雨がざーっと降って
空気がひんやり冷えていた

このところの蒸し暑さが
少しばかり
収まったようだった


ウンスはポムを目の前に
典医寺の自室で
昨夜のことを思い返していた


*******


ふたりで湯浴みをして
手をつないで閨に戻る
すこし急ぐチェヨンに
ウンスは手を引かれる
かっこうだ


あのね
ぎゅって
抱きしめて寝て
とは 言ったけど
それ以上はなしだからね


あ?


チェヨンの歩みが
急に止まる
勢い余って
おっとっと・・・と
反動がついたウンスを
両手ですぽっと抱きしめて
尋ねた


それは その
ただ 抱きしめて寝る
だけだと・・・
イムジャは俺に
拷問を課すのか?


は? 拷問って・・・
私はただヨンの腕の中で
安心して眠りたいだけよ
だって今日はなんだか
寂しい気がしたから


激しい雨が屋根に響く
ぱらぱらがいつしか
ざあざあになり
どしゃーっ と
勢いよく降り注いでいる


でも 大丈夫
さっきの話で すっかり
緩んだ気が元に戻った
それにしても
どこをどうしたら
そうなるのかしら?


パク殿に言われしことを
聞きたいか?


聞きたい!
聞きたい!


ウンスが目を
きらきらさせて頷いた
先ほどまでの沈みようは
影を潜め
幾分元気になったように
思えたチェヨンは
ほっと胸を撫で下ろした

まあ よいか
イムジャが元気なのが一番
今日は なしでも
しかたあるまい

チェヨンはひとりごちた



もうすぐ閨の扉が開く
外の雨音はますます強くなり
遠くで雷鳴がした


閨の寝台の上で
チェヨンが
ほおづえをついて
ウンスを見つめていた
時々髪をなで 
時々その手に口づけながら

チェヨンはウンスにまるで
お伽話を聞かせる
父親のように
優しい顔で話を始めた


ポムの兄が出兵したことは
知っておろう


うん もちろん


母上様の嘆きが
大きかったことも


ええ 聞いたわ
だから元気を出してと
桜桃のジャムを
差し上げたのよ


そうであったな


うん でも
それがどうしてポムの
結婚と繋がるの?


ポムを屋敷に
呼び戻したいそうだ
武閣氏は危ないお役目で
あろう?


うん
それは分かるけど
だからどうして彼なのか
ってとこよ?


それは だ・・・
兄は文官にも関わらず
戦に行ったであろう


ええ 


それまでは文官の
誉れ高い家柄としか
縁を結んで来なかった
そうだ


でしょうね
あなたのお嫁さんに
なるはずだった
くらいだもの


少しだけ声に拗ねた色が
混じって聞こえた


俺はまるきり記憶にないぞ
何より 本人も覚えて
おらぬであろう
まだ乳飲み子であった


でもぉ


覆いかぶさるように
チェヨンはウンスと
唇を重ねた
優しい口づけが
ウンスの拗ねた心を解いた


それでだ
文官 武官のこだわりは
捨てたそうだ


ふ~ん



あの女人すこうし変わって
おるであろう?


え?そうかしら?
かわいくて素直な子よ


だが イムジャが好きな
ようだ


そう言うと今度は
チェヨンがむっとした


ぷっと吹き出したウンスが
今度はチェヨンの首に
手を回して口づけてから


妬いてるの?


と聞いた


妬いてなどない


ウンスからの口づけを
食むように続けて
やっと離してから
チェヨンが言った


ただ まあ
イムジャが好きだと
どこでも公言して
歩いているゆえ
パク殿も頭を抱えておった


ふふふ
それだけ子どもなのよ


風がわりな女人で
あることには 変わらぬ
だいたい
パク家のご息女が
武閣氏であること自体
パク家には由々しきこと
なのかも知れぬ


そうかな?
で?


ウダルチは
王様の近衛兵であろう


ええ


王室の信も熱く
家柄もみなそこそこよい
そのうえ
武官としては位も高い


うん


で 俺に相談があった


ん?まさかほんとに
側室?


それは俺がきっぱりと


と 言ってから
しまったという顔をする


やっぱりそうなのね
それで
まさか丸投げしたの?


そんな訳あるか
人の人生を
そのようなことで
俺に言われたのは戯れだ
初めからあの者を
考えていたようだ
家柄 人望
この先の立身出世など
パク家ともなれば
色々と調べたであろう


そう ならよかった
それで白羽の矢が
立ったのね


ああ 
あの者であれば
じゃじゃ馬をうまく
操れるであろうと
パク殿も仰られてな


うふふ 確かに
彼なら大丈夫だわ
なにせ あなたに
鍛えられているもの


それはどういう意味だ?
イムジャ


いいの いいの
で 続けて・・・


まあ よいか・・・でだ
ポムのことだ
きっと絶対に嫌がるであろう
パク殿がそう仰られて
それでイムジャと俺に
間に入ってくれぬかと
そう申されたのだ
特にイムジャにポムを
説得して欲しいと


ふ~ん
側室ね~ポムをね~
ふ~ん


ウンスがじろりと
チェヨンを見て言った


イムジャ まだ根に持つか?
そうではない
奴とポムのことだ
それをイムジャに説得して
欲しいそうだ
いつまでも
戯言のようなこと申せば


申せば?


抱くぞ


*******


チェヨンは兵舎に着くと
テマンに言った


呼んで参れ


はい・・・でも
いいんですか?
ほんとに・・・?
あのポム様ですよ
お相手が


それは当人同士の
問題であろう
先方から話は奴の屋敷に
伝わったはず
とりあえず俺は話を
聞かねばならぬ


二階のチェヨンの部屋
扉がぎぎぎっと
渋く開いた


大護軍・・・


かなり困惑し
弱り切った
チュンソクの姿が
そこにあった


*******


『今日よりも明日もっと』
ともに歩むパートナー
誰よりも大切なあなた
 



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*


さて ポムとチュンソク
成就した方が
いいのかどうか?
うふふ 思案中・・・
皆様 どう思うかしら??


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