立派な山門をくぐり抜け
やや暫く歩くと
二番目の門がある
門の両脇に配された
色鮮やかな仏像が
来る者を受け入れていた

中庭の石の塔を見上げながら
通り過ぎると
お寺を彩る丹青の
細かな美しい文様が
あでやかに燦然と輝く

金堂には
金色に光りを放つ御仏がおり
その前にいる
柔和な顔の和尚が
ふたりを出迎えた


これは 
チェ家のヨンではないか
親の墓参りにもめったに
来ぬ者が
天女を伴いいかがした?


ねえ 天女って
和尚様 私のこと天界から
来たってご存知なの?


小さい声でウンスが聞く


ああ 
あれは和尚の戯れ言
まったく 美しい女人を見ると
すぐに天女と言う


美しいって・・・


心なしかウンスが照れると


今のは俺の戯れ言です


悪戯好きの少年のような
目をして笑った


もう ヨン!


そのやり取りを見ていた
和尚が


天女とヨンは名前を呼び合う
ような仲なのか


と豪快に笑った



相変わらずだなぁ
和尚・・・
叔母上より知らせが参って
いるであろう
この寺でこの女人
ユ・ウンスと
婚儀を挙げたいと・・・


そうであったかな
はてさて そんな知らせ
届いておったかな?


和尚はとぼけて
また笑った


チェヨンが
離れを使わせてもらう
と 告げると



あそこはもともと
チェ家のもの
いつまでも
ゆるりとしていかれよ


和尚はそう言って
金堂を後にした



*******



案内された部屋は
こじんまりとした
清潔な部屋

ふたりで過ごすには
広すぎなくてちょうどいいわ
そんなことを考えながら
部屋の端に積んである
布団を見つけた


ねえ ヨン
布団が一組しかない
これじゃあ狭いし寒いわ
もう一組お願いしなきゃ


屋敷では同じ床だが


だってお屋敷のりっぱな
ベッドとは違うもの


かまわん 重なって
眠ればよい


ちょっと チェヨン!
ウンスは
二の句がつなげない


チェヨンは積み上げられた
布団の前にどさっと座り
胡座をかくと
自分の太腿を
ぽんぽんとたたき



ヨギ・・・


と言った


ヨギって・・ここに?
膝の上に座れってこと?


ヨギ・・・


もう一度ウンスを促す


子供じゃないんだから
そんなこと
しらふで言われても
恥ずかしくって
行けやしないわ


躊躇しているウンスの
手首をくいと掴むと 
反対の手で足をすくいとり
すとんとウンスを膝の上に
座らせた

ひどく照れくさくて
落ち着かず
チェヨンの足の上を
もぞもぞ動いていると


あまりそのように
動いていると
このまま倒したくなる


困った顔でチェヨンが言った
その言い草に
心臓がばくばくして
逃げようとするウンスを
チェヨンはしっかり捕まえて


今宵はイムジャと話がしたい
このところ ろくろく声も
聞けなかったゆえ


と 囁いた


なんだか ゼッタイ
ヨンの方がいつも上手だわ
だっていっつもこんなに
どきどき させられるもの


ウンスが顔を赤くして
チェヨンに抗議すると


やっぱり 結局 チェヨンに
倒された・・・



*******



『今日よりも明日もっと』
穏やかなときを刻みたい・・・


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