今日はもう屋敷に戻るか


チェヨンが急に言った



どうしたの?
まだそんな時間じゃないわ
お役御免になった??


その問いには答えずに


イムジャ 膝を貸してくれ


そう言った


ウンスはそれ以上
何も聞かずに寝台に座ると
チェヨンに
どうぞ と言って
膝をぽんと叩いた

ごろんと横になると
そのままチェヨンは目を閉じた

しばらくそのまま
ゆっくりと時が流れた
強い風で扉から
がたがたという音が聞こえた

おもむろに チェヨンが


すぐにわかることゆえ
話しておく


そう切り出した


ええ


近々 戦になる


そう


驚かぬのか


ええ だって今朝 軍議って
言ってたわ
あなたは高麗の大護軍
私はその妻
戦の覚悟はしなくちゃね


そうか


いつ いくの?


まだわからん
今回は まず別部隊が動くゆえ
俺は王宮で待機の身
だが戦況によっては当然出陣と
なる・・・


そう 


いつもなら・・・





先陣を切って出陣を願い出た
だが今回 
先陣の命を受けぬこと
俺は 心底安堵したのだ
情けない


そう


ウンスはチェヨンの
髪を撫でながら


正直言うと
私もほっとした
それが当たり前の感情よ
全然 情けなくないわ
でも
あなたはお役目をきっちり
果たす人だもの
もし この先出陣の命が
くだればきっと
全力で取り組むわ
そしてそれを私は誇りに思う
その時は私もちゃんと
送り出すから・・・


そうか・・・
イムジャの膝の上は
居心地がいい


チェヨンはまた黙った・・・


幸せすぎて
すっかり頭の中から
閉め出していた

でもここは高麗
元 紅巾賊 倭冦 
周りは 敵ばかりだ


どうか 
何事も起きませんように


愛するチェヨンの
寝顔を見つめながら
祈らずにはいられなかった




スヨンは
大護軍が妻の部屋に向かうのを
偶然見ていた

相変わらず仲睦まじいご夫婦
懐妊した時の大護軍の
喜びようときたら
典医寺が震えるような
歓喜の声だった

その声を聞きながら
今は亡き夫を思い出した
もし自分に子が出来ていたら
あんな風に喜んでくれたろう

医仙様のご懐妊は喜ばしい
我がことのように
ほんとうにうれしかった

医仙様を怨んではいない
むしろいつも
気にかけてくださることに
感謝している
医仙様はほんとうにお優しい方
ただ その優しさが
その放つ光が
今の自分には あまりにも
まぶしすぎて
心に陰をさす

どうしても素直には
なれなかった・・・

時が解決すると 周りは言う
が それはまことであろうか

おふたりの幸せを願いながらも
心がちくりと痛んだ



*******



チェヨンが起き上がり


ああ よう寝た


そう言って笑った
ほんの数分のことなのに
落ち着いたいつもの
チェヨンがそこにいた


膝が役に立ってよかったわ


イムジャ 
辛くはなかったか
腹の子に障りはしないか?


あのね 心配し過ぎなのよ
これくらい大丈夫
まだお腹が大きい訳じゃ
ないんだし


ウンスが笑った


やはり俺のイムジャは
肝が据わっている


そう言ってから
抱きしめ唇をあわせた


あなたの妻だもの・・・


そうウンスが言うと 
チェヨンにさらに深く
口づけられた
やっと離れたその口が


離せなくなるゆえ
今はこれくらいで


と 残念そうに言った



*******



『今日よりも明日もっと』
やまない嵐は ない・・・




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