目覚めると目の前に
チェヨンの顔はなかった

そのかわり
後から抱きしめられて
身動きが取れない

いろいろ考えているうちに
明け方になった
眠った気がしない

彼もきっと
何か私に言いたくて
でも上手く言えなくて
眠った私を抱きしめたんだ

そう思った

身じろぐと余計に力が
加わった
起きてたんだ・・・



苦しいわ ヨン


昨夜はすまぬ


耳元で小さく声がする


妓楼に行ったこと?
典医寺から腕を掴んで
引きずり出したこと?


どちらもだ
言い訳はせぬ
イムジャのことを
傷つけるつもりはなかった


彼の精一杯の気持ちだろう
彼が不器用な人だと
わかっている
でも素直になれなかった


もういいから


剣のある言い方しか
できなかった・・・
もう妓楼になんて
行かないでとか
がまんできないとか
そんなことを言うと
すごく
自分の器が小さい気がして
どんと構えていられない
自分が情けなくて
余計に意地になってしまった
突き放すような言い方を
してしまった


チェヨンはそれ以上
何も言わなかった



*******



王宮には別々に出仕した
折角 チェヨンがきっかけを
作ってくれたのに
拒絶したようになり
気まずくてとても一緒には
歩けそうになかった


典医寺ではトギが心配そうに
迎えてくれた
昨日は一緒に
残れなくて悪かったと
謝られて ちょっと驚いた


朝の回診へと坤成殿へ行く途中
チェ尚宮と会った


昨夜はひと騒動
遭ったようだが・・・


相変わらずに耳が早い


昨日何か言いた気だったのは
妓楼のことだったんですね
教えて下さればいいのに


そう言うと


いや あれは勝ち戦の慣例で
ヨンが黙っているものを
差し出がましいのも
いかがかと思うてな
だがあの甥は医仙に隠れて
他の女人となど
そんな器用なことは
決してできぬ
それだけは
わかって欲しゅうてな


ウンスを
なだめるように言った


そうか まわりはみんな
知っていたんだと思うと
ますます
自分だけ取り残された
気がして寂しくなった


*******

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