今宵はこの寺の離れに
泊まります
和尚にはもう話をつけてある


チェヨンが言った


屋敷には帰らないの?


イムジャと婚儀できねば
官職を捨て山に籠ると言ったゆえ
屋敷ではうるさい連中が
訪ねてくるやもしれませぬ
暫くここに留まります


そう 
じゃあ明日はずっと一日中
一緒にいられるの?


ウンスの顔色が輝いたことを
見逃さなかったが平静を装い


無論


と短く答えた


こっちに戻ってきてから
ずっと一緒にいられた日
考えたら 一日もなかった


チェヨンはウンスの頬の辺りが
僅かばかり膨らんだ気がした



拗ねておったのか



膨らんだ頬を指で押すと
弾力のある肌が指を弾き返した

どうしたって
かわいくってしょうがない

時々 この自分の想いに
自分が 呆れるくらいだ
チェヨンは笑みをもらした



何よ



そう思わせている主は
相変わらず不満げに
膨らんだ頬のまま 
軽くチェヨンをにらんでいる



*******



メヒ・・・お前を最後まで
守り切れなかったこと
最後の最後で
互いに信じあえなかったこと
ずっと悔やんで生きてきた
お前とは 
互いの気配を消し 
ともに互いの後を守りあって
死を避けてきたよな

だがな メヒ
俺はイムジャの気配を感じ
ともに生きるために
いつもイムジャを
正面から見ていたいのだ

顔が見えぬと穏やかになれぬ
声が聞こえぬと落ち着かぬ
自分でも呆れるくらい
イムジャを求め 
イムジャとともに
生きたいと願っている

何も迷わず 
俺を信じるこの方を
俺をとらえて離さぬこの方を
俺の生涯をかけて守リ抜く
イムジャは俺の生きる意味なのだ



急に抱きしめられて
びっくりした


お寺の中で 誰かに見られたら
どうするのよ


そう言うはずが なんだが
安心して力を抜いてしまった


メヒさんとのこと
10年以上も前のこと
過去のことも含めてそれが
チェヨンなのだからと
ずっと大人ぶってきたけれど
死んだ人には
かなわないんじゃないかって
心の片隅で思っていた
これじゃあ 光守の奥さんと
いっしょじない・・・

だからチェヨンが もし
メヒさんのこと
私を安心させるために
優しい嘘をついたとしても
それでも うれしかった

そしてチェヨンが
嘘をつけるほど
器用な男でないことは
私がよく知っている・・・

赤月隊のヨンを支えてくれた
メヒさんを私は忘れないわ

これから 長い時を
彼のそばで 彼に寄り添って
彼とともに 生きていきたい



*******



どうした?


腕の中で
くすりと笑ったウンスを
チェヨンが見つめる



うーん なんだか
すっきりした


すっきりしたか・・・


チェヨンがウンスの頭を
ゆっくり撫でた




*******


にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村