屋敷の閨
朝陽が眩しい

雨が上がりすっきりとした
秋晴れが広がっていた

隣に眠るチェヨンは
昨日市を見た後
一旦は
ウンスを送り届けに
屋敷まで来たが   
すぐに王宮へと戻り
昨夜遅くに  やっと
帰って来たようだった

ひとりで床に着いたのに
朝目覚めたら
チェヨンの腕の中にいた

相変わらずに長い睫毛
すっとした鼻筋
優しい口元
大好きな彼の顔を見つめた

目を閉じたままのチェヨンは
ウンスに擦り寄ると唇を探した

おはようの代わりに
食むような口づけをする




久しぶりのデート
饅頭屋で
買い食いをした

賑やかな市を
ふたりでそぞろ歩くと   
市にいる民たちから
お腹の大きな
ウンスに声をかける


そろそろですかい?
楽しみですね


ウンスはうれしそうに頷き
微笑んで歩いた
チェヨンに
しっかり守られながら

店先には風にそよぐ尾花と
紅く染まったほおずきが
飾られている


そろそろお月見ね


ウンスが言うと


そうだな


チェヨンがウンスを見て
微笑んだ


チェヨンは   
馴染みの織物屋に
ウンスを連れて行くと
イ・ソンゲに対抗する
かのように
秋色の綺麗な反物を
何点も買い求めた


他の奴が選んだものを
身につけるなど
気に食わん


チェヨンの言葉が
くすぐったくて
人に束縛されるのは
苦手だったはずなのに

この人には
ずっと束縛されていたい

ウンスはそんなことを
思ってしまう

それから   白い柔らかな布を
みぃの産着用に用意した
典医寺の仕事を少し控えめに
したので
空いた時間でヘジャと一緒に
縫い物をしようかと思っていた

一通り用事を済ませて
屋敷に戻ったウンスは
先に屋敷に戻っていた
ヘジャと
こちらの屋敷を片付けた
そして
明日から王宮の邸での
暮らしを始めることに
決めていた




チェヨンは寝ぼけたふりで
ウンスの首筋にまとわりつき
耳たぶを甘噛みする


ヨン
駄目よ
ヨンはそろそろ
出仕の時間でしょう?


ああ


こら
やっ


ああ


ヨンたら


ああ
わかっておる
だが
もう少しだけ
もう少しだけ
イムジャのそばにおる


チェヨンの可愛い我儘が
ウンスに響く

ウンスは優しく
チェヨンを抱きしめた


*******


『今日よりも明日もっと』
隣に眠る大好きなあなたを
いつ迄も見つめていたい