ものすごく 
すごく 会いたい

その一心で兵舎まで走った

トクマンがウンスを見つけ
すぐに二階の奥の部屋に
通された

チェヨンのいる部屋
ノックするのも忘れて
飛び込んだ


窓から外を見ている背中に
何も考えずしがみついた


どうして どうして
何も言わないのよ
ちゃんと教えてくれても
いいじゃない
叔母様からも
チュンソクさんからも
話を聞いた
私ひとり蚊帳の外
みたいなの
寂しくって仕方ないじゃない


なんだか最後は
涙声になってしまった・・・


チェヨンが振り向こうとする


見なくていい
今の私 情けないから
見なくていい


衣をぎゅっと掴んだウンスの
その手を振りほどいて
チェヨンは振り返った


泣いておるのか


そう言って指で涙を拭う


言ってくれなきゃわかんない
弁解してよ
ちゃんと
わかるように言ってよ
安心させてよ


言ってることが
めちゃくちゃだ
それはわかっていたが
堰を切ったように
溢れた思いは
止めようがなかった



ごめんなさい
チェ侍医とのこと
夜更けにふたりきりとか
逆の立場なら耐えられない
あなたが誰か他の女の人と
一緒にいるなんて
考えただけですごく嫌



子供のように泣きじゃくった
こんなに泣いたのは久しぶりだ
抱きしめてくれた腕の中が
一番安心できる
やっぱりここ以外居場所はない
ウンスはそう思った



ウンス・・・


チェヨンの
低くくぐもった声が
頭の中まで響いてくる


すまなかった


もういいの ほんとに・・・
私も意地を張って
ごめんなさい


ウンスが
しゃくり上げながら言うと


イムジャに
背を向けられることが
何よりこたえる


チェヨンのため息が
耳元で聞こえた



チュンソクさんが言ってた
大護軍が元気がないから
兵舎が水を打ったように
静かで困るって心配してた
もう大丈夫?


チェヨンはふっと小さく
笑い声を漏らして


イムジャはそれでここまで
走ってきたのか?


どうしてわかるの?


窓から見えたゆえ


・・・・


ここまで来る間 兵舎は
いかがであった?


いかがって?
みんなふつうに剣術の稽古とか


あっ とウンスの声が上がる


イムジャ 
まんまとチュンソクに
一杯食わされたようだな


あ~ もうチュンソクさん!
恥ずかしいじゃない


腕の中から逃げようとする
ウンスを今度はチェヨンが
逃がさなかった


チュンソクに礼を言わねば
おかげでイムジャの口から
想いが聞けたのだから

俺はイムジャ以外
俺の心をこんなに
乱す女人を知らぬ
イムジャは俺にとって
唯一人のそう言う女人なのだ


チェヨンの吐息が
唇にかかる
まだ何か言いたげな
チェヨンの唇を
ウンスが先に塞いだ



窓の外では 
歩調を合わせるように
規則正しい
かけ声が響いている

剣と剣が
はげしくぶつかりあう
稽古の音まで
ウンスの耳に聞こえてくる


いつもの兵舎の
いつもの時間が流れている


部屋の中の
ふたり以外は・・・



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