典医寺
診療室の窓からチェヨンが
こちらに来るのを確認した
チェ侍医は 部屋の扉を
自ら開けて 目を細めて
チェヨンを眺め


そろそろ
来る頃だと思っていました


と そう言った


医仙様の変な噂
気にされてのことですか?
大護軍


いや まさか
ただ 時間が空いたゆえ
妻の様子を見に来たのだ
ここ数日
いささか元気がないように
思えたゆえ
典医寺でなにかあったか


何も気にしてない素振りで
そう尋ねた


いえ 特には何も
医仙様は自室でお休みです


具合が悪いのか


少しお疲れのようで
私が横になるよう
お勧めしました


そうか
いつも世話になるな


短く礼を言うと
ウンスの部屋に駆け込んだ


部屋の寝台の上
昼寝をしているウンスがいた


扉の開く音に反応しウンスが
起き上がる


起こしたか?


ううん 
横になっていただけだから


そうか・・・
どこか具合が悪いのか?


いいえ 大丈夫よ
ちょっと患者が立て込んで
疲れただけ・・・
それより ヨンこそ
どうしたの?
まさか お役目の最中に
妻の顔を見に来た?とか?


悪いか


ふいと横を向いて
きまり悪そうにそう言った


まったくしょうがないわね
何か 心配事?


チェヨンの目をまっすぐ
見つめてウンスが
首をかしげながら聞いた


ふっ と笑って
チェヨンが言った


もうよい
忘れたゆえ


??


俺がたわけだった
噂をする輩ではなく・・・
振り回されるほうがたわけだ
そんな訳ないと思っていても
イムジャの顔を見ないうちは
不安だった・・・
まったく呆れてしまう
チェヨンは心で呟いた


何か あったの?


心配げにウンスが問う


いや もうよいのだ
イムジャの目
曇りのない目を見たから
もうよい


変な人・・・ね
ヨン こっちに来て


ウンスは寝台の自分の横を
手のひらでぽんぽんと
たたいた

促されるままにチェヨンが
隣に座る

ウンスはチェヨンの首に
両手を回すと


何も心配いらないわ


耳元でそう告げた・・・
まるで自分自身に
言い聞かせるみたいに


イムジャこそ
何も心配いらぬ
イムジャには
俺がついている
何か手に余ることが
あれば 俺を頼れ
よいな


うん


今宵は早く帰る


うん


もうひさしく
夜も一緒に過ごせておらぬ


うん
さみしかった?


ああ
イムジャもか?


うん


よかった・・・
イムジャも同じ気持ちで・・・
くだらぬことで
悋気を起こしかけた
まったく 
イムジャのことになると
見境がなくなって自分が
いやになる・・・


ふふっ
それがヨンのいいところよ
愛する人を大切にすることは
当たり前のことなのに 
素直になるのって難しいもの

ヨンはいつも私にまっすぐ
だから私もそれに応えたい


チェヨンがウンスの背中に
腕をまわして
しっかり抱きしめ


イムジャ
イムジャ・・・


髪に顔を埋めてそう言った


なあに?


呼んでみただけだ・・・


そう
ヨ・・ン・・・


小さくウンスが言う





私も呼んでみただけ・・・


ほんとに俺はたわけ者だ


チェヨンがまた呟いた


扉の外で
とまどうようなテマンの声


大護軍
王様がお呼びです


王様が?
なにかあったか?


わかりません
お呼びするようにと
隊長に言われて


わかった


チェヨンはすばやく
ウンスの唇に唇をあわせると
慌ただしく部屋を出て行った



*******



『今日よりも明日もっと』
触れ合って たしかめて
たしかめて 心繋ぐ・・・



にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村