そんなはずない

目の前にいる侍医は
私の知ってる彼に生き写しだ
でもそんなはずはない

あなた誰なの?

ウンスは侍医に尋ねた


ハナ殿か・・・
やっとお会いできました
100年かかりましたが・・・

そう言って
ウンスの手を取った


私は光守(グァンス)の孫 
水晶(スジョン)です


チェヨンの気配を感じる
狼狽ぶりが見て取れる
私も混乱してるのよ
そんな目で私を見ないで
ヨン・・・
とウンスは
チェヨンの心に問いかける


チェヨンは何も言わず
その場を去ってしまった


あの人の姿を目で追う

ごめんなさい
聞きたいことは
たくさんあるけど 
いまは私
あの人を追いかけなくちゃ


掴まれたその手を振りほどき
ウンスはチェヨンの後を追った


因縁はどうしてこうも
間が悪いんだろう・・・



坤成殿の中庭の隅の
渡り廊下のその陰で
チェヨンは叔母チェ尚宮が
戻るのを待っていた


ここにおったか

チェ尚宮が甥に声をかける

医仙がお前を
探しまわっておるぞ
早う顔を見せてやれ


静かにチェヨンは首を振り


あいつは何者だ
と叔母チェ尚宮に聞いた


それがようわからん
チャン侍医の学友なのは本当だ
腕のよい医者だということも
間違いはない

チャン侍医が
あのようなことになり
医仙もいつ戻るか
わからぬゆえ
腕のよい侍医が王宮には
必要だったのだ

侍医となって暫くして
王様に
自分は華陀を知っていると
華陀の役に立ちたくて
医術を学んだと言ったそうじゃ



それはどういうことか
侍医の言う華陀とは
あの方のことだろうか



わからぬ
多くを語らぬのだ
ただ あの通り腕もよい
なんの落ち度もないものを
首には出来まい

医仙となにか縁が
あるやも知れぬと
王様も
お前たちを案じておいでだ



そんな得体の知れぬ奴のそばに
あの方を置けというのか


叔母チェ尚宮は
困ったようにチェヨンの肩を
さすった

深いため息がもれた



*******



やっと見つけた 
王宮の中庭の池のほとり

座り込んでる彼がいる

侍医のこと
本当に知らない人なのよ
あなたの思い違いなのよ

言ったところで
今の彼には届きそうもない

ちゃんと話すから
聞いて欲しい
あなたのこと
どれだけ好きかってことも
あの侍医とはほんとに
何の関係もないってことも

ウンスは願った

チェヨンの心が
ざわつかないように と



ヨン
家に帰ろう・・・



ウンスはチェヨンの手を
きゅっと握った



*******



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