康安殿で王に謁見したチェヨンは
兵舎に戻る途中
偶然 叔母チェ尚宮と行き交った


康安殿からの戻りか?
王様にお会いしたのか


ああ
懐妊の報告もまだだったゆえ
それも兼ねてな


そうか 
王妃様が
たいそうなお喜びようで
すでに嫌と言う程
王様の耳には届いていると
思うが・・・
ヨン本人から聞くのは
また別であろうしな


したり顔でチェ尚宮が言った


ああ
王様もお喜びくださった
だが王様のお子を守れなかった
俺がこのように幸せになっても
よいものかと 時々
自分が空恐ろしくなることがある


チェヨンがぼそりと呟いた


ばかものが
何を言うておる
王様や王妃様はそのように
了見の狭いお方ではない
それに
天から攫って来た医仙を
幸せにするのは
お前の役目であろう

お前が医仙を欲し
手放せなかったのだから
お前と医仙が
幸せになることは
天人を妻にしたお前の
天命なのだぞ ヨン


ああ そうだな


チェヨンは静かに頷いた


時に医仙 いやウンスは
健やかに過ごしておるか


ああ
以前にもまして手がかかるが
元気にしている


よく言うわ この惚けが!
手がかかることが
うれしいのであろう
だいたいお前は
ウンスに甘すぎるのだ


チェ尚宮の小言が
チェヨンの耳に温かく
届いた


だが それにしても
ようやった
お前のいままでで
一番の 手柄だ
これでチェ家がお前の代で
終わることもなく
私も兄上に
顔向けが出来ると言うもの
チェ家にも春が来たな


チェ尚宮はしみじみと
そう言った・・・


そういうものか・・・


まあ お前のことだ
家柄とか跡取りとか
そんなことは
面倒なだけであろうが・・・
何にしても お前が
夜な夜な
妻を離さなかったからこそ 
授かりし子宝だ
ウンスを大切にしてやれ


夜な夜なって・・・
まさか屋敷に
密偵でも放っているのでは
あるまいな


何を言う
小さき頃より好きなものには
とことん執着していたではないか
食あたりした瓜のように・・・
お前のことなどお見通しだわ


チェ尚宮は愉快そうに笑った


瓜って・・・
まさか昨夜のことも
叔母上の仕込みか?


さて 何のことであろう


軽口をたたくように言うと
チェ尚宮は
チェヨンのもとを離れた

心地よい風がチェヨンの
頬を撫でていった気がした



*******



『今日よりも明日もっと』
大切に・・・心待ちにする
新しい未来(ミレ)



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