トギがそろそろ
帰るかという頃
典医寺に
トクマンがやってきた


お久しぶりです
医仙様
典医寺の診療は
もう終わりですよね


あら~トクマンさん
久しぶりじゃない
倭冦征伐お疲れ様
国境警備に続いて
ほんとうに大変だったわね


陣屋で別れて以来の
トクマンを労う


大護軍もあなたたちに
丸投げして仕方ないんだから


と 申し訳なさそうに
そう言った


ところで 今日はどうしたの?


はあ 腹の具合がちょっと


そう じゃあ診察台に横になって
今 診るわね


ウンスはトクマンの着物の裾を
たくしあげた
贅肉などまるでない鍛えられた
腹筋がそこにあった


トクマンの腹に触れようかと
いうとき
チェ侍医が
私が診てみましょう と
診察を代わった


そう? じゃあ よろしくね
私 トギを見送ってくるわね


といって 典医寺を出て行った


トクマンは医仙様が
行ってしまったことを
残念そうに見送った
そして
チェ侍医をじっと見てから
おもむろに言った


あなたが噂の侍医ですか?
某 ウダルチのトクマンと
申します


はて さて
どのような噂でしょうか


チェ侍医はとぼけるように
言いながら診察をはじめた
痛いところはないか
丁寧に腹の上から手を当てて
確認する
そうこうしているうちに
ウンスが戻ってきた


チェ侍医 トクマンさんは
どこが悪かったの?


たんに軽い食あたりかと・・・


チェ侍医が答える


私は薬湯を煎じて参ります
しばらくお待ち下さい


そういうと薬剤室に向かった


ねえ 医仙様
トギはもう帰ったのですか?


トクマンが聞く


ええ 
今日は用事があるみたいで
残念ながらね


では これからチェ侍医と
典医寺でふたりきりなんですか?


そうよ 一人じゃ心細いじゃない
助かっているのよ
この時代の医学につても
教えてもらえるしね


はあ


チェ侍医が薬湯を持ってきた
苦そうなそれをトクマンが
しかめっ面で飲む


でも トクマンさん
軽い食あたりでよかったね
これを飲んだらすぐ治るわよ
いまごろ兵舎で
盛り上がっているのかしら?


へ?


あら?
今日は宴だってヨンが・・・


ああ 大護軍たちなら
もう妓楼ですよ


ぎろう・・・?


今日は大護軍のおごりなんです
だからみんな
盛り上がっちゃってぇ
それなのに俺ときたら
腹を下して困ってたんです
でもよかった 
薬湯が効いてきたみたいで
これで心置きなく遊べます


そう・・・
妓楼に行ってるの?
そこって
きれいなお姉さんたちが
たくさんいるのよね


そりゃ そうですよ
それ目当てで男たちが
遊びにいくんですから


と言ってから やっと
雲行きが怪しいことに
気づいて


いや あの
大護軍はいまはもう
医仙様一筋ですよ


いまはもう・・・?


相変わらず間の悪い男だ



*******



ウンスは暫くぼーっとしていた
妓楼に行くなら 行くって
言ってくれたっていいじゃない
私だって子供じゃなんだし
みんなを労うためだって
ことぐらいわかるもの

女遊びの一つや二つ
大丈夫なんだから


ひとり言のつもりが
チェ侍医に聞かれていた


とても
大丈夫には見えませぬが


チェ侍医が温かいお茶を
入れてくれた


何も変なものはいれては
おりませぬ
安心してお飲み下さい


もう チェ侍医ったら


と思わず笑った


そうそう医仙様は
お笑いになっていた方が
よりお美しい
ふさぎ込むのは似合いませぬよ


だって 妓楼のこと
何も言ってくれなかったから
やっぱり若くてきれいな人が
たくさんいるのかしら?


医仙様
あなた様は 目に映るだけでも
心がきりきり痛むほど
どんな女人よりも美しい光を
放っています
その光を浴びた男は生涯
あなた様なしでは
生きていけないでしょう
あなた様は他の女人のことなど
気にしなくてよいのです
大護軍の目には
あなた様しか映ってはおりませぬ


それは褒めすぎよ
でも ありがとう
チェ侍医はやっぱり名医ね
心が軽くなった気がするわ
うん 気にしない
気にしない ケンチャナ



医仙様 今の想いは私の想い
私の目にもあなた様しか
映ってはおりませぬ

と それは言わなかった



*******


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