にぎやかに
宴は続いていた

ポムはチュンソクに
手を引かれて戻った

指の先まで熱く感じ
どきどきして
頬が真っ赤なのが
自分でもわかった

チュンソク様は
どうなのだろう?と
覗き込んだが
いつもと変わって
見えなかった


やっぱりこれで
どきどきするのは
ポムが子どもだからだ


胸に手を当てて
なんども深呼吸をした

チュンソクは先ほどから
自分の中にこもった熱を
どう逃がしたらいいか
途方に暮れていた
隣ではポムがなんども
深呼吸を繰り返す

繋いだ手が
汗ばんでいることに
ポムは気づいているだろうか

悟られぬように
顔を見た

柔らかな唇が目に入り
また胸が高鳴るのであった



王様と王妃様は
暫く歓談した後
一足先に
寝所にお戻りになることに
なった
チュンソクを探したが
見当たらない

ウンスのそばを離れるのは
気がかりであったが
チェヨンが
供をすることとした


よいか ここで
おとなしくしておれ


耳元で囁くと


はい 旦那様
おとなしく待ってるわ


しおらしい
ウンスの声が聞こえた


ヘジャ あとを頼むぞ


はい お任せを


ヘジャにウンスのそばに
来てもらい
チェヨンはその場を離れた


王様と王妃様を寝所に
送り届け
急ぎ駆け戻る
秋の涼しい風が頬に当った

半月なのに夜道を照らすには
十分な灯りがあった

邸の前庭に戻ると
ウンスの姿が
一瞬見えなかった

ウンスの周りには
たくさんの人が集まり
楽しそうに囲んでいる

その中心で紅い衣を
身にまとった
美しい妻が 
母親の顔で笑っていた


そうなのよ
すごい元気なの
ほらね ぐ~んて
足が出て来るでしょう?
あら?手かしら?
チェ先生どっちかな?


武閣氏に囲まれ
弱り果てていた
チェ侍医はウンスのもとに
避難して来たようで
そのまま武閣氏も大移動を
していた

トクマンとサラとトギも
そこにおり
ウンスのお腹を見ている


さて どちらでしょう?
この位置ならば手でしょうか?
お腹の張りはありませぬか?


チェ侍医が確かめるように
ウンスのお腹に触れた


ええ 大丈夫よ


おお 
相変わらず元気なお子だ


チェ侍医は手の感触を
確認するように
ウンスに微笑んだ


そ そんなに
動くんですか?


トクマンが聞いた


ええ どうぞ
触ってごらんなさい


ウンスがトクマンの手を
腹に当てた


お~~~
動いた すげ~


トクマンが興奮したように
叫んだ
チェヨンは我慢ならずに
トクマンを
怖い顔で睨みつけた

チェヨンの視線に気がついた
トクマンは震え上がって
冷や汗を流すと
そおっとその場を離れて行った

そんなことに気がつかない
武閣氏たちは
次から次へとウンスの
お腹に触り
みぃが元気よく動く様子に
歓声をあげる


様子を蚊帳の外で眺め
イライラが募る
チェヨンのそばに
パク・インギュが
やって来て


悋気ですか?


と 軽口を叩いた


そのようなことはない


そう言うと近くに
あった酒の盃を
ぐいとあおいだ


だが 医仙様のお腹を
みんなが触っておりますぞ


腹の子に触れているのだ
皆に喜ばれ 腹の子も
喜んでおる


チェヨンが強がる
インギュはからかうように


ならば 某も
腹のお子に
触れてきましょうか


そう言った


貴様! 
戯れ言も大概にせよ


パク・インギュは


やれやれ 相変わらず
奥方のことになると
ムキになるのだから


笑って その場を
ウンスとは反対方向に
立ち去った


チェヨンは心を鎮める為に
また 酒をあおる
また また・・・
樽ごと飲んでも
心が穏やかになる気が
しなかった


ヨンファがキム・ドクチェと
ウンスのそばに来て


私も触ってよろしいですか?


そう聞いた


ええ ヨンファもちろんよ
あなたも
近いうちにきっとこうなるわ


ウンスが微笑んだ
ヨンファがそっと
お腹に触れる

みぃがヨンファの手のひらを
ぐんと蹴った


ああ すごい
お腹の中で健やかに
生きているのですね


ヨンファが感動して呟いた

ポムがそこに小走りに
やって来てウンスに
耳打ちをした


あらあら
わかったわ
今行くから 
チュンソクさんにそう伝えて


ウンスは首をすくめた


ヨンファちょっと席を外すわ
あとはヘジャにお願いするから
何かあったら 言ってね


どうかされたのですか?


うふふ いつものことよ


ウンスの目の先には
チュンソクに担がれた
チェヨンがいた


ああ 


ヨンファが頷く


ヨンファ結婚おめでとう
これからうんと幸せに
なるのよ
キムさん どうかヨンファを
よろしく頼みます


ウンスは立ち上がって
二人に頭を下げると


ヘジャにあとを任せ
チェヨンを抱え
困惑顔のチュンソクの元へと
向かった


チュンソクさん
ごめんなさいね


いえ 構いませんが
いつのまにこんなに


そばにあった酒の樽が
空っぽだった


寝所から戻っていたなら
すぐにそばに来てくれても
いいのに


ウンスは言いながら
ああ そうか
そういうことか
どこ辺りから見ていたの
だろう?と
先ほどの自分を取り巻く
光景を思い出す


しょうがない旦那様ね
チュンソクさん
悪いけど奥に運んでくれる?


はっ


人混みをそっと抜け出して
邸の奥へとチェヨンを
連れて行く
ポムが心配そうに
様子を見ながら
ウンスの手を引いて歩いた


大護軍様
いかがされたのでしょう?


ちょっと拗ねただけよ


ウンスの余裕のある微笑みが
ポムには眩しかった

チュンソクが
閨の前まで運び込み
大丈夫ですか?と心配する
ウンスは声に手を振って
ふらふらするチェヨンを
寝台まで連れて行った


いむりゃ
おれは よってはおらぬ~


はいはい 
わかっているわ


いむりゃ
きいておるか~


はいはい
聞いてますよ
旦那様


ウンスが笑った


戸口の前でポムと
チュンソクは
顔を見合わせた

いつもは誰もが恐れる
高麗の守護神チェヨンが
ウンスの前では
幼子のように
駄々をこねている


大護軍様ったら
医仙様に甘えたいのね


ポムが大人びたことを
言って 
また
チュンソクをどきどきさせた


篝火の炎がだんだんと
小さくなっていく頃

皆に幸せな気持ちを運んだ
ヨンファの
結婚披露パーティーは
静かに
幕を下ろしたのだった


*******


『今日よりも明日もっと』
独り占め
していたい・・・と
思ってしまう





☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


千葉の突風被害
各地の雷雨 豪雨
不安定な天気が
続いておりますが
皆様の街は大丈夫でしょうか?

今日は月曜日
また新しい一週間が始まります

皆様 どうぞ
安寧にお過ごし下さいませ



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