚礼のあとの宴には
パク家が用意した豪華な
料理が並んでいた

典医寺から参加した皆も
楽しそうに宴に加わり
トクマンとテマンも
隊長のお祝いにうれしそうだ

あちらこちらでにぎやかな
楽しそうな声が聞こえて来る

そんな時 ポムの知り合いの
名家のご息女たちが
ポムのまわりをきらびやかに
取り囲み
ポムの美しさを褒めたたえた


あのね
頬を赤くしたのは
医仙様の天界式なのよ
いいでしょう
邪気を払うんですって


へ~
すてきね~


と ポムと同じ年頃の
若い女人がみんなが感心して
私も嫁入りのときにするわ
と 口々に言っていた


ヨンジコンジをこの時代に
広めたのは
もしかして?私?


ウンスはふと疑念に思ったが
素知らぬ振りを決め込んだ


華やかな宴は滞りなく
和やかなうちに閉幕となった

チェヨンは
ウンスを気遣いながら
王宮の邸へと戻っていく


皆が帰り支度の頃
星空の下を
チュンソクは下男に連れられ
ポムは
侍女ゲファに手を引かれ
美しく飾り付けた新房へと
辿り着いた


静かな夜だった


*******


『今日よりも明日もっと』
皆に見守られ
新しい一歩を歩き出す






無事に婚礼が終了
ご臨席ありがとうございました


伝統の婚礼をお話の都合上
haruなりにアレンジしております
ご了承下さいませ


で  夜です・・・(///∇//)


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