25日 21時頃星空

市内のB病院に、救急車救急車で移送して頂きました。
とても古い病院。ここは一昨年の冬、私が自転車で転んで頭を打ったとき、救急車で運ばれた病院です。

看護師さんは、
「お母さんの服があのままでは可哀想なので着替えさせたいのですが。動かしたら痛いと思うので、ハサミを入れてもいいですか?」
と。血を洗おうとしたのか水で濡れている服。多分失禁もしていただろう。上半身は血だらけで。
「大丈夫です。切って下さい」
と言いました。

泊めてと懇願したわけでもないのに
「頭のケガの救急で来たんだから、体の骨折あるなしに関わらず、縫ったら帰ってもらわないと」
と言った、あの救急の病院の医師グー真顔ハッ

その言葉が残っていたので、この病院にも過剰に期待していたワケではない。
しかし人間らしい言葉に、少し何かが溶けたような。

入院書類に目を通している間、さっきの看護師さんの声が聞こえてきた。
「いいから、ちゃんとキレイにするからね。心配しないでね。大丈夫だからね」
ばあちゃんは、他人にオムツを変えてもらうのが初めて。力ないながらも、少し抵抗したのだと思います。

部屋の用意が整ったとの事で、エレベーターで一緒に上がる。
ばあちゃんは部屋に。もう消灯時間。
私は廊下の隅にある、薄暗いソファーの一角で待たされた。
女性がやってきて、病歴や普段の様子やらを聞かれ、色々と話をした。

お母さん「介護度の区分変更が必要になるかもしれないですね。その場合、相談員がちゃんと対応しますのでね」
隣町病院の反動なのか。普通のセリフなのに、何を聞いても飲み込みやすく、すごく優しく感じる…。

明日の持ち物をシッカリ確認し、1階に降りてタクシーを呼んだ。
お父さん「車が来たら見えるから、中で座って待っていて下さい。冷えてきたから」
と、事務所にいた白衣の男性が声を掛けてくれた。
わざわざ出てきて、見送りまでしてくれて。
優しさを吸収しやすい、リハパン状態の私の心。
ほっ…惚れてまうやろ笑い泣き


そして11時過ぎに帰宅ランニング
怖くて気が重かった、血の拭き掃除を。

よく見ると、何故だか玄関外にもポツポツ落ちていた。
そしてばあちゃんが倒れていた風呂場手前の、血溜まりが出来ていた場所。
猫が踏まないように、救急車に乗る寸前に、さっと被せていた新聞紙を、思い切って取った。
吸収してくれてる。怖さが半減して、新聞紙にすら感謝する。
廊下、風呂のドア、洗濯機と拭いていく。

風呂場の洗面器には、血のついたタオルとシャワーヘッドが浸かっていた。

そして台所にも点々と血が続いていて、給湯器のスイッチや蛇口にもたくさん付いていた。

救急車に乗ってから気付き、疑問に思っていた、裸足の足についた土。
ずっと気になっていた。

懐中電灯を片手に、庭に行ってみると、40センチくらいの庭石2つに、たくさんの血が付いていた。

石で頭をやったんだ…。
ばあちゃんは靴をはくとき靴下を脱ぐのです(靴下はいてると、靴が入らないと思い込んでいる)
転んで靴が脱げて、裸足で歩いて家の中に戻った?
台所の湯沸かし器で手を洗い、足を風呂場で洗おうとして、滑ってもう一度転び、立ち上がれなくなったのだろうか。


26日 12時30分曇り

ばあちゃんが入った部屋は、重い人の部屋なので、面会時間が少ないのです。
昼の面会時間に合わせて行くと、看護師さんが
お母さん「今お風呂に行った所です。顔や首に付いた血が、なかなか落ちないのでね」
と。
入院手続きを済ませ戻ると、キレイにしてもらい、少し起こしたベッドの上で目を閉じていた。

トラ「お母さん、私だよ。わかる?」
おばあちゃん「…わかるよ」

お昼ご飯が前にあった。
お母さん「お風呂の後は疲れるのでね、食べれるかしら」
と看護師さんが。

トラ「頭縫ったから痛いけど、もう大丈夫だよ。ご飯を食べようか。ここは家から近いB病院なんだよ。だから平気だよ」
とか、よくわからない事を、ペラペラと1人言いながら、箸やスプーンでおかずを口に運んだ。

ばあちゃんは、最初はおずおずと、しかし途中から積極的に口を開け、食べてくれた。
トラ「お粥だから食べやすいね。この卵、美味しいよね(食べてないくせに)。柿もあるよ」
ご飯を半分残したが、他は完食してくれた。
 
肌着類と羽織物を看護師さんに渡す。
担当医は
「出血量が多かったのでしょう。かなりの貧血の数値になっています。これでは骨折がないとしても歩けないと思います。今日、明日と輸血をしたいのですが」
と。やっぱりタクシーで無理に帰宅しなくてよかったんだ…。
輸血によるリスク確認後、お願いしますと言いました。

常勤ではない整形外科医が明日来るとのことで、骨折の確認の詳しくは、明日になると。

「という事で、今日の所はまだ、退院時期は『未定』となります」

と医師。
喜ぶべきではないかもしれない、その言葉。
しかし追い出されないということに、フッと安心感が湧いた私でした。
しっかり診てくれるんだ…と。
家族には出来ないこと。医者にしか出来ないことが、どうしてもあるもの。

昼ご飯お弁当のあと、静かに眠り始めたのを確認し、病院を後にしました。

キレイにしてもらって、落ち着いていたこと。ご飯をしっかり食べた事。
置いてもらえる事。
その3拍子が揃い、私はだいぶ安心しました。
B病院の皆さんに、感謝ですお願い




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