以前からその方には伝えているのだけれどもそこにフォーカスして指摘する事は避けて来た。それは、意識する事で固さが生まれてそれが全体に拡がる方が良くないと考えて来た為。
この数年は長い経験年数が有る大人の方でももっと良くなる方向や考え方を、理解してもらおうと奮闘している〜これはとても繊細な事で、今まで培ってきたその方の方法や考え方を大きく修正する事、否定になる事も有るので長年に渡って避けていた部分もある。先ずは楽しんで欲しいし。上手く文章にするのは難しいのだけど、専門的に勉強をする人はまた別だがアンブシュアを含めて、その人が演奏出来ない(活動してる合奏に不具合が出る)状況は作らない様にしてる。一年先に良くなる試算が有ってもその一年の中で興味を失ってしまう可能性が有るから。もちろん、御本人の希望が有れば詰めてやるが「音楽を楽しむ」と言う観点からは余り好ましくないと考えている。少しづつで良いから改善して行き、何ヶ月、何年経った時に「あれ?良くなってる!」と言うのが理想的なのではないか?細かく奏法を考えて音楽を忘れてしまう位ならその方が何百倍も良いのではないか?と考えている。
一年先で無くて三年先に可能性が少しでもあるならその時々の活動に出来るだけ犠牲が生まれない様にと考えている。
だから、スルーして良いと判断した不具合はスルーする。スルーしない方が良いと思う事も他でカバー出来ると判断したら手はつけない。生徒さんが意識を持つ事で改善で無くて、他の部分を巻き込んでそれまで機能していたバランスを失い音楽を楽しむことから離れてしまう事が起こるのは避けたい。
このブログに書いてる殆どのことは愛好家の方や若い十代の子達の事が多い。僕は好んで田舎に住み、その状況ではそう言う方のレッスンが多い。専門生や愛好家でも演奏家並みに活動される方にはもっと違うアプローチになるとも思う。
(でも、基本は同じかな)
さて、息の鼻抜け。
これはアンブシュアや喉、呼吸から生まれる息の流れの不具合(スムーズに流れなくて息の行き場がなくなり苦しくなること)で、その苦しさを排除する為に口腔から鼻に抜ける弁を開いてしまうのが原因だと思う。
だから、必要以上なストレスを取れば消えて行くと判断をしていた。しかし、最近凄く全体的に良いサウンドで音域も拡がっているのに、休符の多いなど上にあげた場面で「鼻抜け」が起こる方がいらっしゃる。状態はかなり完全されてるのにいくつかの場面で以前の状態になる。身体の中に生まれるストレスを排除していっても、鼻抜けする状態を自ら作ってしまう〜これはその部分(鼻に抜ける部位)の習慣による過度の脱力と長いフレーズでは必要以上に身体や息の圧力を上げてしまうからだろう。
そこでフレーズを切って丁寧に吹いてもらうと少し改善。
改善した時に尋ねたら、フレーズを長く続けると上手くいかない所は「怖さ〜音が出るかどうか、上手く行くかどうか」を感じると言う事だった。
ああ、そう言うことか。。
要するに自らを追い込んで常に吹いてる。
そこで「怖くない様に物事を進めながら吹いてみて下さい。間違えても、テンポが落ちても、フレーズが切れても良いから、ただ、怖くない様にだけを気を付けて」やってみると、完全では無いが7割方の鼻抜けが無くなった。感想は「一つ一つが丁寧に出来たので鼻抜けが減った」との事。慌てる事で一つ一つの動作が曖昧になり、恐怖が生まれそれを後手に回りつつ力でカバーする事になる。そこに鼻抜けを挟む事で安心感が出る。しかし、その鼻抜けはエネルギーのロスを生んで効率良く吹くには賢明とは言えない。どうしても更に苦しくなり焦りを生む。
ここで、更に怖さが増幅される。
そこで、一つ一つ奏法や身体のチェックも出来るだろうが、それをやると、自分の経験、レッスンでの経験、レッスンを見ていての経験から音楽をするための楽器の扱いから遠ざかる方向へ進むと感じている。音楽をする瞬間にそんなことを考えてる余裕はない。何十や下手すると何百の動きをバランス良く全てが同時動きつつ音楽に意識を持つ事が出来ないとならない。音楽をする事は感覚として全てを把握出来るアプローチで無いと出来ない事。これは分析を完全否定するものでも無く、現状の把握を否定するものでは無い。分析や把握から不具合を知りそれを改善する為に細かくするので無くて全体をイメージを大きく使い考える事が大切だと思う。
(実際に鼻抜けを常に感じ取れる様にはなってもらったし、それがなくなる事で音へのエネルギーのロスが消えて結果的に良い方向に向かう事を感じてももらった。)
何故なら、例えば表現をすることと同じで、頭で考えて正しい音が出る様(並ぶ様に)にと音を整理整頓してから、エモーションをと考えても実は上手くいかない。同時に進行しないと。
細かく分析して修正するより「怖く無い様に進める」と考える事により他への意識が丁寧になり集中が上がるならその方が遥かに良い。出来れば「安心出来る様に」とポジティブに言葉を入れ替える方が良いかもしれないが、今は「怖く無い」の方が良いと思う。「怖い」というのが本人から出た偽りや誇張のないの無い言葉だから。ひょっとしたら「安心」変化するかも知れないが無理やりそうするとその時点で意識はずれてしまうと思う。机上の理論では上手くいかない事が多い。
言葉はすべての人で受け取り方も発し方も違う。相手との受け答えや発した言葉への反応の仕方で全て使い方を選ぶ様にしている。だから直接的な言葉が全て正しいアドバイスだとは思わない。