すっきりとした
秋の空が広がって
綿あめみたいな雲が
ぷかぷかと浮かんでいた


いいお天気でよかった
秋晴れね


そうだな


邸の前庭で
チェヨンもウンスと一緒に
空を見上げた
目に鮮やかな青空が広がる

まぶしそうに見つめるウンスを
眩しい思いで チェヨンは
見つめた

つんと尖った顎
潤んだ紅い口元
かわいい鼻筋

その時
爽やかな風が頬をなで
ウンスの髪の毛がはらりと
風に舞った

チェヨンはウンスの髪を
そっとなでつけ


では 行って参る


名残惜しそうにそう言った
できることならいつまでも
ウンスの顔を見ていたい


うふふ いってらっしゃい
兵舎は直ぐそこ
いつでも顔が見られるわ


そうだな


チェヨンの気持ちを
見透かすように
ウンスが笑って言った


では 行くか


うん 気をつけて


ああ


ヨン
忘れ物


少し背伸びをして
チェヨンの唇にウンスが
唇を重ねる
転ばぬようにとチェヨンは
ウンスをしっかり抱きしめた


じゃあ


うん


ウンスの後に控える
ヘジャは
平然とふたりを見送り
女官たちはしどろもどろで
下を向いたまま
顔をあげられなかった


いつもの光景です
むしろこれを拝まない方が
居心地が悪い
おふたりが
喧嘩しているときですから


ウンスに聞こえないように
横に並んだ二人に
小さく言った


はあ そのようなものですか


はい
うちの旦那様と奥様は
高麗一のご夫婦ですから


はあ


そのうち慣れますよ
いつものことですから


ヘジャが平然と言ったので
二人はますます顔を赤らめた


チェヨンが見えなくなるまで
見送ったウンスが
くるりと後を振り向いて言った


ヘジャ 今日は典医寺へ行くわ
ヨンファがもう来るだろうから
お供してもらいます


それがよろしいかと


ええ ヨリも一緒に来てね
今日は王妃様のところへも
顔を出すから


はい かしこまりました
医仙様


もともと王妃様に仕えていた
ヨリが頷いた


オリちゃんはヘジャと修行?


はい 医仙様
教えて頂くことが多くて


そう よかったわ
いずれは王妃様付きの
女官さんかしら?
女官の作法は
よくわからないけど
奥向きのことでヘジャに
敵う人はいないもの
なんでも 習うのよ


はい 


オリがにこっと
うれしそうに頷いた




それから直ぐにヨンファが
下男を供にやって来た

深い紅色のチマの裾に
綺麗に刺繍が施され
鮮やかな緑色のチョゴリは
血色のいい顔色を
引き立てている


おはようございます
医仙様


ヨンファ 毎日悪いわね
郡主様の奥様なのに
つき合わせてしまって


いえ ポムも宿下がりの今
少しでもお役に立てるなら
うれしいですわ


ありがとう
心強いわ
今日は坤成殿にも行きたいし
典医寺にも顔を出したいの


わかりました 医仙様
お供いたします


ヘジャ 供の人に何か
見繕って出してあげてね


はい ヘジャにお任せを


医仙様は変わらず
誰にでもお優しいですね
私も見習わなくちゃ


ヨンファが微笑む


だって天界では
身分の上下はないし
職業に貴賤はないのよ
典医寺でもね
みんなが働き易いように
休みを割り振ったり
労働条件をよくしたり
あとね給金もすこうしだけ
値上げしたのよ


ウンスはふふっと笑った
そこに
ヘジャがお茶を運んで来た


クックァチャ(菊花茶)に
ございます


青磁の湯のみに可愛らしい
菊の花が浮かんでいる
香りがふんわり漂う薄黄色の
お茶に 気分が落ち着く

ウンスがゆっくりと
お茶をすすっていると


医仙様の禄を当てていると
聞きましたが


ヨンファが心配そうに
尋ねた


あら いいのよ
ほら うちは旦那様が
しっかり稼いでいるでしょう
私の禄は サラのお給料や
典医寺の皆の為になれば
それでいいの
少しは手元にも残しているのよ
自分のお小遣い分くらいはね


いかにも医仙様らしい
それに大護軍様も
欲のないお方だし


そうね 私達お金に執着する
タイプではないわね


たいぷ?


うふふ 
そう言う
性質じゃないってことよ
お金儲けを考えだしたら
きりがないわ
でも 世の中には
お金より もっと
大事なこともあるでしょう?
人の心とか・・・
 
それにね
きっと私は恵まれているのよ
旦那様のおかげで
今日明日食べる物もないって
暮らしはしてないもの
だから 呑気でいられるのよ


ウンスは笑って言った
飾り気のない笑顔だった
それがとても美しく
ヨンファの目に映った


さて そろそろ行かなくちゃ
先に 坤成殿に寄ってから
典医寺に行くわ
ほら 噂をすれば・・・


ヘジャが サラ様がお越しです
と ウンスに告げる


は~い いま行くわ
サラにね 回診の準備をして
こっちに来てもらうように
言付けてあったのよ
行きましょう ヨンファ
きっと叔母様もお待ちかねよ


大きなお腹を大事そうに抱え
ウンスは坤成殿へと向かう


チェヨンが見立てた
美しい藍色の衣を身に着けて
凛とした顔で歩く姿は
幸せに満ちあふれ
周りの者にも
幸せを運んで来るかのようで
あった


*******


『今日よりも明日もっと』
幸せは すぐそばにある
気づくかどうかは
心の持ちよう
ひとつなのかも知れない






☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


おはようございます

水害の被害に遭われた皆様
まだ 復旧の道のりは遠く
大変な日々をお過ごしのことと
存じます
心より お見舞い申し上げます

さて今日は月曜日
また 新しい週がスタートしました

今週はいよいよポムの婚儀です
お話に
おつき合いいただけると
うれしいです

今朝は菊花茶を飲みたくて
飲みながら書きました
頭痛や目の疲労 肝臓にも
よく 二日酔いにも効くとか
効能はいろいろ ≧(´▽`)≦


穏やかな一週間になりますように
皆様 安寧にお過ごし下さい




にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村