あ~っ!

王宮へ出仕の朝
部屋で支度をしながら
ウンスが思い出したように
叫んだ

その声を聞いてチェヨンが
部屋を覗きこむ


ん?
どうした?


すっかり忘れてたわ


にこにこしている辺り
悪い話ではないようだ
チェヨンはウンスの言葉を待った


今日って天界では4月14日?
ブラックデーじゃない!


ぶら  ぶら?


まあお祭みたいなものなんだけどね
バレンタインとホワイトデー
どちらにも縁がなくて
この日にも恋人がいない人たちが
集まって   黒いものを食べる日なの
チャジャンミョン(ジャジャ麺)とか
ブラックコーヒーとかをね


黒い食べ物
そのような変わったものが
天界にはあるのか?


ええ
まだここでは   小麦が貴重だから
あまり麺を食べないものね
それにコーヒーもないから
ナツメ茶がかわりになるかしら?
黒くはないかな?


そう言いながら
ウンスは竿にたくさん
かけてある衣のまえで
どれを着ようかと
首を傾げる素振りを見せて
黒い衣に手を伸ばした


チェヨンはそれを封じると
さっと
白い衣を選び手に取り
ウンスより先にその華奢な肩に
衣をかけた


えー
今日はブラックデーだから
黒い服にしようかと
思っていたのに


まだ寒いのに
あのように肌の透けるものは
ならぬ


王妃様から頂いて気に入って
いるのよ


だいたい    王妃様も王妃様だ
イムジャにくださる衣は
どれも    およそ大護軍の妻としては
そのぅ     だから


だから何よ
不釣り合いだって言うの?


色香がありすぎる
あのように    透けたり
胸が開いたりせずとも
よかろうに


ふふっ?
焼きもち?


そのようなことではない
ただ    俺は医仙としての
体面もあるだろうと


ウンスはくるりと後ろの
チェヨンに向き直ると
その首に手を回してぶら下がると
耳元で呟いた


王妃様はね   くださる時
あなたに見せてあげなさいって
言ってたわよ


そ   そうか?
ならば俺の前だけで着ればよい
わざわざ王宮に着ていかずとも


ウンスはくすりと笑って
チェヨンの耳たぶをかじると


そうだった
私   もうブラックデーは
関係ないんだわ
天界でなんど
この寂しい日を迎えたことか
でも今は
私の着る衣にまで
焼きもち妬いてくれるあなたが
そばにいるんだったわ


チェヨンはウンスを
優しく抱きとめると


そんなに何度もその
なんだかでー   とやらを
1人寂しく過ごしたのか?


なんだかやけに
うれしそうにそう言った



*******


『今日よりも明日もっと』
ふたりで迎える
ブラックデー




本日韓国は   ブラックデー
それにちなみ   ブラックデーネタを
書いてみました

そして  サブタイトルは
桜吹雪から葉桜へ
どんなお話になることか?
引き続きお楽しみいただけると
うれしいですヨン