秋が過ぎ 冬だというのに
お寺の中は 暖かい日差しに
包まれていた


皆に取り囲まれて
おめでとうと祝福を受けた

トギが柄にもなく泣いていた
テマンが今にも宙返りしそうな
勢いで笑っている
チェンソクもトクマンも
ふたりを代わる代わる見ては
うれしそうだ


ウンスは幸せな心持ちに包まれた
何よりチェヨンが婚儀の差配をし
心を砕いてくれたということが
とてもうれしい

穏やかな優しい
飾り気のない挙式
チェヨンの心そのままだと
ウンスは思った


王と王妃がウンスを見て
微笑まれる

温かい人々に囲まれて
大好きな人の妻になる



********



チェヨンに引かれるまま
金堂に皆を残して
ウンスは一度 部屋に戻った
そして
そのまま抱きしめられた


何にも言ってくれないから
全然興味ないと思ってた
婚儀のこととか
王妃様と
打ち合わせしているときも
気にする様子なかったし・・・


ウンスは照れ隠しもあって
膨れてみせた


そうか?
イムジャの驚く顔が見てみとうて
少しばかり 悪ふざけが過ぎたで
あろうか?


潤んだ眼差しで
ウンスをじっと見つめた
その視線に耐えられず
ウンスは話題を変える


似合ってた?
この花嫁姿??


チェヨンはこくりと頷くと


ほんとうは誰にも
見せとうないが
わが妻を
皆に自慢したい気もする


そう言ってふっと笑った

ああ だめだ
この笑顔にほんとに弱い
ウンスの頬が赤くなる


その様子を見たチェヨンは
もはや我慢することもできず
熱の籠った唇で
ウンスの唇を捉えた

激しく吸われて

そのまま倒れ込みそう
どうしよう・・・
そう思っていたら
急に 離された


いまはここまで・・・


ウンスの肩を優しく掴み
諭すように言った


これより王宮に戻らねばならん
片をつけることがあるゆえ 
イムジャは
典医寺で待っていられるか?


うん
ほんとに おとなしゅう 
待っているから 早く迎えに来てね


ウンスが答えた

目を細めたチェヨンが
まるで子供をあやすように
ウンスの頭を 
ぽんぽんと二回撫でた・・・




*******



夕刻 宣仁殿にて


重臣たちが一堂に会した
王の左後には内官のアンドチが控え
右横には王妃がいた
王の護衛にウダルチがその両脇を
固める


王が皆をぐるりと見渡し
おもむろにこう告げた


官位を辞すると言うた
大護軍チェ・ヨンと 
典医寺典医正のユ・ウンスの
婚礼の儀が先ほど執り行われた
ことを皆に知らせる

まあ 官位を辞するのであれば
一介の民 今更このような場所で
伝えるまでもないが
のう 枢密院知枢密院事


ざわついている重臣たちに
投げかけるように問うた


はあ・・・


して 婚儀のためにチェヨンが
職を辞すると言うのであれば
致し方あるまい
すでに 婚儀は済んでおる
これを認めぬと言うことは
チェヨンはもう大護軍には戻るまい
軍を統制しこの高麗の守り神として
存分な働きをする者 
チェヨンの他に居ると言うなら
言うてみよ 知枢密院事


はぁ・・・



ウダルチ隊長チュンソク 
その方如何だ?


はっ 大護軍の代わりなど
到底無理にございます


後に控えし禁軍アンジェ将軍
如何だ


はっ 滅相もない
無理にございます


どうするのじゃ 知枢密院事
そなた軍事を取り仕切る要職に
ありながら 大護軍の代わりひとり
見つけられぬとは 如何するのじゃ
もしも この間に
どこぞの敵が攻め込んだら
いかに責めを負うつもりじゃ


反論できずにいる
知枢密院事を見おろし
にやりと笑って王が告げた


では これは致し方ない
チェヨンに引き続き大護軍を
受けてもらうしかあるまいな
外に控えし チェヨンを呼べ



宣仁殿の後方の扉が
ばんと開け放たれた
重臣たちの真ん中を
堂々とチェヨンが進んでくる


王の前まで来ると
一礼をして跪いた


王命である
大護軍チェヨンは
引き続きその職を全うせよ


はっ!


大護軍 大儀である 
婚儀まことに目出たきこと
余もうれしいぞ


はっ!


おう そうじゃ
王妃より話があった


はい 王様
皆に伝えたき儀がありまする
医仙は妾にとって命の恩人であり
また姉と思い慕っておりまする
ぜひともふたりの祝いの宴を妾が
執り行いたく思うております


そうか
王妃の申し出とあらば
逆らう者もおるまい
王室に逆らうと言うことは
それすなわち 謀反と心得よ



王の声が宣仁殿に響いた



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