2019年7月。


全身麻酔で手術を受けた。

広汎子宮全摘出。

8時30分に手術室へ向かい、

本格的に執刀が始まるのは9時30分でしょうと説明されていた。

手術に要する時間は3〜4時間の予定と事前に聞いていたから、目が覚めるのは昼過ぎくらいかなと思っていた。



ずーっと夢を見ていたような感覚。

「晴日さーん。手術終わりましたよー」

女性の声で目が覚めた。


最初ぼやっとして、

手術室らしき天井を見た瞬間我に返って

「あ、現実だ」

と思った。

 意識が朦朧としてる。


病室に運ばれている間、

体が冷えていくのがわかった。


なんか寒い………。

手術台はあんなに温かかったのに。

あのままでも良かったなー……。


病室に戻ったのか、枕元に旦那が来た。

隣りにお母さんもいる。

無事に会えたわー…………なんて安心した次の瞬間、寒くて体が震えてきた。

「寒い……」

つぶやいたら、全身ブルブル震えてきた。

ここ、ほんとに病室?

余りの寒さに歯が噛み合わず、

ガチガチガチッと大きく音をたてた。


「寒いって言ってます」

旦那が看護師さんに伝えてくれる。


耳元で旦那が言うには、

掛け布団2枚の上に電気毛布をかけて、

温かさMAXにしてるんだとか。

病室(個室に移された)も暖房かけてると。

だのに私の寒気、一向に収まらず。

寒い寒い寒い。

痛いより寒い。

この時、7月よ?


寝ている私から向かって右側に

旦那と母がいた。

私、今酸素マスクしてる。

歯をガチガチさせながらゆっくり首を動かして、左側にいる看護師さんを見上げた。

瞼がなかなか開かない。

点滴の処置とかしてくれてるのかな……。

ぼんやり顔が見えた。

「………〜さん……………?」


私がガン宣告を受けた日の夜、

病室に来て話を聞いてくれた看護師さん、

名前は覚えていたので、

必死で名札を見た。

あの看護師さんだった。

手術前に入院してから初めて会えた。

でも寒くて声が出なかった。

目も開けていられない。


足元の方で、

「湯たんぽ持って来ましょうか」

誰かが言ってくれた。

数分後、両足首と両二の腕に湯たんぽを置いてもらった。

う、腕がぬくい…………!!

一気にじんわりしてきた。

「あったかーい……」

つぶやいた私の声を、旦那が看護師さんに伝えてくれた。


次第に震えも歯のガチガチも収まった。

あぁ、両腕がぬくい。

7月、湯たんぽに命救われました。


この時の私は、

背中に硬膜外麻酔の針、

右手に痛み止めを押すボタンと、

左手にナースコールボタン持って、

お腹にドレーンの管通して、

尿道口からバルーンを通して、

酸素マスクを装着していた。

両足は膝下までの血栓予防の靴下はいて、

そこにマッサージ機を装着。


重病人みたい。


「今、何時?」

かすれ声で旦那に訊いた。

「今ね、17時になるところ。手術は7時間くらいだったみたいよ」

「??!!!!」

びっっっっっくりした。

「みんな、ご飯食べた?主治医先生も、ご飯食べれた?」真っ先に思った。

予定よりだいぶ時間かかったんじゃん。

私の体、面倒かけたのね……。


震えが落ち着いた頃、

看護師長さんが顔を見に来てくれた。

「手術お疲れ様。頑張りましたね」

ねぎらってくれた。

頑張ってくれたのは先生方とオペ看さんなんですよ……。

生きて戻れて良かったです。

師長さんに痰の出し方と深呼吸の仕方を教わって、入れ替わりで主治医先生が顔を見せてくれた。


主治医先生だぁーーっっ!!


「お疲れ様でした。手術は無事終わりましたよ」

顔見れて声聞けて安心した。

全身管だらけで動けなかったけど、

飛び跳ねたいくらい嬉しかった。

「ありがとうございました」

蚊の鳴くような声で言うのが精一杯。

先生の顔が優しかった。



私の手術、出血量は1000ccほどで、輸血をするかどうかギリギリだったそうな。なんとか輸血をせずに済んだとか。



いろんな人に、

たくさん助けてもらいました。