一足早く兵舎に戻っていた
チュンソクが
チェヨンを待ち構えていた


王様はなんと
おっしゃいましたか


ああ まあ軍議で決めた通り
ことを運ぶようにと 


そうですか・・・


少し落胆の混ざった声で
チュンソクは言った


先ほどの康安殿での謁見で
王様の腹は読めている
これ以上は何も言うな


はっ
ではやはり枢密院副使の
柳仁雨(ユ・イヌ)殿が
行かれるのですね


ああ そうなる


双城(サンソン)奪還は
王様の
そして高麗の国の悲願
大護軍こそが
適任と思いましたが


まずは奪還が第一
誰が行こうと俺は構わぬ
それに鴨緑江で
ウダルチは十分は
働きをしたであろう
何事も 高麗のため
内輪で手柄争いをする必要は
あるまい


はあ・・・


それにな
チュンソクには悪いが
俺は
今回命を受けなかったこと
どこかほっとしているのだ


医仙様のことでありますか


まあ・・・それもある
そばにいてやりたいと・・・
武人としては情けないが


いえ 
決してそのようなことは


医仙様を思うときの
大護軍のお顔は慈しみに
溢れている・・・と
ただ寝ているだけだった
若かりし日のチェヨンを
知っているチュンソクには
妙に感慨深いものがあった


お子のご誕生はいつ頃の
ご予定なのですか


チュンソクが
思い直したように尋ねた


秋と聞いておる


再会から一年後ですか
待ち遠しいですな


そうだな・・・


チュンソクの問いかけに
チェヨンは遠くを眺める目で
呟いた・・・


それまで
何事もなければよいが・・・
有事の際は我々もやはり
双城に向かわねばならぬゆえ


はっ
それは抜かりなくウダルチも
鍛え直しておきますゆえ


頼むぞ


はっ!
チュンソクは力強く
チェヨンに答えた



*******



そろそろ昼餉の時間が近い
チェヨンは足早に典医寺に
向かっていた

テマンにまた行くんですか
と呆れられた
典医寺ではきっとトギにも
呆れられるだろう

だが 構わぬ

心配のし過ぎだと
いくら言われても
少しの間でも
顔を見たい・・・
その声を聞き安心したい
それが悪いか
チェヨンは言い訳なのか
開き直りなのか
わからぬ調子でひとりごちた


典医寺の中庭で
チェ侍医と出会った


医仙様のところですか


ああ
体調も気になるゆえ


はあ
ここは典医寺 体調管理は
万全かと思いますが・・・


からかうように
チェ侍医が言った


いや まあそれもそうだが
今朝も具合が
悪そうだったゆえ・・・


そのようには
見えませなんだが
まあ そういうことに
しておきましょうか


チェ侍医はニヤリと笑って
それから
思い出したように
チェヨンに告げた


そうそう 今はちょうど
パク殿がお見えです





武閣氏ポム殿の兄上の・・・



なぜ あの者が?
また何か
イムジャに企んでおるのか


先日のお詫びと伺いましたが


そうか
して イムジャは自室か


はい


そこでふたりで
会っているのか?


幾分荒げた声で
チェヨンは聞いた


いえいえ ポム殿が
ご一緒されております


そうか・・・


チェヨンはチェ侍医と別れると
急ぎウンスの自室に向かい 
そして 扉の前に着いた

中から 何やら
楽し気な声が聞こえる


若い男の声がした


はい・・・以前より
慕っておりました


そうなの?
それはうれしいわ


妻 ウンスの声がした


慕っておる?
うれしい?だと


チェヨンは
一瞬で自制が飛び
気がつくと 力の限りで
扉を開け放って言った


イムジャ!
何を言っておるのだ!!



*******



『今日よりも明日もっと』
心配し過ぎも
愛すればこそ・・・



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