三月 
春だというのに
しめった雪が
早朝から降っていた
ぼた雪・・・


チェヨンはまだ静かに
寝息を立てている

そっとチェヨンの
唇に触れてから
ウンスは床を抜け出すと
となりの自分の衣を
置いてある部屋に向かった


映りの悪い高麗の鏡に
素肌を映してみる

何か特別変わったような
気はしない・・・

新しい生命を授かり
自分のなかに
その存在が確かに
あるはずなのに
まだまだ実感できなかった


チェヨンが目を覚ました時
隣にウンスはいなかった
また自室かと 探しにいく


朝陽を浴びて
白くまぶしく光る
母体を
チェヨンは後から
上着でふわりと包むと
そのまま腕を回した


どうした?
そのような姿では
冷えてしまう


心配そうに耳元で囁く


なにか 変わったかなと
思って・・・


俺にはイムジャが
さらに 美しく見えるが


そういってウンスの後から
手を伸ばして腹をさすり
静かに尋ねた


ここにいる・・・のか?


そうよ
なんだか不思議
あなたと私の子供が
ここにいるなんて・・・


そう言って
幸せそうな笑顔を見せた


チェヨンの抱きしめる腕に
力がこもる・・・
愛してるのかわりに
頬にそっと口づけた


唇じゃないの?


ウンスがそう笑うと


よいのか?と
言い終わるかどうか
わからぬうちに
食むように口づけられる


幸せな朝が始まった・・・



扉の外で


旦那様 奥様
王宮へ出仕の刻限が
近づいております
早う 
朝餉をお召し上がり下さい


ヘジャの声がする


大変 もうそんな時間
いま行くわ


今の会話聞かれてたかな?
少し照れながら思い起こす
まあ 口の堅いヘジャなら
どこぞに
漏れる心配もないだろうと
そう思い直し
気にしないことにした・・・



*******



出仕の支度を終えて
屋敷の門の前に来ると
輿が止まっていた


テマンが
愛馬チュホンを引いて
その後にいる


え? 輿でいくの??


ああ 今日からこれで行く


まさか
あなたも一緒に乗るの?


当たり前
なにかあった時に
離れていては守れぬ


いったい 何があるのよ
心配性ね
まったく 困った父上ね


ウンスは俯いて 
お腹に向かって話しかけた


母上が大事なだけだ
それはそなたもわかるであろう


負けじとチェヨンが
お腹に話しかける


頃合いを計って
ヘジャが 咳払いをして

行ってらっしゃいませ
旦那様 奥様 と
深々と礼をした


ああ 行ってくる


チェヨンは
恥ずかしがるウンスを
軽々と抱き上げて
輿に乗せるとそのまま座った


ちょ ちょっと 膝から
降ろしてよ
こんな状態で王宮に行くの?
急に扉が開いたらどうするのよ


かまわぬ
輿は揺れるゆえ
だれに何を言われようと
イムジャに何かあった方が
大変だ


そう言うと
落ちないようにと
しっかりと抱えた


だから 何もないって・・・
そう呟いてから思い出す


そうだった 
見境のない夫だった


ウンスはこの先を思いやり
はぁ~ とため息をついた



*******



『今日よりも明日もっと』
大切な人がふえること
それは 幸せがふえること・・・




*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


「最愛」というテーマを選びました
恋の次は 愛??  (^▽^;)
haruちゃん ちょっと単純じゃない??

ごめんなさい その通りです

でも ふたりのことを思うと
次はこれしか浮かびませんでした

季節をなぞりながら
ウンスがお母さんになるのを
生命の育みを
皆様とご一緒に 見守っていきたいと
思ってます


また お話に おつき合い下さいね





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