典医寺に出仕したウンスは
まず初めに
チェ侍医の様子を見に寄った

いいって言ったのに
チェヨンも一緒についてくる

私に過保護なのか
そんなにチェ先生のことが
気になるのかしら?

チェ侍医は
寝台の上に起き上がり
窓の外を眺めていた

ふたりが並んでこちらに
くるのが見える
ふたりのその
甘ったるい空気を感じ

医仙様が幸せなのは
いいことだか
独り身には少し
刺激が強すぎると苦笑した


寝台の前に立ち
ウンスは微笑みを浮かべながら
尋ねる


調子はどうかしら?
痛みは少しは引いたかしら?
まあ縫合したんだから
無理せず様子をみましょう
じっと寝ている必要はないけど
なるべく安静にね

この人を縫合した時なんかね
言うこと全然聞かなくて
ほんとに困った患者だったのよ
危うく死にかけて
私が助けたんだから
あの時はほんとに焦ったわ


懐かしむような顔をして
ウンスはチェヨンを見た


戦で怪我をしたんですか?


侍医が聞く


色々あって私が刺したのよ
鬼剣でね
で 私が助けたの
この人あの頃は生きる意味が
なかったから
私を天界に返せなくって
命で償おうとしたのよ
信じられる?
まだ高麗に来たばかりの頃の話よ


そう言ってまた幸せそうに
ふわりと笑った


大護軍は医仙様と出会い
生きる意味を見つけた
そしてそれは大護軍にとって
どれほど幸せなことであったろう
とチェ侍医は思った


して 大護軍は何か私に御用で?
わざわざ見舞いとも思えませぬが


この人ね 
私がチェ先生の心配すると焼くのよ


焼く?


悋気よ 悋気


うれしそうに ふふっと笑った


イムジャ!余計なことは言わんでいい


はいはい
医者なんだから患者の心配するのは
当たり前なのにね
ほんとに子どもみたいでしょう


大護軍も医仙様の前では形無しですね


チェ侍医は笑いかけたが傷が痛み
顔を歪めた


ほら 無理しちゃだめよ
昨日の今日なんだから


つい可笑しゅうて
とチェ侍医は答えた


イムジャ 侍医とふたりで
話がしたいのだが
大丈夫であろうか


チェヨンがまじめな口調で聞いた


ええ 大丈夫だけどなんの話?
私が居たらマズイ話なの?
あ 私の悪口でしょう


まあ そんなところだ


ひどーい
ふたりとも私が助けたの
忘れないでね


軽口を叩くと
ウンスは部屋を後にした


さて どのようなお話でしょう
と チェ侍医が尋ねる


イムジャが傷つかなかったこと
身代わりになってくれたこと
心から礼を言う


チェヨンが答える


そのようなこと気になさらずとも
それにお礼なら昨日も伺いました


身を挺して守るなど
なかなか出来ることではない
感謝はしておるが
それほど妻に惚れておるのかと


そう言って口を濁した
チェ侍医はいささか困惑しながら


そのようなことを
わざわざ仰しゃりに来るとは
大護軍は医仙様に
どうしようもないくらい
惚れておいでだ
ならば私も正直に申しましょう
私はこの傷を見るたび
医仙様をお守りした傷だと
我が身が誇らしく思えましょう


侍医
俺は妻のこととなると了見が狭い
それは自分でも呆れるほどと・・

侍医に 言うまでもないが
ユ・ウンスは我が妻
俺だけの女だ
誰にも渡すことは出来ぬし
誰かに懸想されるのも
俺は 我慢ならんのだ


十分存じております
横恋慕する気など
毛頭ありませぬ
なれど好いた気持ちは
変えようがありませぬ
私に出来ることは
医仙様に懸想を
気取られぬようにすること
ぐらいです
医仙様は日に日に
女として輝きを
増しておりますな 
それは眩しいくらいに・・・
あなた様が毎日大切に
磨いていること
わかっておりますゆえ・・・
あなた様に敵うなど
思ってもおりません
私はただ医者として
医仙様にお仕えするのみ
ご心配召されるな


チェ侍医はふうと息を吐いた


どうもこの男と話していると
心が落ち着かぬ

侍医はやはり厄介な男だと
チェヨンは心底思った・・・



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『今日よりも明日もっと』
時には好敵手も必要か・・・?


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