最近のレッスンより。
どうしても唇の振動を必要以上に求め上下の唇を必要以上に閉じようとして息が強くなりますます唇を閉じようと…
大抵の子や一般の方はレッスンの最初にここに陥って居る事が多い。
唇はある程度のアンブシュアの構えと頭の中に音が有れば楽器がその振動を導いてくれる。アンブシュアの型も。
そこを感じてもらう一つのアプローチとして簡単なフレーズを吹いてもらってから、音を出さないマウスピースのバズングをしてもらう。一息で保つように息を加減して。その時に歌う感覚を忘れない事が大事。唇も操作しない。(音を出さないのでバジングとは言えないが、音を出した途端に唇で音を掴んでしまうので)
その後に楽器にマウスピースをつけて吹くと、さっきまで色々やってキツかった事や音の違いに気がつく。こんなに何にもしなくても音が変わる?との印象を持つ人も少なくない。
唇は振動しないと音にならない。
でも、その振動を求め過ぎると楽には吹けない。また、マウスピースでのバジング時のでの唇の振動に必要な力具合と楽器での唇の振動時の力具合は違う。
実は上手な人はそこを感覚的(無意識と言っても良い)にスムーズに使い分けていると云うのが僕の意見。でも、上手く行かない人は同じ力加減で吹こうとしてしてしまい落とし穴にはまる。出来る人のトレーニングとしては良いのだろうが、吹けない人へのトレーニングとしては勧めない。
教えるという行為で一番難しいのは自らが無意識に出来てしまって居る事に気が付いてそれをシンプルに明確に伝えること。
僕は元々軽々と吹けた人間では無いし、強さも持ち合わせて無い。吹けない人間が何年もかけて試行錯誤や失敗を重ねて自らを構築して来た状態。
僕にはバジングは恩恵が全く無い。
きっと元々の才能が無いのだと思う。
かなり繊細なバジングも出来るようになったが楽器の上達には全く繋がらなかった。
同じ様にシラブルも今では自分のコントロールの中では障害として働く。若い時に苦手だった事は殆どこの二つの弊害だった事に40過ぎて気が付いた。腹式呼吸についてはかなり早くに離れることが出来たのだけど。
アンブシュアも舌の位置も双方ともにある意味結果だと感じてる。
先生としても、演奏家としても主流の中には居ないと思う。
でも、常識の幾つかを捨ててからの方が生徒の伸びは良いと実感してる。吹ける子は大きくは変わらない。元々、感覚で掴んでるから。でも、僕みたいに一般の愛好家の方に教える事が多い時に大事なのは、出来る人へのアドバイスより出来ない人に気が付いてもらえるシンプルな一言だと思ってる。でも、そこに全てのタイプの人の大事な部分が有ると思っているのだけど。