アンジェの屋敷に向かうため
腰に乗り込んだふたりが
がたん どとんと
音を立てているのを
輿に並んで歩いていた
テマンが聞いていた

さっきまでなんだかんだと
チェヨンに
文句を言っているように
見えたウンス


またやってらぁ
本当にどれだけ
仲がいいんだか
あきれちまう


テマンに
ふっと笑いが込み上がる
言い合いもじゃれあいにしか
見えなかった


大護軍は朝からすこぶる
機嫌がよかったと
テマンは思い出す
前の晩 長引いた軍議が
やっと終わると

相当険しい顔つきで
声をかけるのもはばかられる
ような雰囲気で
お帰りになったのに
朝になると
上機嫌で 兵舎にあらわれた


医仙様が大護軍のお心を
鎮めてくださったに
違いないと思った


そしてその証拠を
チェヨンの喉のくぼみに
見つけた時 テマンは
のけぞりそうになった


あんなにはっきり唇の形が
残っているのに
まったく隠そうとしない
なんて・・・


*******


兵舎でもたちまち噂になった
男ばかりの所帯
妻を娶った者もいるが
大半は若い男の集団だ
気になって 気になって
仕方ない様子に
当のチェヨンは
気にかける様子もなく
いつものように淡々と職責を
こなしている


チェヨンが康安殿へと
向かった隙に
トクマンはテマンのところに
飛んできて


おいおい あれ見たか?
どう見ても医仙様の唇の跡
だよな


興奮しながら捲し立てた


ああ そうだな


テマンは面倒くさそうに
そう答えた
あそこでも
ここでも
ウダルチたちは
みんなテマンに聞いて来る


ああ 仲がよろしいのは
いいことじゃないか


それにしても生なましいよな
医仙様がつけた・・・跡


トクマンはうっかり
その様子を想像して
自分の想像に真っ赤になった


ばっ ばか
そんなこと言ってたら
大護軍に叱られるぞ


ああ そうだった と
慌てて顔つきを引き締めるが
またでれっとしてしまう


いいなあ
俺も早く嫁さんが欲しいよ


トクマンがぼやいた
周りのウダルチも頷きあう


だが皆が戦に出立する前の日に
あれはちいとまずくないか?
それでなくても
今回行かなかったのは
医仙様のためじゃないかって
みんないってるだろ


誰かが言った


誰がそんなこと言った!?


トクマンが怒り出す


我らが大護軍は
そのようなことで
戦を放棄するような方で
ないこと
ウダルチなら
みんな知ってるだろ


その場がしんと静まった



王に謁見するため
チェヨンは
チュンソクとともに
康安殿に向かっていた

チュンソクが恐る恐る
チェヨンに言う


なにやら兵舎が浮き足立って
おります
その 大護軍の・・・


なんだ?俺がどうかしたか?


いえ あのその


しどろもどろのチュンソクに
指の腹で喉元をさすりながら
チェヨンが言った


そんなに目立つか?


はい?
はい・・・すこしばかり
若い者には刺激が強いかと


チュンソクはチェヨンの
様子を見ながら答える


そうか 刺激が強いか


チェヨンは笑った


王宮の噂になるな
大護軍は妻に骨抜きで
戦にも出ないと


いえ そのようなことは


いや それでよいのだ


は?


俺が双城の戦に出て行けば
すべて解決すると誰もが
思っているようだが


はい その通りでは
ございませんか


そうではない
高麗軍は俺一人の軍ではない
こたび 指揮をとる
柳仁雨(ユ・イヌ)殿にしろ
他の武将にしろ
それでは行く前から
面白くないではないか
そのような士気の下がる戦
勝てるものも勝てなくなる


はあ


よいのだ
俺はせいぜい腑抜けで
妻と離れがたくて
戦に行かぬ たわけた武人と
思わせておけば良い
それに妻が恋しいのは
本当のことだしな


臆面もなくチェヨンが
くくっと笑った


よいのですか?それで


こたびの戦は王様が
他の者にも戦の功名の機会をと
お考えになって組んだ陣営
ゆえに よいのだ
お前がわかっていれば
それでよい


はっ!
チュンソクは力強く答えた


行き交う武閣氏が
こそこそと互いに囁きながら
目を伏せるように
ふたりの横を通り過ぎて行く

チェヨンはウンスのつけた
勲章をあえて隠さず
堂々と皆に見せびらかせた
ので 噂はあっという間に
王宮に広がった


これでは叔母上の耳にも
すでに届いておるな
厄介なことだ
またふたりして小言を
言われる


チェヨンが笑う
その笑顔には少しも
困った様子が感じられないと
チュンソクは思うのであった


*******


ひとしきり騒がしかった
ふたりが輿がいつの間にか
静かになっていた


きっと大護軍が
うまくその場を
収めたのだろうと
テマンは思った


みんながどう思おうと
どう呆れようと
4年間 
医仙様と別れたあの木の下で
じっと医仙様のお帰りを
待たれていた大護軍を
思い出すと

テマンは
どれだけふたりが
互いを求め 慈しんでも
足りないと思うのが
わかる気がした


どれだけ印がついてても
俺は驚きゃしない
それだけ今がお幸せだって
ことじゃないか


テマンは輿に向かって
そう呟くと
大好きなふたりの幸せを願った


ふたりを乗せた輿は
鮮やかな夕焼け空の下
まもなくアンジェの屋敷に
到着しようとしていた



*******



『今日よりも明日もっと』
ふたりで歩んできた道
これから歩む道
どちらもかけがえのない道に
違いない




★ツマ吉様
コメリクありがとうございました
なんとな~く差し込んでみました
うふふ いかかでしょう??




☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

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