「介護」のこと、少しお話しようかな、と思います。
最近テレビで「介護疲れで…」という話題がよく出ているようです。
過去には介護疲れが原因で、自ら命を絶ってしまった芸能人の方もありました。もちろん、芸能人の方だけでなく、そういった悲劇は後を絶ちません。
当時、情報番組のコメンテイターといわれる人がしたり顔で「介護は自分一人で背負わないで、誰かに相談すれば良かったのに」なんて発言しているのを見て、ものすごい違和感を覚えました。
「ナンモワカラヘンノニ エラソウナコト ユーナヤ」
相談できてたらしてます。
あるいは、したかもしれないけど、こういう結果に至ってしまった…というのが正しいかもしれない。
例えば、自分を厳しく育てた親が、「子どものようになってしまう」という切なさ、悲しさ、やるせなさ、怒り、苦しみ…みたいなコトって、当事者でなければ、わからない。あるいは、症状の出方や重さ、そして親子の関係性によってもいろんなパターンがあるから、経験したモノであっても、100%共感できるかどうか、はわからない。
ましてや、配偶者が…となると、その苦しみや辛さは、どれほどのモノだろうかと、想像に絶する。
ヒトのストレスを受ける指標みたいな調査があって、どういう事象がどれくらいのストレス強度なのか、みたいな統計を以前見たことがある。
「配偶者の死」が一番強いストレスを受けるのだそうだ。
「死」でなくても「実質的な喪失」に相当する出来事であれば、かなり強いストレスを受けるのではないだろうか。
親であろうと、配偶者であろうと、あるいは仮に実の子であろうと、「介護」には大きなストレスが伴い、「ストレスがかかっている」と口にしたり、他人に気づかれることすら、はばかられる…というのが悲しい現状であるように思う。
介護している時に、応援されてとても負担に思った。「親孝行だと思って、よくしてあげて」とか「がんばってね」といわれると、「死ね」といわれているように思ったこともある。
「お母さん可哀想ね」といわれたとき、自分が責められていると感じた。「なんとかしてあげたいけど…」と言われたとき、「あなたが何もしないから」といわれているように聞こえた。
被害妄想と思われるだろうか。
誰もそんなこと思ってないのに、と笑うだろうか。
けれど、それが介護している人間の現実なのだ。
自分の責任ではどうしようもなかったにしても、それでも
「もう少し早く気づいてあげていたら」
「もう少し違う接し方をしていたら」
状況は変わっていたのかもしれない、と自分を責める。
「もっと優しく接してあげないといけない」
「否定してはいけない」
「調子を合わせてあげないといけない」
「何度同じことを聴かれても、毎回初めていうように答えてあげなければいけない」
…ネバナラナイ のオンパレードで、まともな思考回路ではいられないのだ。
他の人と接したとき、「こんなにも会話が成立する」んだと、感動したこともあったほどだ。
何かしてあげよう、なんて思ってもらわなくてもいい。
ましてや、励ましもいらないし、同情もいらない。
こちらが求めていなければ、アドバイスもいらない。
アドバイスをもらっても「あなたのやり方がいけない」と責められているようにしか受け取れないこともあるし、「そのやり方」を試す元気もない。
ただ、話をした時は聴いてくれればいいし、辛いときは「辛いね」と寄り添ってくれればそれでいい。
周りの予想以上に、本人(介護者)は心身ともに疲れているのだから。
もしいま、施設や介護サービスを受けていない方で、どうしたらよいのかわからない、という介護者の方があったら…。サービスを受ける受けないは関係なく、できることがあります。
それは、まずは自治体に相談してみること。自治体によって名称は少しずつ違うかもしれませんが、老人福祉を扱う部署があると思うので、そこに問い合わせるか、役所に行って相談する、という方法があります。
また、このブログ記事を読まれたなら、インターネット環境が整っている方だと思うので、自治体のHPや広報誌などで、介護の無料相談会が開催されていないか調べるのも良いかと思います。
私の場合は、どういう経緯でケアマネさんに相談したのか記憶が曖昧なのですが、公共の在宅介護サービスが受けられるところに電話して、介護認定の審査に来てもらったのが最初だった気がします。
介護サービスも多様化して来ていますし、情報収集もネットでできることが増えていると思うので、一度検索して、どんなサービスがあるかを見るだけでも、良いと思うのです。なぜなら、サービスを受けるかどうかはさておき、「いざとなったらこんなサービスが受けられる」と知るだけでも、随分と気持ちが楽になったりするはずだからです。
また、デイサービスや介護施設を見学に行ってみるのも良いかもしれません。家にいてもらえたらそれが一番良いかもしれませんが、介護している人間がつぶれてしまっては本末顛倒です。介護はプロに任せて、時々会いに行く…ぐらいの方が、トータルで考えたときにベターな選択、といえることもあります。
実の親なのか、義理の親なのか…によっても違ってくるとは思いますが、この場合、配偶者(実の子)との関係性にもよりますよね。ただ、ご自身が介護者になる場合、「自分さえ我慢すればいい」と思うのは良作ではないと思います。実は、誰得でもないのです。
介護は、やろうと思えば、いくらでもやることが出てきます。
親戚の眼が気になるのも、介護疲れを増幅させる要因になります。
「もう、無理ですー」ってなるのって、実は一気なんです。
自分では、まだ4割ぐらい…って思ってても、ある日突然ボルテージが上がって、ムリーーーーーーーー!!!! ってなることあります。
「まだ大丈夫」って思ってるなら、今がタイミング! と思っても良いです。サービスを受けるか受けないかは、あとで決めればよいので、まずは余力のあるうちに、情報収集をしておくことをお勧めします。
あれこれいう親戚・家族に対しては、「そういうなら、交代してください」という言葉を伝家の宝刀として、懐に隠しておきましょう。
『心のサプリメント』