昨日からの雨は止む気配がなく
都は雨模様の朝を迎えた

ヘジャは朝早くに
ふたりの着替えや
最低限生活に必要なものを
携えて
チェヨン邸に戻って来た


朝餉の用意をして
ウンスたちを起こし
朝の支度を手伝う


今朝も天気が悪いわね


食事の整った卓に落ち着き
ウンスが言った

昨夜は
なかなか鳴り止まない雷鳴に
チェヨンにしがみつくように
眠った
チェヨンはずっと抱きしめて
背中をさすってくれていた
手のぬくもりに
心がとけて   
やっと眠りについたのだった


そうだな
まだ雨風が強いみたいだ
足元も悪いゆえ
典医寺まで送って行こう


うん


今日もこっちに泊まった
方がいいのかしら?
チェ先生も
疲れがたまらないように
こっちに越して来たら?って
言ってたわ


侍医が?


うん   少し浮腫みが
あるじゃない


そうだな


チェヨンも昨夜
ウンスの足を触りながら
浮腫んでいるのを
心配していた


でもなあ
自分の家って感じが
しないのよね
まあ     
贅沢言ってられないか
身体が大事だものね


住めば都と申します


横からヘジャが言った


ああ   そうだ
それにここなら
兵舎に近く
何かあってもすぐに
駆けつけられるしな


うん
そうね
でも   
お天気が良くなったら
一度屋敷に
戻ってもいいでしょう?
持って来たいものもあるし


ああ   無論
一緒に行こう


うん


それはそうとな
イムジャ


なに?


あのな


言い出しずらそうに
チェヨンが言った


イ・ソンゲがな
イムジャに会いたいそうだが
如何する?
輿入れが無事に終わるまでは
余計なことを
耳に入れぬ方がいいかと
思って   待たせておった


あら?そおなの?
私もね   
会いたいと思っていたのよ
あのイ・ソンゲさんでしょう?
天界で知らない人は
一人もいないわ


そうなのか?


複雑な気持ちもあるけど
担当医師としては
会わなきゃね
あなたの部下でもあるんだし


ウンスは笑う


ああ


笑ったウンスを見つめた


ヘジャが運んで来たお茶を
飲みながら
ウンスが言った


ここなら朝
ゆっくり出来るわね
ほら   職場は同じ敷地だもの


そうだな


互いに見つめ合ったまま
動きが止まる
ヘジャが膳を片付けながら


ほどほどが
よろしいかと


そう言い残して
部屋から消えた


ほどほどだって


ウンスが笑う


イムジャとの接吻
ほどほどには出来ぬ


ふたりは微笑み合って
ゆっくり唇を合わせた


ばらばらと聞こえる
雨音の調べが
リズムを刻むBGMに
ウンスには思えた


*******


『今日よりも明日もっと』
何処にいたって
あなたはあなた
私は私






おはようございます

台風上陸
進路に当たる東海の皆様
台風の影響が
出ている地域の皆様

自然災害とは言え
被害が最小限で済みますように

どうか
安寧にお過ごしくださいませ