そろそろ典医寺に戻らなきゃ


チェヨンの肩に頬を寄せたまま
ウンスは告げた
昼餉の膳は
食欲旺盛なウダルチによって
すっかり平らげられ


そうか


少し寂し気に
チェヨンが返した


送って行こうか
典医寺まで


ウンスはチェヨンの問いかけに
頭を起こすと目をまん丸にして


何言ってるのよ
なんの為に武閣氏がいるの?
大護軍もお役目があるでしょう?
ねぇ


とチュンソクに確認した


はあ  まあ
でも  急ぎの用件はありませぬ


え?そうなの?
じゃあもう少し大護軍を
借りても大丈夫かしら?


ウンスの声が心なしか弾んでいる


はあ   まぁ  是非に


ここでなりませぬ  などと
万一   言おうものなら
後から大護軍に何と
言われることか

チュンソクは心の中で
やれやれと呟いた


ありがとう
チュンソクさん
じゃあ    もうちょっと
お借りするわね


まだヨンに話足りないことが
あったのよ


ウンスはチェヨンの
耳たぶを自分の方に
そっと引き寄せると
耳元に向かって
こしょこしょと
優しくそう告げた


なんであろうか?


うふふ
歩きながら教えるわ


ウンスは辺りの膳を
手早く武閣氏と片付けると
チェヨンの腕をとり
足取りも軽やかに
兵舎をあとにした


前を武閣氏が歩き
横にはチェヨンが
後ろにはテマンがいる


見慣れた光景のふたりを
ウダルチの面々が
ぼーっとしながら見送った


王宮の裏手の庭園にさしかかり
人影もまばらになると
チェヨンが ウンスの手を
さがすように求めて    
さっと握った


大護軍の体面は大丈夫なの?


誰も見ておらぬ


あら   テマンには見られてるわよ


構わぬ
ここは足元も悪いゆえ
転んで   みぃに何かあっても
大変だろう


みぃのためなんだ


ウンスがちょっとふくれて言った


俺の気持ちくらい
わかっておろう


さあ?言ってくれなきゃ
わかんない


ウンスはわざととぼけた


イムジャとつなぎたいゆえ


チェヨンが小さく呟く


そう?  最初から
そう素直に言えばいいのよ


ウンスはころころとよく響く声で
楽しそうに言った


チェヨンは
ウンスのお腹に向かって


みぃ   そなたの母上は
我が子にまで悋気だぞ


幸せそうにそう言って笑った


して   先ほどの話の続きだか
ソンオクが何か言っておったか?


ええ
あなたの瓜嫌いは
チェ尚宮様が原因なんですってね


庭園の桜が美しく咲いている
薄紅色の桜の花が  まるで
ウンスの行く先を見守っているかの
ようであった


*******


『今日よりも明日もっと』
桜の花が咲いている
春がふたりを見守っている


なんとか  今宵も本編アップ
なれど  瓜まで辿りつけず
ごめんなさい Y(>_<、)Y