ねえ 結婚の申し込みをした時
あなたでも 緊張した?


朝餉を食しながら
イムジャが急にそんなことを聞く


いまさら なぜ?


いまさらって!
プロポーズは女の夢なのよ
大切にしたい思い出なの
あなたは どんな気持ちだったの
かな~って 知りたくて・・・


教えて やらぬ


どおしてよ
いいじゃない



*******



都へと戻りし 旅の途中

王宮に参上する前に
俺はどうしても
あの方に伝えねばならんことが
あった

あの方のことだ
そばにいられればそれでよい
きっとそのくらいにしか
思っておらぬであろう

しきたりとか家柄とか
そんなことを気にするやもしれん

なれど 俺はあの方を
妻に迎え ともに時を重ね
あの方とともに生きていきたいのだ
あの方以外は 考えられぬ
側室とか ただそばにいるとか
そのようなことでは
とうていこの思い 満足はできぬ

どうしたらこの思いが伝わるだろうか
やはり 正面突破しかあるまいか・・・




都のはずれの宿屋の中庭
菩提樹の下で

俺はあの方に想いを告げた

どんな戦より どんな評議より
心がふるふると震え
足ががくがくとしていたのを
悟られぬように必死に隠して

万一
「なんの冗談よ」返されたら
俺はどうしたらよいだろう

そんな不安を顔に出さずに

努めて冷静に告げた

「妻になっていただきたい」

俺の心配を
うれし涙で流してくれたあの方
4年の歳月がやっと報われたあの日


幸せな心持ちを心底感じたのは
きっとあの日が最初であろう・・・



*******



ぼんやりそんなことを
思い返していた



ねえ ねえってば 
聞いてる?





あの宿屋で次の日の朝
意地悪したのよ 覚えてる?





プロポーズは戯れ言だって
いって 私を泣かせた


ああ 
そのことまだ怒っておるのか?
あの時は仕方なかったのだ
そばに タンギュがいたゆえ
恥ずかしゅうて・・・


そんなこと 初めて知った
言ってくれなきゃわかんない
それによくそんなことまで
覚えているわね


イムジャとの大切な誓いのこと
俺はすべて覚えておるが
そなたは 忘れたのか?


さあ どうかしら?
うふふ


意地悪なのはどちらの方だ
泣き顔を見せられ
結局 その場で抱きしめた
体面も何も この方の前では
形無しだ・・・


チェヨンはひとりごちて
ため息をついた


朝からおしゃべりが過ぎるゆえ
そなたのその口塞がねばならん


2,3歩 後ずさるイムジャを捉え 
俺は朝から その口を塞いだ


あの日と変わらぬ
優しい味がした・・・



*******



『今日よりも明日もっと』
そなたを妻に出来て幸せだ・・・


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