夕刻 典医寺の仕事が一段落

今日もそろそろテマンが
迎えにくる頃だろうか

そんなことを思いながら
窓の外を見ていた


今日は忙しかったわね
チェ先生目当ての女の人が
増えて大変だわ


ふふっとウンスが笑うと


それを言うなら
医仙様に診て頂きたい兵士で
溢れておりました



チェ侍医がそう返した

ふたりは顔を見合わせて
ぷっと吹き出した



まあ お互いモテるって
ことで



モテ?



人気者ってことよ
でも よかったわ
チェ先生なんだか
スッキリした顔してるもの 
私の知ってる光守に
やっぱり似てる


そう言うと
光守を思い出すかのように
遠くを見た



医仙様はあまり
すっきりしているようには
お見受けできませぬが
お心うちに
なにか気になることでも
あるのですか?


チェ侍医が尋ねる


げっ! 
ここにも聡い人がいる


そう思ったウンスは
くるりと
近くにいたトギに向き直り



ちょっと坤成殿の
叔母様のところまで
行ってくるわ
伺いたいことがあるのよ
すぐ戻るから 
テマンにそう伝えてね


と告げて出て行った





入れ違いにチェヨンが来た



おや これはまた
お珍しい


そう言ってチェ侍医が迎える



医仙を迎えに参ったのだ
そろそろ役目が終わる頃で
あろうかと



ええ 入れ違いでしたね
先ほど チェ尚宮様のところへ
行かれました



叔母上の?



はい 
すぐ戻ると仰せでしたので
こちらでお待ちください



そうか・・・



チェヨンは侍医を見る


美男と言われるだけあって
すっきりした顔立ちに
優しい笑みが色を添える
もはや策を巡らせるようには
見えぬが 

イムジャのそばに
このような男を
置いておいてもよいものか
と 少し心がざわついた



時に 大護軍
医仙様は何かお困りごとでも
あるのでしょうか?







今日はどことなく
お元気がないような気が
いたしまして



そのようなこと
・・・
そのようなこと
侍医に言われるまでもなく
わかっておる



と ややムキになって答えた



あの方は
周りの心配ばかりするお方
本当に自分のことには
不器用なのだ



似てますね
大護軍と医仙様・・・
お互いの心の動きには
敏感なのに 
自分のことは
心配かけないようにと
仕舞いこむところ



話そうと思える時が来たら
話してくれるだろうが
俺は それまで 
ただ 見守っていたいだけ



そうですか
やはり大護軍には
かないませぬな
私なら問いただして
しまいましょう


チェ侍医はどことなく
寂しそうに言った



*******



ほどなく ウンスが典医寺に
戻ってきた

チェヨンを見つけると


ヨン 来てたの?


うれしそうに駆け寄ってから
あっと口を押さえた


王宮では大護軍だった


気まずそうに頭をかく


かまわぬ
俺も役目が終わり
そろそろ帰るゆえ
イムジャを迎えにきたのだ



と チェヨンが言った



迎えに!!来てくれたの?


ウンスの表情がぱあっと
明るくなる


仕事が終わって
旦那が職場に迎えにきてくれて
一緒に買い物とかしながら
家に帰るの
やってみたかった~
だってこっちに戻ってから
すれ違いばかりだもの


甘えるようにウンスは
チェヨンの肘の辺りを
つんつんとひっぱりながら
そう言った



チェ侍医の咳払いが聞こえて
慌てて手を離す


医仙様 そういうやり取りは
お屋敷でなさってください
私にもトギにもまる聞こえで
ございます


赤くなったウンスを
早く帰れと追い立てるように
トギがしっしと両手で払う



チェヨンとウンスは
少し離れて
典医寺の戸口を出たはずだが
すぐにふたりの手は
重なった
ウンスが背伸びをして
チェヨンの耳元に口を寄せて
何か楽しそうに話している

チェヨンも
からだをウンスの方に
傾けて楽し気に聞いている



あそこだけ春だな
仲がよろしいようで・・・


チェ侍医がつぶやくと
トギが顔を赤らめた



*******



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