汁物のよい香りがする
ヘジャが料理上手で良かったわ
ウンスがうれしそうに言った
腹に入ればなんでも良いと
はじめは言ってたチェヨンも
ヘジャの母 ソンオクの味がすると
子供の頃を懐かしむ
そう ・・・
私のご飯が一番って
言ってたくせに
あれはお世辞だったんだ
ヨンもお世辞を言うのね
ウンスが拗ねるように言った
イムジャの飯が一番に決まっている
チェヨンは慌てて
ウンスの頭を撫でて
なだめるように言った
だが 今は飯の支度など
無理しない方がよいだろう
それに
ヘジャが一番とは言ってないぞ
懐かしい味だと言っただけだ
なんだか 言い訳がましいわ
ぷうと頬を膨らませた
その愛らしい表情を
久しぶりに見た
チェヨンは膨れた頬を
指でつついて
早う 機嫌を直してくれ
困ったようにそう言った
ヘジャがウンスの横で
ぷっと吹き出し
鬼も黙ると言う
高麗の大護軍様も
奥様には形無しですね
と
ウンスに耳打ちして言った
そうよ うふふ
旦那様は私に弱いんだから
ウンスが愉快そうに笑った
今度は 女ふたりで
俺の悪口か？
敵わぬなぁ
チェヨンがやれやれとこぼした
和やかな夕餉
ウンスは
ゆらゆら揺れる鍋の湯気に
心が温められるような
気がしていた
椀に盛られた汁に手をつけようと
匙を口まで運んだウンスは
急に うっ と口を押さえた
チェヨンが
大丈夫か？
と 心配そうに聞く
大丈夫 大丈夫
美味しそうなのになあ～
なんだか受け付けないわ
そう言えば 初めて気分を
悪くしたのも
海鮮汁だった気がする
そうであったな
でも 何も食べぬのは
からだに障る
ヘジャ 何か口当たりの
よいものはないのか？
そうヘジャに聞いた
ヘジャにお任せを
厨房に消えたヘジャは少しすると
皿一杯の瓜を持って来た
瓜の塩漬けでございます
これならさっぱりと
召し上がれるかと
うり？
夏の食べ物かと思ってたわ
母が漬けました
そう じゃあ
ウンスは 一切れ
口に運んでみる
かりりと音がして
爽やかな風味が口に広がった
あら 美味しい
これならこの時期も
食べられるわね
ヨンもどお？
ご飯のお供にもいいわよ
ウンスは満足気に言って
一切れ
チェヨンの口に近づけた
お 俺はよい
イムジャが残した
汁物も食すゆえ
えー
食べてみてよ 美味しいわよ
悪阻の間は
これだけあればいいかも
また チェヨンに勧めた
いや おれは いい
イムジャがたくさん
食べるとこを
見ていたいゆえ
なんか おかしい
もしかして苦手なの？
ウンスが悪戯するように
チェヨンを見た
武士たる者
苦手なものなどない
意地っ張りね
ヘジャが横からウンスに言った
旦那様は幼き日の夏
ひとりで瓜を十も食し
お腹を壊されて以来
瓜が苦手と母から
聞いております
えー
じゃあ 嫌いなの知ってて
出したの？
母が今でも苦手か試してみよと
言いまして
ずいぶん お茶目な方ね
うふふ ヨンの弱点一つ発見
それにしても
ヨンは食べだしたら
止まらないのね
この前のお酒もそうだし
そっかぁ
だから私のことも・・・
チェヨンが汁物を吹き出し
むせかえる
イムジャ 戯れ言が過ぎよう
照れたようなチェヨンを
ウンスは楽しそうに笑って
見つめた
ソンオクさんにも
会ってみたいわ
ヨンの子供の頃の話も
聞きたいし
そのうち顔を出すように
言っておいてね
そのようなことを言うと
飛んで参ります
ふたりのやりとりに
顔色を変えることもなく
ヘジャがぼそりと告げた
ソンオクにくれぐれも
イムジャに
余計な話はするなと
言うておけ
チェヨンが
弱り顔を見せたので
ウンスとヘジャは
顔を見合わせて微笑んだ
＊＊＊＊＊＊＊
『今日よりも明日もっと』
あなたの子供の頃の思い出も
いとおしくて 知りたくなる
期間限定 御礼グルっぽで
チェヨンの嫌いな食べ物なに？？と
言う掲示板を作りました
ご参加の皆様にはチェヨンの
嫌いな食べ物をたくさん考えて
いただきました
その中のひとつ
パウダー様より寄せられた
「瓜」をエピソードに盛り込み
お話を書いてみました
イ・ミンホssiが胡瓜が苦手との話で
同じウリ科の瓜を
ご提案くださいました
パウダー様
ありがとうございました
チェヨンの嫌いな食べ物
うなぎ どじょう 人参 玉ねぎ
カボチャ 茄子 魚 甘いもの
牡蠣 トマト 山芋 パクチー
干し柿 などなどアイディア沢山
ありがとうございました
一番多かったのは キノコでした
これもいつか書いてみたいなあ
コメをお寄せいただいた皆様
ありがとうございました
