夜になり 屋敷の奥の間に
夕餉も終わり
くつろいだ様子の
チェヨンとウンスがいた


食欲は戻ったみたいだが
いつもより
やや口数の少ない妻を
チェヨンは気にかけていた


ウンスが口を開く


大変だった・・・
どこに行ってもご懐妊
ご懐妊って
言われて・・・


ああ 俺も


もう注目されすぎよ
ヨンファは叔母様に忠実な
武閣氏だから きっと
そこから話が言ったのね
困っちゃうわ
これじゃあ 王宮中に
私達 致してますって
言って歩いてるみたいで
恥ずかしい


夫婦なのだから
当たり前のことを何を今更
・・・して まことに
懐妊してはおらぬのか


少し残念そうにチェヨンが
聞いた


だからまだ わからない
なんだか
今日は気分が悪いから
もう寝るわ


そう言ってウンスは
立ち上がった


では 俺も
と ついてくるチェヨンに
釘を刺すようにウンスが


今日は何もなしよ
致し過ぎも
よくないんだから


そう言うと


そうなのか?


しゅんとしたチェヨンの顔


でも そばにいてね
あなたの腕の中じゃないと
眠れないから


そう告げるウンスを
チェヨンは抱き上げた


だから今日は何もなし


わかっておる
なにもせぬ


もう どうだか・・・
ほんとに今宵はだめよ
なんだか疲れているの


わかった


閨に運ばれ
寝衣に着替えられ
腕の中に収まった


ウンスの髪を
指で梳きながら
チェヨンが聞く


イムジャは懐妊が嫌か


どうして?


喜ぶ前に 
打ち消していたゆえ


よくわからない
あなたの子供は欲しいけど
不安にもなるの
ほら私 天界の人間だから
ここで生んでも
いいのかなとか・・・
歴史が変わっちゃうなとか


そうか
だが そのようなこと
心配せずともよい

天から必要とされれば
生まれてくるし
まだ早いと天が定めれば
もう少し待とう
なれど
俺はイムジャとの子が
出来たらうれしいがな


ウンスは何も言わず
チェヨンの胸に顔を
こするように埋めた


大丈夫だ
案ずることはない


うん・・・


やっぱり ヨンの
腕の中は安心する


うつらうつらと
眠りにいざなわれ
ウンスはいつしか
深い眠りへと落ちていった



チェヨンは 典医寺で
懐妊では?と
チェ侍医に言われ
困ったような顔をした
妻ウンスを思い出していた

妻にならなくてもいい
そばにいられるだけで

娶る前には そうも言っていた
そのようなこと俺が我慢できぬ
と イムジャを妻にした
そして毎日 恋慕して
毎夜のように肌を合わせている

すっかり何もかも
わかった気でいたが
イムジャには
やはりこの時代で生きること 
どこか不安なのかも知れぬ

イムジャ・・・
俺は 必ずそばにおる
イムジャを決して離さぬ
だから不安なときは 俺に頼れ
子など 今は焦らない
イムジャには心穏やかに過ごして
ほしい・・・それだけだ


ウンスをぎゅっと抱きしめると
ふわりとウンスの香りがして
たまらず頬に口づけた



*******


おるか


翌朝 玄関先
大きなチェ尚宮の声で
目が覚めた


朝から何事だ


チェヨンが呟く


ああ そうだった
奥のお手伝いさんを
見つけたって
連れてくるって・・・
え~でもこんなに
早いなんて思わなかった


ウンスが慌てて
飛び起きた


着替えて玄関先まで
猛ダッシュする


そのように走らずとも
お腹の子に
なにかあったらどうする


おはようございます
叔母様
だから叔母様 まだ
懐妊とわかった訳では
ないんです


あとからチェヨンも出て来て


叔母上 このように
朝早くから参るなど
珍しいな
よほど気が焦っているのか
なれど まだ子を授かった
わけではない
この件はこれで
しまいにしてくれぬか


ウンスを気遣うように
そう言った


まあ よいよい
どちらでも
今がだめでも
いずれは出来よう
以前から頼まれていた
奥の女中を連れてきた
よいか


ああ はい・・・
では叔母様 中へ


うむ


客間に通すと
チェ尚宮は満足そうに
頷いた


兄上の遺言通りの
簡素な屋敷だ
なれど 居心地がよい
ウンスの心づくしが
行き届いておるな


ありがとうございます
好きなものを飾ったら
こうなっただけですよ


部屋の中には
大きな瓶に桃の花が
生けられている

藍色の布が卓に敷かれ
その上には白い小さな器
菜の花が数本飾られて
色鮮やかだ


チェ尚宮は 
自分よりずっと後に控えた
50くらいの年齢に見える
女人に声をかけた


こちらへ


はい


顔を上げることなく
小さく頷くと
その女人がウンスと
チェヨンの前に立った


惠子(ヘジャ)と申す
これの母親の善玉(ソンオク)は
先代 先先代と
チェ家に仕えた身
チェ家のことはよく存じておる
ヘジャも幼き頃より
屋敷に出入りしていたゆえ
ヨンのことも知っておろう


はい チェ尚宮様


武芸の心得もある
よく気配りが出来るが
出過ぎたまねはせぬ
方々の屋敷に気に入られ
奥女中をしてきたが
こたび 私のたっての希望で
先方のお屋敷とも話をつけ
チェ家の奥女中にと
迎え入れることにした


よろしくお頼み申します


ヘジャが背筋をピンと
伸ばしてから
チェヨンとウンスみて
深々とお辞儀をした


そうそう ソンオクも
来たがっておったが
今日はまずヘジャだけをと
思い 連れてこなかった
ヨンに会いたがっていたぞ


あの ばあさん
まだ元気なのか


懐かしむようにチェヨンが
そう言った


おまえはソンオクに
ずいぶんとかわいがって
もらったからな


ああ・・・
ソンオクの娘なら心強い
ウンスのよき相手に
なってくれよう


チェヨンはわずかばかり
ほっとしたように
叔母チェ尚宮にそう告げた


では 私は早速朝餉の準備を


私 手伝います


奥様 私に丁寧な言葉は
無用にございます
それにこれからは
ヘジャに何事も
お申し付け下さいませ


優しい笑顔でそう言うと
ヘジャは厨房へと消えていった



*******



『今日よりも明日もっと』
新しい毎日が 新しい風を運び
新しくやってくる・・・




★奥向き使用人のお名前に
アメンバー様からのたくさんの
ご応募ありがとうございました

御礼グルっぽにご参加
いただいている皆様にも
重ねて御礼申し上げます


お名前
やっとお披露目できました
お待たせして
申し訳なかったです (;^_^A


★ヘジャのお名前は 
ボンジロ様より
お借りいたしました

「国民の母」といわれた
キム・ヘジャさんを思い出し
(宮クンで皇太后役の方)
またヘジャという響きが
haruのイメージする
女中さんにぴっときました
ありがとうございました

★その母 
善玉(ソンオク)は
とても素敵な設定の
履歴書を送っていただき
もうひとりの力強い味方として
pivoine22様よりお借りしました


ボンジロ様
pivoine22様
ありがとうございました
どちらの女人にも
これからたくさん活躍して
いただきたいと思っています

皆様よろしくおねがいします



そして気がつくと
また週末≧(´▽`)≦
週末はあまあまで・・・
行きましょうか?? うふふ


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