戦の話は心にずきんとした
痛みを与えた
だが   今は目の前の
チュンソクとポムも気にかかる


ウンスはチェヨンの腕の中で


そろそろ部屋に戻ろうかしら
戦の話は家に帰ってから
ゆっくり聞く


気丈にそう告げた


ああ   そうだな
それに   イムジャに
話しておきたいこともあるし


話しておきたいこと?


ああ   急がぬゆえ
屋敷に戻ってからでよい


そう?
わかったわ
とりあえず   様子を見て
来なくちゃね


此度   チュンソクは
王宮の警護で残していくゆえ
あの堅物を頼んだぞ


うふふ
他ならぬチュンソクさんと
可愛いポムのためだもの


なれど


無理はするなでしょう?
わかってるわ
からだを大切にする
心配しないで
ちゃんと食べるし
ちゃんと一人でも眠れるわ


イムジャ


これ以上何か言われたら
泣いちゃうから
今は何も言わないで
ポムの幸せに水を差すことは
したくないの


ウンスが揺れる瞳で
チェヨンを見つめた


ウンスの部屋では
急に腕を離したチュンソクに
ポムがきょとんとした顔で
首を傾けて聞いた


どうされたのですか?


気配が
きっと  大護軍と医仙様


ああ
でもおふたりも
いつも抱擁されてますもの
大目に見てくださるわ


いや   某の体面もあるゆえ


チュンソクはしどろもどろ


何が体面だ


チェヨンがそう言いながら
ウンスとともに戻って来た
ウンスは
出兵の話を聞いたであろうに
微笑んでいた
それがかえって切なく
チュンソクには思えた


ポム   ちゃんと確かめた?
チュンソクさんの気持ち


泣き顏が   笑い顔に変わる


はい!  医仙様
ポムのことをまる
ん   ぐっ


チュンソクが慌てて
ポムの口を手で塞ぐ


あら   いいじゃない
教えてくれても
プロポーズ


ぶろ?ぷろ?


ええ   そうよ
結婚の申し込みのこと


天界の言葉に憧れるポムには
ひどく美しい響きに聞こえた


ぷろぽーす?
医仙様も言われたのですか?


うふふ
もちろんよ
でも教えてあげなーい
私の宝物だから


えーっ   ポムからは
聞き出そうとしたくせに
ずるい~~


いつものポムの様子に
チェヨンが
小さくチュンソクに
聞いた


ほんとにあの娘御で
良いのか?
まだ子供ではないか


それもまた  よしです


チュンソクは照れたように
笑ってポムを見つめた


ウンスがそうだ!と言う顔をして


ポムのお母様とお話を
しなくちゃいけないわ
結婚を反対なのよね?
お父様は賛成なの?


はい    もともとは
お父様が勧めた縁談ですゆえ


そう
チュンソクさんも一緒に
行って事情を説明しなくちゃ
ポムはね
お屋敷を脱走して来たのよ


なんと!
チュンソクが頭を抱えた


私も一緒に行くわ
傷のことを説明しなきゃ


いえ   医仙様
某だけで大丈夫です


でも


医仙様は大護軍とお屋敷に
お戻りください
某が母上様に話をしますゆえ


策はあるのか?


チェヨンが聞いた


某の上役がいつも
常としております
正面突破で


チェヨンがふっと笑った


そうか
正面突破か


はい


ウンスの心配をよそに
男ふたりは顔を見合わせ
頷きあっている


ポム殿
では   行きましょうか


はい   チュンソク様
ポム殿ではなく
ポムとお呼びくださいませ


ポムのはしゃぐ声
はにかむチュンソクの声
部屋を後にするふたりを
ウンスは微笑ましく見送った


大丈夫みたいね


チュンソクならば
肝は座っておるゆえ


うん
そうよね
何しろ   こんなに何でも
丸投げの上役に
ずっと仕えているんだもの
相当気遣いが出来るはずよね


ウンスが笑う


そのような戯れ言ばかり
言っておると
その口    塞ぐぞ


どっちにしたって
そろそろ
塞ごうと思ってたくせに


ああ    わかっておったか


チェヨンはウンスの唇を
唇で塞いだ
変わらぬ優しい味がした 


*******


『今日よりも明日もっと』
歩き始めたばかりの恋も
いつしか   かけがえのない
愛へと移りゆく



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