赤紫の紫陽花のような
空の下を
チェヨンとウンスが
アンジェの屋敷に向かうために
仲睦まじく
典医寺を後にしてからも
チェ侍医は視線の先の
彼女がどうにも気になって
仕方なかった
まさかと思う
そんな素振り
今まで一度もなかったし
自分の中で
何度も振り返ってみた
だが 自分の勘が正しいと
自分の心が言っている
自分と同じ目をしていたから
あの目は報われない思いを
抱いている目だ
チェ侍医は深々と
ため息をついた
これは ますます厄介だ
サラが そんな
チェ侍医に声をかける
なんだか浮かない顔
どうかなさいましたか？
いや なんでもない
それより 日誌のまとめは
順調か？
チェ侍医は動揺を
気づかれぬように
話題を変えて涼し気に言った
はい おかげさまで
医仙様にもいろいろと
ご教授いただいてますし
勉強会が終わる頃には
よいものに仕上がりそうな
気がいたします
それは上々
では私は今日はこのくらいで
屋敷に引き上げるとするか
サラはまだ残るのか？
はい
もう少しだけ残っていいですか
医仙様にお借りした
薬草の書物を
書き写してしまいたいんです
それは構わぬが
頃合いをみて早く帰るのだぞ
はい ありがとうございます
診療室にはサラと
なんとなく帰りそびれた
ヨンファが残った
ヨンファさんはまだ
帰らなくていいの？
帰るも何も すみかは王宮の
女官部屋だもの
そっか そうよね
ヨンファさんはポムさんと
同じ部屋なの？
そうよ 四人部屋だから
あとふたりいるけど
そうなんだ
でも ポムさんてパク様の
ご息女なんでしょう？
高貴なご身分なのに
大部屋でおまけに武閣氏
なかなか出来ないことよね
ええ ポムは
どこか変わっているわ
だから武閣氏なんでしょうね
でも素直でまっすぐな子
育ちがいいからかしら
おかしなことを言っても
嫌味がないのよ
かわいいから
笑って済ませられるわ
あんな風になりたかった
あら ヨンファさんも
美人だと思うけど
的外れな言い様で
サラがヨンファに言う
ヨンファは驚いたように
な なにを急に美人とか
あのね
私は性格が悪いのよ
どうしても物事を斜に構えて
見てしまうの
そうかしら？
そんな風には思えないけど
それは
サラさんがいい人だからよ
あなたも澄んだ瞳で物事を
捉えるでしょう？
医仙様みたいに・・・
私とは違うわ
きっと親や周りの人に
可愛がられて
大きくなったからだわ
私はそうじゃないの
ヨンファの憂いた声には
気がつかず
サラが声をあげて喜んだ
まあ 医仙様みたい？
うれしいわ
医仙様みたくなりたいの
医者としても女としても
地に足をつけて
しっかり生きてるでしょう
あんなにみんなから慕われて
それに 大護軍様に
あんなに慕われて う～ん
慕うとかそう言う言葉じゃ
足りないくらいよね
だって本当に
互いに一途だもの
おふたりの周りだけ
いつも
花が咲いてるみたいよね
そうね
眩しすぎて
真っすぐ見られないわ
うふ ほんとね
でも 医仙様もいろいろ
ご苦労なさったみたいよ
天界でも
それから大護軍と
離れ離れの4年間も
そうなんだ
でも 結局
今はお幸せなんだから
それで帳尻が合うんじゃない？
まあね
そうかも知れないわね
サラがこくんと頷いた
＊＊＊＊＊＊＊
ヨンファは
中庭の端の大木の下に
ぼんやりと佇んでいた
初めて
言葉を交わした日のことを思う
チェ尚宮様について
よくお屋敷に伺いましたと
心臓が飛び出るくらい
緊張しながら
やっとの思いで声をかけた
「そうであったか」と一言
はらはらと落ちてきた枯れ葉が
髪についたので 背伸びをして
取って差し上げたら
微笑んでくれた気がした
だが それは幻・・・
その場を見ていた医仙様が
走り去ってしまわれると
ものすごく切ない顔をして
すぐに追いかけて
行ってしまわれた
あたりまえか・・・
医仙様以外
目には入らないんだから
はぁと ため息をついた
ヨンファを
チェ侍医が怖い顔つきで
じっと見ていた
紫陽花の花が揺れている
＊＊＊＊＊＊＊
『今日よりも明日もっと』
叶わぬ恋慕の心に
頑丈な蓋をする
☆*ﾟ ゜ﾟ*☆*ﾟ ゜ﾟ*
昨日の「恋慕三部作」に
びっくり
するくらいのたくさんのご訪問を
いただき ほんとうに
ありがとうございました
haruの過去のアクセス数
歴代？ 2位 (〃∇〃)でした
感謝です ヾ(＠°▽°＠)ﾉ
さて 今回のお話では
「恋慕りんき」と
コラボ？させてみました
もうお分かりですよね～
ヨンの髪の毛に触れたのは
ヨンファでした・・・
其のヨン十なのに
あまあまじゃなくて
ごめんなさい m(_ _ )m
しか～も ヨンもウンスも
出て来ないという暴挙？？
です・・・(￣_￣ i)
これからの展開をお楽しみ
いただけるとうれしいです
月曜日が始まりました
皆様 良い一週間を・・・
にほんブログ村