ウンスは
早々に帰ってきたチェヨンを
客間のソンオクの元へと連れて行く


坊ちゃま ご無沙汰して
おりました


ソンオクが
うやうやしくお辞儀をし
そして慈しむような目で
チェヨンを見た


ああ 息災か?


はい 
寄る年波には敵いませぬが
こうして 坊ちゃまのお子の
おむつを縫うことができました
長生きはするものですね


卓の上にうずたかく積まれた
おむつを目で見やりそう言った


これは みぃのか?
こんなに沢山?


驚いた顔でウンスに聞く


うん 
みんなが縫ってくれたのよ
うふふ 
ほら    私裁縫苦手だし


そうか よかったな


チェヨンが
優しい笑顔でウンスに言った


サラが診察もしてくれたわ
あなたに言われた通り
ちゃんと 診てもらったわよ
疲れが溜まっただけみたい
ほらね やっぱりなんでも
なかったでしょう?


そうか 
頷くように
チェヨンはそう言うと
風でふわりと
頬にまとわりついた
ウンスの髪の毛を手でかきあげた


うん 


チェヨンにされるがまま
じっとしているウンスを見て
ポムが言う


あの~ ここには
みんないるんですけどぉ
なんだか おふたりだけの
世界みたい


ふふふっとウンスが笑い


そうだったわ
ポムはね あなたの側室を
希望するそうよ


医仙様! そのような戯れ言!


ポムが真っ赤になって
大声で反駁する様子を見て
皆がどっと湧いた
なんのことだかわからぬ
チェヨンは
迷惑そうな顔をして


そのような
あり得ぬことを


と 言った
ソンオクもめずらしく
けらけらと笑いながら


では    そろそろ 
おいとましなくては
あまりに居心地がよくて
ついつい 
長居をしてしまいました
このおむつを仕上げたら
帰ります


ウンスにそう言った


あら 夕飯も一緒にどお?
なんなら みんなで


ううんっ という
チェヨンの咳払いが聞こえた


ほら 坊っちゃまは早くおふたりに
なりたいみたいですので
お邪魔な我らは引き上げまする


ソンオクが目を細める


また 参ります


そお? 残念だわ
必ずまた来てね だって
ソンオクから聞く話は
どれもすてきなんだもの


はい 奥様
近々また必ず


うふふ 


ウンスは楽しそうに笑うと
また ヨンの手を取り


ねえ 山桜を見に行こう
今朝は行けなかったじゃない
そろそろ いい頃合いだと
思うの
甘いんですって あの実
お母様からの贈り物よ


ウンスに手を引かれ
訳もわからないうちに
中庭に連れ出されるチェヨン


イムジャ そう慌てずとも
実はなくなりはせぬ


そんなことないわよ
鳥さんたちに食べられるわ
まあ 沢山あるし
それはそれでいっか


ウンスが微笑んだ


ふくらみが目立つように
なってきたお腹を気遣い
転ばないようにと 
チェヨンはウンスを手で支えながら 
ゆっくりと歩く

後から 
ヘジャがふたりについて歩き 
水を飲んで
一息ついたテマンが
にこにこしながら
それに続く


山桜の木の下から枝を見上げた
ウンスは 満足そうに言った


もう少しね
楽しみだわ


チェヨンはウンスの手を握り
笑いかけた


楽しみが増えて良かったな


うん


客間から   
ふたりの微笑ましい様子を
ソンオクが見つめていた


ほんとに    お似合いの
ご夫婦ですこと


サラがソンオクに向けて言った


ほんとに
ほんとに


何度も頷きながら
ふたりの姿を見届けると
ソンオクは安心したように
屋敷を後にした
サラと武閣氏のふたりも
それに続く

夕餉が終わる頃には
テマンも兵舎に引き上げ
屋敷は一気にひっそりとした


*******


湯上がりでまた汗をかいたから
ちょっと  着替えてくるわ


湯浴みのあと腹帯を
チェヨンに巻いて貰ったウンスが
自分の部屋にこもったまま  
ややしばらく出てこない

どうしたのかとチェヨンは
気にかかり
ウンスの部屋をそっと覗いた

映りの悪い鏡の前で
肌をあらわに
自分の姿を映して
眺めているウンスがいた

自分で胸を持ち上げたり
さすったり
時々お腹のみぃに
何か語りかけながら

何をしているのだろう?

チェヨンはふわりと
その   あらわなからだを
背後から抱きしめ


いかがよした?と尋ねた


びっくりした!
気配を消して近寄ったでしょう
もう    
みぃもびっくりしたわよ


すまぬ    なれど
一人で胸を押さえておるゆえ
そんなに肌が恋しいなら
遠慮せずとも


ばか
そんなんじゃなわよ


ウンスがチェヨンの頭を
軽く小突いた


あのね
体つきがやっぱり
だいぶ変わったなあと
思って見ていたのよ


あま母親になるのだから
仕方あるまい
俺は好きだがな
イムジャの丸っこい体つきも


それ褒めてるの?


ウンスが少し睨むような目で
チェヨンを見てから


それにね
そろそろ
母乳が良くでるように
準備をしなくっちゃと
思ってね
マッサージとか


まっさーじとな?


ええ    こうやって
胸を持ち上げたり
引っ張ったりして
母乳がよく出るようにするのよ


ウンスが自分の豊かな胸を
目の前で持ち上げたのを
どきりとした顔で見ながら


ならば俺が


ウンスの胸に手を伸ばす


ピシャリ!


痛そうな音がして
ウンスがきっぱり言った


嫌よ
ヨンに頼んだら
絶対    
それだけで終わらないもの


つまらぬなぁ


不服そうなチェヨンの顔
その言い草があまりに
可愛くて    
ぷっと吹き出したウンスは
自分が肌をあらわにしているのも
すっかり忘れて   
チェヨンにくると向き直ると


しょうがない人ね


その唇に
自分の唇を押し当てた
柔らかな唇
柔らかな肌を
チェヨンはしっかり受け止め
しばらく離すことはなかった


*******


『今日よりも明日もっと』
和やかな1日が暮れていく
新しい命を見つめながら






先ほど書き終えた話が
なぜか?途中で消えてる!
飛んじゃったあ
。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
がっかりしながら
気持ちを奮い起こして
再度入力した結果
予定よりなが~い
お話になりました

おつきあいいただき
感謝です