今回のお話は少し長いかもしれません。

気力体力に余裕がある時に

お読みいただくと………………


え?いつも長いって??

あ、こりゃまた失礼いたしました〜。

休み休みお読み下さいませ。

(本当にいつも長くてごめんなさい)




2019年。

放射線治療を受けていた時の話。



照射12日目。

9月も半ばにさしかかろうとしていた頃。

放射線治療の後、

主治医先生の婦人科診察へ。



7月末に退院した後は

1~2週間おきに婦人科診察があった。

この日は退院後3回目かな。

前日に血液検査を受けたので、

その結果の話など、の予定。


婦人科外来の待合室は常に混んでる。

この日も受付から2時間半待って、

ようやく呼ばれた。



ちなみにこのころの体調は、まだ膀胱炎の症状が酷く出ていませんでした。お腹はゆるくなりつつありましたが、出先では便意が消えるという謎のGPS体質(そんな体質あるのか?)ゆえ、診察待ち時間が体調に悪影響を与える事はなかったです。



2週間ぶりの主治医先生。

あれっ、先生散髪しました?(いらん観察)



前日に受けた血液検査は、

ホルモン数値を見るため。

ホルモン値、エストロゲンの事です。

私は手術で子宮全摘したけど、

卵巣は残したのです。

卵巣の場所は少し上に移しました。


けれど骨盤部に放射線を当ててるため、

場所を移したといえど

卵巣にダメージが出る可能性もある。

女性ホルモンは卵巣から出る。

その数値を見ておきましょう、

という訳だ。



「こんにちは。お待たせしました」

「こ、こんにちはですぅ」ヨボヨボ


待たされました、とは言えず。


「放射線治療、どうですか?」

「お腹がゆるくなってきますた」

「あぁ、やっぱりそうなりますねぇ」

「はいぃ……」

「いろいろ副作用が出るでしょうけど、

根治のための治療だから頑張りましょう」

やんわりと励まされた。



ふと、

ガンに根治ってあるのかな?と思った。



で、本題に。


「血液検査でのホルモン値ですが、

若干、ありましたね」

「若干、ですか」


あるだけマシ~!って喜んでいいのか?


入院中に病理検査の結果を聞いた時は、

「卵巣は残してあるので、

生理はなくなるけど排卵はあります」

との説明を受けていた。


つまり完全な閉経にはならないと。



しかし今回の放射線治療で、

やはりと言うか、

多少の影響は受けているようで。


閉経した後のリスクを考えて

卵巣を残したのに。

ホルモン値は確実に減っているのか。



うなだれる私に、主治医先生は

「あくまでも治療が優先になってしまうのでね、ご理解頂きたいんです」

静かな口調でなだめてくれた。



うん、先生が悪いんじゃないしね。

卵巣残すのも放射線治療受けるのも、

決めたの私だしね。

最善を尽くしてくれたのは先生。

そこには感謝しかないです。



主治医先生の見解では

今の所、数値的にホルモン補充しなくても大丈夫でしょう、との事。


ちょっぴりホッ……………?



次の婦人科受診は11月頭。

放射線治療が終わって1ヶ月の時期。

ここで血液検査とCT検査をして、

経過を判断しましょう、と。


それまでは残りの放射線治療と、

泌尿器科受診を継続する事。


よし、頑張る。

会話がいったん、途絶えた。

…………………………。



するとここで主治医先生、

私の方に体を向けると改まった顔で


「実は急なんですが私、

来月から異動になりまして。

今回の診察が最後になります」

「えっ?」


突然のさよなら宣言。ポカンとした。



はい?


主治医先生が?


今日で診察最後???



あまりに突然のさよなら宣言で、

言葉も感情もどっかに吹っ飛んだ。

「…………………………。」


数秒の沈黙後、

「今1番聞きたくない言葉ですー……」

力なくつぶやいた。


腹に力が入らない。


「本当に申し訳ないです。

今の晴日さんの状況のまま異動するのは

私も大変心苦しいのですが」

主治医先生に頭を下げられてしまった。



泣きたかったです。

その場で泣きじゃくりたかったです。


でも

「ここで泣いた所で状況が変わる訳ない」

「主治医先生困らせてどうする」

って思うと

感情表現にブレーキがかかってしまった。

笑顔も涙も消えてしまった。



可愛げのない患者でやんの。



結局。

まともなご挨拶もできないまま

ありがとうございましたとだけ言って

退室した。



この時、


もの凄く不謹慎だけど、

実現したら困るの承知なんだけど、

「再発しました」

って言われた方がマシだと思ってしまった。



入院中お世話になった人、

どんどん会えなくなっちゃうんだな。

主治医先生と会って、

まだ3ヶ月足らずじゃん。

早すぎるよー。


こんな試練は予想だにしてなかったー。



突然の主治医先生とのさよならで

茫然自失のまま、

無情にも放射線治療は続いたんでした。


腸炎以外の副作用が出始めたのは

この後です。


ちょっとだけ、

医大の人事を恨みました。


主治医先生も嫌なお役目だったろうな。

ガンの告知から始まり、

自己導尿の決定と、

追加治療の説得と、

自分の異動話。

どれもいい報告じゃないもの。


だから私は泣けませんでした。

帰宅してから涙があふれました。



放射線治療の中で1番辛かったの、

この出来事だと思う。