早朝からの雪が
梅の花に降り積もり
重たそうに花びらを
揺らしていたが
芳しい香りは相変わらずに
中庭に満ちていた・・・


スヨンがその庭の
掃き掃除をしていた


おはよう スヨンさん
寒い中 ご苦労様


ウンスが声をかける


おはようございます
医仙様


下を向いたままそう言うと
ささっと 行ってしまった


なんか気にさわること
言ったかなあ


ウンスが呟く


朝の挨拶のみでございます


ヨンファが答える


そうよね・・・
スヨンさん なんだか
私に話しかけられるの
迷惑そうな気がしない?


そのようなこと
あるわけないです
医仙様に話しかけられて
迷惑だなんて


ポムがいきり立つように
答えたので 諌めるように
ヨンファがポムの肘を
つついた 
それを見たウンスは
もやもやした気持ちを
すぐに忘れて
楽しそうに笑った


ああ 
笑顔はとびきりお美しい


ポムはうっとりと眺めた



*******



診療室では先に出仕していた
チェ侍医とトギが
世話しなく診察の準備に
追われている


チェ侍医がウンスに気づくと


体調はいかがですか?
まだ安定時期では
ありませぬゆえ
ご無理は禁物
用心してください
もし何かあろうものなら
私が大護軍に責められますゆえ


チェ侍医が笑った
トギはやれやれと苦笑いをする


そうなのよ
心配してくれるのは
うれしいけど
心配し過ぎなの
私は医者よ もう!
ヨンより妊娠について
くわしいんだから・・・
なのに今朝だって・・・


そういいかけて
口を押さえた


どうしました?


チェ侍医が冷やかすように
聞き返す


あわわ・・・
何でもないわ
ほんとに呆れちゃうって
話なの・・・


それは
大護軍の愛情表現でしょう


うふふ


ウンスが頬を赤らめて
うつむいた



つとめで無理をしないよう
疲れたらすぐに自室で
お休みに・・・


なんだかヨンがもうひとり
いるみたい ふふっ
大丈夫よ でもありがとう 
疲れたらお言葉に甘えて
そうさせて いただくわ


ウンスは微笑んだ



*******



朝の回診の時間
武閣氏と薬員のダへを伴って
坤成殿へ伺った


王妃と叔母チェ尚宮は
ウンスを待ちかねた様子だった


まことに まことかっ


王妃の第一声は
奇しくも夫チェヨンと
同じであった


はい ほんとうみたいです
私自身びっくりしているんです
まだ実感もなくて・・・


そうか それは目出たい
のうチェ尚宮


はい ありがとうございます
王妃様


そうか そなたも
大叔母か・・・
おばば様と言ってもよいか
大護軍にとっては母親代わり
そうか そうか
孫が出来るな・・・


王妃様 お気が早い
まだこんなに小さいんです


ウンスは指で輪を作った


そのように小さいのか


はい まだこんなに
頼りなくて・・・


そうか・・・
楽しみだのぅ・・・
こんなにうれしいのは
そなた達の婚儀以来じゃ


そう言って満面の笑みを見せた


王妃様は 政に巻き込まれ
毒により一度お子を失っている
それを思い出すとウンスは
いまでも胸が潰れそうになる

それなのにこんなにうれしそうに
お優しいお顔で祝福してくださる
王妃様のお心の広さと強さに
ウンスは胸がいっぱいになった


大護軍も喜んでおろう


はい 
今までにも増して
慈しんでもらってます


そうか そうか
うんと甘えよ
それがよい


チェ尚宮の少々呆れた顔を
ウンスは目の端で捉えたが
笑顔でかわした・・・


チェ尚宮はそれでも一応
互いの体面には気をつけよ
そう言い聞かすのを
忘れなかった・・・


もしかして
今朝の輿の様子を何か
知られているのかしら?


早耳の叔母の情報網に
恐れ入るウンスであった


父上をはじめ
みんなが楽しみにしているわ
無事に生まれて来てね


ウンスはお腹の我が子に
そっと 語りかけた



*******



『今日よりも明日もっと』
きっと きっと いいことがある

3月11日 震災に思いを寄せて
あなたの心に届きますように


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