いや!


イムジャ なれど・・・


嫌よ 止めても無駄


ウンスや


さっきからこれの繰り返し
困惑しているチェヨンの顔


でも 止めても無駄よ
私だって 
あなたに負けないくらい
頑固なんだから
心の中で そう呟く


ことの発端は典医寺の勤務


そろそろ悪阻もおさまり
体調も悪くない
早期の危険も過ぎ去った頃


いままで休ませて
貰った分
本来の仕事に戻りたい
朝餉の折 チェヨンに
そう告げた


もちろん チェヨンは
大反対 


生まれるまでは今のまま
王妃様の回診のみで
おとなしゅうしておれ
イムジャは夢中になると
周りが見えなくなるゆえ


私は医者よ
明日からは毎日出るわ
季節の変わり目で
病気の人が増えているのよ
それに
妊娠は病気じゃない
ヨンは過保護すぎるのよ


売り言葉に 買い言葉


兎に角 今日から
今まで通り 働きます
典医寺の責任者が
いつまでも
寝ていられないわ


イムジャ・・・


まだ 何かを言いたげな
チェヨンであったが
火がついているこの様子に
何を言っても
無駄であろうと
一旦 言葉を飲み込んだ


合いわかった
なれど 
決して無理はするな
よいな


うん 大丈夫よ


イムジャの大丈夫ほど
当てにならぬものはない
まったく 意地っ張りで
手に負えぬ


はあ と ため息をつく


そんなこと 
出逢ったときから
知っているでしょう?
それに
私のお守は手がかかるって
結婚する時
言わなかったっけ?


ぐぅ 
チェヨンの嘆き声が
聞こえた気がした


さあ 頑張ろう


ウンスはこれからの
自分に気合いを入れた
そんな妻を見守るチェヨン


この高麗で
隠れて暮らすことはない
俺の隣で堂々としておれ 
都に連れ帰る時 
確かにそうウンスに話した

医術こそが
イムジャの生きる道
何ものにも屈せず
堂々と生きて欲しい
その為には何でもしよう
そう思ったあの頃の
自分の気持ちを噛み締める

そして
それは今も変わらぬ思い


ウンス


なあに?


俺はいつもイムジャの味方だ
どんな時もイムジャを守る
だが イムジャ
今 腹にはみぃもいる
みぃを守れるのは
イムジャと俺だけ
だから決して 
無茶はするでない

俺がいつもそばにいて
手を差し出していることを
忘れないでいてくれ


うん 


優しい気持ちにほろりとくる
ウンスはチェヨンに
急に抱きつくと


心配してくれてありがとう
いつも守ってくれて
ありがとう
やっぱり私の旦那様は
高麗一 
ううん世界一よ


愛しくて恋しくて
大好きなあなた・・・
そんな思いをこめ
チェヨンの腕の中で
小さく言った


愛してるわ


チェヨンが
優しく微笑んで
ウンスの唇に
唇を押し当てた


屋敷の奥の間
ふたりは唇を合わせたまま
なかなか
そこを動かなかった



ぐぉほっとむせるような
咳払いをしてから
たまりかねたように
ヘジャが言う


あのう 
そろそろ ご出立を
先ほどより御者が
ずっーと
表で待っておりまする


あらやだ 
いつからいたの?
早く言ってよ


口づけを見られて
ウンスが頬を朱色に染める


慣れておりますので
お気になさらずに


ヘジャが平然とそう返した



高麗に初夏の訪れの気配
待ちかねたように
一斉に花々が咲き乱れ
木々が新緑を身に纏う

清々しい
新樹の香りが漂っていた


*******


『今日よりも明日もっと』
若葉の芽吹きを感じながら
新しい毎日がまた始まる



このお話も楽しみよ目
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