突然 ウンスに
口づけたチェヨンを
目の前にして
アンジェが大声で笑い出した


これが噂の接吻か!


ウネはただただ 口を
あんぐりと開けてふたりを
凝視している


びっくりしたウンスは


チェヨン


と なじるように言ったきり
頬を真っ赤に染めて俯いた


徳興君との
婚儀をぶち壊したのも
このやり口だったよな
そのせいで囚われの身に
なったのに
俺達の前でも
接吻を見せつけるとは
お前も懲りない奴だな


アンジェは愉快そうに
笑った


ちょっと! そう言うことは
ほんと 閨でやってよね
心臓に悪いじゃない


ウネが心臓の辺りに
手を置いて 呼吸を整えている


新しいお酒と部屋の灯りを
持って ちょうどそこに
やって来たヘジャは


この程度のことで驚いていては 
チェ家の奥女中はつとまりませぬ


と ぼそりと言って酒を置いた


ちょっと いつもこんな風なの?
目のやり場に困るじゃない


同情の混ざった声色で
ウネがヘジャに話しかける


はあ もう慣れました
毎朝 毎晩 口づけぬ時は
ございませぬゆえ
朝のご出仕のおりなど
大変でございます


ヘジャ! 
そんな体面も
何もないような言い方
恥ずかしいじゃない


ウンスが慌てて
言い繕おうとしたが


ヘジャが へ? 
とした顔をして


これは出過ぎたことを申しました
なれど 事実でございます 


と 澄ました顔で 頭を下げた


ウンスはあまりの照れくささに
なんとか話題を変えようと


もう 私達のことはいいから
ふたりのことを聞きたいわ
だって 
夫婦として大先輩じゃない


ウネに向かって言った


あたしとこの人のこと?
つまらないわよ
おふたりみたく
仲良しじゃないし
婚儀だって どうせ
拾ってやったってくらいにしか
思ってないわよ この人


そんなこと・・・
と ウンスが
次の言葉を探していると


お前 ほんとに
そんな風に思っていたのか


チェヨンが少しきつい口調で
口を挟んだ


だって・・・だって・・・


ウネが 川で溺れた時
アンジェはためらわずに
飛び込んだことがあるだろう
まだほんの子どもだったのに
ウネを守るために
からだが先に動いてた

好きな女のためなら
理屈じゃない
考えるより先に動いてしまう
アンジェはいつだって
ウネを守って来たはずだ


チェヨンがアンジェを
庇うように静かに
だが きっぱりと言った


ウネさんも 
ヨンに言われなくても
きっと わかっているわよ
アンジェ将軍の気持ちくらい
ねえ


ウンスがウネに問う
ウネは黙ったまま下を向いた


でも 女はね
言って欲しいものなのよね
愛してるとか
ずっとそばにいろとか
離れたくないとか
俺が守るとか
わかっていても言って欲しいの
どんな一言でもいいから

アンジェ将軍
ちゃんと伝えなきゃだめじゃない
ウネさんだって寂しくなることが
あるのよ・・・


イムジャも 寂しくなるのか?


心配そうにウンスを覗き込む


ウンスがチェヨンの手に
そっと自分の手を重ねて
首を振ると優しく言った


そんなわけ
ないでしょう・・・ 


チェヨンは言葉の代わりに
ウンスの肩を抱き寄せた

また 口づけでもするのでは
ないかと思われた

そのとき


俺は
俺は 


アンジェが何かを言いたげに
重い口を開いた



花見の宴もすっかり
夜桜の宴へとかわっている

四人の横顔が
ゆらゆらと
揺れる部屋の灯りによって
壁に影を作っていた



*******



『今日よりも明日もっと』
ちゃんと
言って欲しい言葉もある



*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

「其の十五」で
宴をお開きにしようと
思っていたのに・・・
まだ続きそうです (^▽^;)


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