朧月がふたりを照らす廊下で

急にウンスが
鼻先をチェヨンの胸に
こすりつけて


寒い・・・そう言った


だから
うたた寝などするなと
言うたではないか


だって 眠いんだもの・・・


もう寝ろ


チェヨンが寝かしつけるように
ウンスの髪に
自分の頬を寄せて言った


やだ
お風呂に入ってから寝る


イムジャは三度の飯より
風呂好きか?


チェヨンが笑う


そうよ 悪い?
きっとお腹の子も
お風呂に入りたいに
違いないわ


すっかり目が覚めても
チェヨンの腕の中から
降りることなく
ウンスが甘えた


今日のイムジャは
幼子のようだ
手がかかって仕方ない


だめなの?


チェヨンは何も言わずに
閨ではなく湯殿の方角に
歩みをすすめた



*******



湯殿で滑ると危ないからと
チェヨンが言って
結局
ふたりでお風呂に入った


もう絶対 悪ふざけは
なしだからね


そんなことは
わかっておる


どうだか・・・
あやしい・・・


そんなやり取りをしながら
ふと思いついたように

ウンスは
湯船につかりながら

洗い場でからだを流す
チェヨンに聞いた


ねえ この時代は
テミョン(胎児名)って
つけないの?


チェヨンが振り返って
不思議そうな顔で
ウンスを見た


てみょん?
初めて聞くが・・・


そう?
天界では胎教って言って
お腹の子供に語りかけたり
いい音楽聞かせたり
お腹の子にいいことをするのよ
テミョンもそのひとつ
お腹の中にいる間の仮の名前を
つけるのよ
天界の最近の風習なのかな?


ウンスが首をかしげた


腹の子に
名を付けると何かよいことが
あるのか?


チェヨンが
まだ不思議そうに尋ねる


親になるって
感じがするでしょう
呼びかけるときも便利だし・・・
愛情ももっと湧くわ
ただね 
あんまりいい名前じゃなくて
ちょっとダサイ・・・
ちょっと おかしな名前の方が
幸せになるんですって


ほお
天界方式か 
ならば
イムジャが名付けたらよい


ええっ? いいの?


構わぬ・・・
腹の子が幸せに
なるのであろう?


うん うん
どうしよう 
何がいいかしら?


ウンスが笑っている
幸せそうな母の顔に見えた


チェヨンは 先ほど 
出会った頃を思い出し
ほんの少しきりりと痛んだ
胸の奥を
洗い流すかのような
いい笑顔だと思った


私 先の世から来たでしょう?


ああ


だから 
未来(ミレ)はどうかしら


ミレは高麗にはない言葉だが・・


そうかぁ 
みんなに何だろうって
思われちゃうわね
でも この子が高麗と未来の
架け橋になってくれるといいな


少し考えてからウンスが
ぱあっとした顔で言った


じゃあ ミレのみ~をとって
みぃにしようか・・・


架け橋か・・・それにしては
なんだか猫みたいだが・・・


あら いいのよ
猫くらいの方が可愛いわ


そうか?


うん そうそう
みぃ みぃ・・・


ウンスはお腹に向かって
呼びかけている


みぃか・・・


チェヨンがくすりと笑い
湯船に入る


もう チェヨン!
狭いじゃない


チェヨンはウンスをそっと
抱き上げると
膝の上に乗せて
腹をさすりながら


みぃ・・・
やはり 猫にしか思えぬ


そう言って
愉快そうに笑った
つられて
ウンスも吹き出した


湯殿にふたりの笑い声が
反響する


湯気がふわふわ揺れていた



*******



『今日よりも明日もっと』
まったりとした幸せが
毎日 毎日
続きますように・・・





*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


テミョンはみぃになりました
みぃをよろしく・・・


前回の企画の際に
ミレの名前を考えてくださった
★ポヨン様
★じゅんち様
★fuwari様

お名前お借りしましたヨン
ありがとうございました・・・


*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


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